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ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンはAirPodsに対抗できる完成度

2017年09月23日 12時00分更新

文● 四本淑三

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本体のデザインと装着性はさすがとしか

 イヤフォン本体の外観でまず目を引くのが、透明樹脂に覆われたU字型パーツ。これがBluetoothのアンテナで、通常は筐体の内側に隠してしまうパーツを、デザインの一部として使うアイデアは新しい。また、このアンテナを覆う透明樹脂パーツには、動作インジケーターのLEDが組み込まれていて、透過光で青や赤に光るところもおもしろい。

クリアパーツ全体がLEDでぼーっと光る。LEDの直接光より見せ方として洗練されている

 装着時の違和感のなさも素晴らしい。ある程度大きく、外側にぶら下がるマスの大きなイヤフォンとしては、装着安定性を確保するためスタビライザーも必要になる。ソニーでは「フィッティングサポーター」と呼ぶらしいが、WF-1000Xは最初から込みでデザインされている。

右側のループ状のでっぱりがフィッティングサポーター

 スタビライザーは小さなU字型で、耳の後ろ内側のくぼみにハマる珍しい形状。上向き加減に耳に押し込み、そのまま下向きに回すと安定したポジションが見つかる。スタビライザーは取り外し可能で、M/Lの2サイズを選べるが、回転方向に調整することはできない。しかし、まったく困らない。標準装着のイヤーピースも、通常のものよりスリーブ部分が長く、これも装着性に影響しているかもしれない。

イヤーピースとフィッティングサポーターを取り外したところ。フィッティングサポーターとイヤフォンにはともに切り欠きがあり、ポジションは固定されている

ネックストラップ型のWI-1000Xのイヤーピース(右)とWF-1000Xのイヤーピース(左)。WF-1000X用はロングタイプが標準装着品

ケース以外の付属品。充電用USBケーブ、フィッテイングサポーター(M/L)、標準のハイブリッドイヤーピースロング(SS/S/M/L)、硬度の違うシリコンゴムとフォーム素材を組み合わせたトリプルコンフォートイヤーピース(S/M/L)

音の良さを引き立てるノイズキャンセル

 トゥルーワイヤレスイヤフォンは、左右イヤフォン間も無線で通信しなければならない構造から、レイテンシーの影響は避けられない。問題になるのは動画の音ズレ、そして左右に定位が動くフェージングのような現象だが、いずれも問題は感じなかった。ステレオオーディオ装置として成立する最低限のスペックは、確実にクリアしている。

 そして、とにかく出音がとても好ましい。Bluetoothで6mm径のドライバーと聴けば、ローとハイが物足りなかったり、DSPで盛られたダイナミックレンジの狭い音をイメージしがちだが、無駄にワイドレンジを狙った嫌な感じはしない。自然な低域の量感から音場の空気感をイメージさせるチューニングは、トゥルーワイヤレスでは貴重だ。

 それには、もちろんノイズキャンセルも一役買っている。ノイズキャンセルと言えば、音質劣化の元凶のように言われていた時期もあったが、小型の筐体でここまでやれるのかと感心する程度に効くし、劣化も感じられない。カナル型であっても 低い帯域の騒音成分は侵入するので、バランスのいい音で聴くためにノイズキャンセルはあったほうがいい。

 ただ気になったのは、音楽の再生を始めて信号が入ると「プツッ」というノイズがいちいち入ること。これは気障りだ。X1000シリーズの他機種では確認できなかったので、トゥルーワイヤレスの仕組みに由来するものかもしれない。そして頻度は多くないとはいえ、右チャンネルのドロップは、室内であってもたまに起きる。

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