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パブリッククラウドの柔軟性をデータセンターで実現する新製品

最大48万台の仮想マシンをサポートする「Tintri EC6000シリーズ」発表

2017年09月21日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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9月20日、ティントリジャパンはプレス向けの新製品発表会を開催。従来比で4倍となる40PBの拡張性を誇り、最大48万台の仮想マシンを1つのシステムでサポートする「Tintri EC6000オールフラッシュシリーズ」を発表した。

64ノードで最大48万台の仮想マシンをホストできる高い拡張性

 「エンタープライズクラウドプラットフォーム」を謳うTintri EC6000 オールフラッシュシリーズ(以下、EC6000)は、最大32万IOPSを誇るオールフラッシュアレイ。2Uのラックマウントユニットを採用し、40GbEの高速ネットワークインターフェイスを搭載。サポートするVM数や性能、容量によって、EC6030、EC6050、EC6070、EC6090の4モデルで構成される。

Tintri EC6000 オールフラッシュシリーズ

 EC6000は、サービスを停止せずにSSD単位で追加できるという柔軟性を持つ。SSD13基構成の基本構成モデルは、最大24基まで1本単位で拡張できるため、19TBのEC6030は最大40TBまで、307TBのEC6090は最大645TBまで拡張することが可能になっている。さらに「Tintri VMスケールアウト」の強化により、最大64台ノードを1つのストレージプールとして扱うことができる。これにより、最大2000万IOPS、40PBの論理実効容量、48万台の仮想マシンを1つのコンソールで運用することが可能になった。

 今回、Tintri OSも4.4にアップデートされ、新たに「Tintriクラウドコネクター」が実装され、Amazon Web ServicesとIBMのクラウドリソースとの連携が実現された。仮想マシンとコンテナレベルでストレージを抽象化する「Tintri CONNECTアーキテクチャ」により、Tintri Global Center上から仮想マシンのスナップショットをAWSやIBMのクラウドにバックアップできるという。分析ツールのTintri Analysticも強化され、仮想マシンごとのCPUやメモリの使用率を分析し、将来的な予測が可能になった。

Tintriクラウドコネクターにより、AWSやIBMのクラウドへのデータ保護が可能に

パブリッククラウドの俊敏性をデータセンターで実現

 創業以来、仮想化環境に最適なQoS機能を売りにユーザーを増やしてきたティントリ。そんな同社がEC6000シリーズで目指すのは、「パブリッククラウドの俊敏性をデータセンターで実現する」ことだ。そのためのキーコンセプトが「エンタープライズクラウド」になる。

 これまでITのモデルは管理者がすべてのリソースを制御できるオンプレミスを中心だったか、拡張性が低く、手間とコストがかかっていた。こうした背景から、拡張性と柔軟性の高いパブリッククラウドへの移行が進んでいる。しかし、パブリッククラウドはコストが予測不能で、クラウドネイティブに向けたアプリの書き換えが必要になる。また、ロックインの可能性も指摘されるほか、サービス中断のリスクもある。

オンプレミスとパブリッククラウドのいいとこどりを実現するエンタープライズクラウド

 ティントリCTOのキーラン・ハーティ氏は、「この数年でお客様が気がついてきたのは、すべてのシステムがパブリッククラウドに向いているわけではないということ。今後はパブリッククラウドとオンプレミスのいいとこどりが可能な『エンタープライズクラウド』が必要になる」と指摘する。

米ティントリ CTO 共同創業者 キーラン・ハーティ氏

必要な機能をレゴブロックのように組み合わせられる

 ティントリが考える「エンタープライズクラウド」とは、従来型のエンタープライズアプリケーションとクラウドネイティブアプリケーションを両方ホストできるプライベートクラウドで、同社のユーザーでもあるNISTの定義に従ったものだという。セルフサービスのリソース調達やリソースのプーリング、広域なネットワーク、縮退可能な柔軟性などを備えつつ、パブリッククラウドとの連携も可能という特徴を持つという。

 こうしたエンタープライズクラウドを実現すべく、最新のTintri OSでは単にクラウドにインスパイアされたVDIや仮想化の実装にとどまらず、自律的なオペレーションや予測的なアナリスティック、APIによるマニュアルタスクの自動化、セルフサービスなどの機能を備えているという。ティントリジャパンの河野通明氏は、「必要な機能をレゴブロックのように組み上げていくことが可能になる」とアピールする。

ティントリジャパン 職務執行者社長 河野通明氏

 ハーティ氏は、こうしたエンタープライズクラウドの具体例としてバイオテクノロジー企業であるShireの例を挙げる。Shireではパブリッククラウドの利用が高価すぎるという理由で、全社のシステムをHCI(ハイパーコンバージドインフラ)に移行した。しかし、HCIへの移行は失敗に終わった。ハーティ氏は、「小さい拠点でHCIを利用する場合はうまくいったのだが、全社共通システムとして利用した際に、スケールせず、性能も出なかった」とその背景を語る。こうしたことから、ShireはHCIベースのシステムをシスコのUCSとティントリのストレージを組み合わせたシステムに移行。コストを1/3に削減できたほか、テスト環境の構築も1ヶ月から1週間に短縮したという。

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