このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンはAirPodsに対抗できる完成度

2017年09月23日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

外音を取り込む機能を自動化するアダプティブサウンドコントロール

 WF-1000Xには、装着状態でも外の音が聞こえる「アンビエントサウンドモード」がある。遮音性の高いカナル型でノイズキャンセル搭載のイヤフォンでは、安全性のためにもあった方がいい仕組みだ。

 これには3つのモードがあり、外音をそのまま取り込む「ノーマルモード」、人の声を聞きやすくフィルタリングした「ボイスモード」、そして外音取り込みオフでノイズキャンセルがフルに効くモード。しかし状況に応じて切り替えるというのでは、せっかく機能として付いていたとしても、ちょっと面倒だし宝の持ち腐れになる可能性も高い。

 それを自動でやってくれるのが「アダプティブコントロール」という仕組み。Android/iOS向けアプリ「Headphones Connect」と組み合わせると、スマートフォンの加速度センサーを利用し、止まっている、歩いている、走っている、乗り物に乗っているという4つの状態を認識し、自動でモードを切り替える。

 たとえば止まっているときはボイスモード。オフィスなどでは空調の騒音は抑えつつ、人が呼びかける声はしっかり聞こえる。立ち上がって歩きはじめるとノーマルモードになり、近づいてくるクルマのエンジン音もはっきり聞こえるようになる。そして周囲の騒音レベルが上がってくると、乗り物に乗ったものと判断され、外音取り込みオフでノイズキャンセル全開、という具合。いずれも、そろそろかなと思ったところで、スパッと切り替わるのでおもしろい。

アンビエントサウンドモードの切り替えはアプリ側からの手動設定も可能

スマートフォンと接続するオーディオコーデックもアプリから選択できる。音質優先モードはAAC、接続優先モードはSBC

 ただし、トゥルーワイヤレスはイヤフォン内に組み込めるパーツに限りがあるせいか、ほかのX1000シリーズに比べると、アプリで操作できる機能は絞られている。たとえばWI-1000X、WH-1000XM2の場合は、外音取り込みのレベルは20段階で調整できるが、WF-1000Xはオンオフの組み合わせのみ。サラウンドやサウンドポジションコントロールも省略されている。

 デモ機を試した9月上旬の段階ではイコライザーも未実装だったが、これは10月中旬以降のアプリケーションアップデートで対応する予定らしい。

密閉カナル型としてイチオシ

 さて、WF-1000XがAirPodsの向こうを張れるのかと言えば、開放型のAirPodsに対して、密閉カナル型ノイズキャンセルのWF-1000Xというポジションで定着するのではないか。

 まず価格設定がおもしろい。AirPodsが1万円台後半で登場して以降、トゥルーワイヤレスの主戦場は1万円台後半になったが、AirPods以外は密閉カナル型で、どこもノイズキャンセルは載んでいない。

 ここに差額6000~7000円程度でノイズキャンセルが付き、ほかの密閉カナル型より品質感のある製品が登場すれば、それだけで結構なインパクトになる。いま3万円台前半で予約を取っているEARIN M3が、いかに高性能であっても、もうノイズキャンセルは付けられない。

 イヤフォンのスペックや機能は必要最小限に絞り、あとはほかの新興ブランドにない技術で押す。もう少しバッテリーは持ってくれても良かったとは思うが、あれこれ読み切った商品企画には納得しかない。トゥルーワイヤレス、どれがいい? という方には、カナル型でよければ、いまのところWF-1000Xがイチオシだ。

 次回はいまどきネックストラップなのか? と思いきや、実際使ってみたら大傑作だった「WI-1000X」について。

■Amazon.co.jpで購入

■関連サイト



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中