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買収合併後に「300%成長」、DDNグループ全体としてのストレージ市場戦略も説明

復活のティントリ、次は「データベースI/Oの自動最適化」で対象領域拡大へ

2019年05月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ストレージベンダーのデータダイレクト・ネットワークス(DDN)日本法人は2019年5月23日、昨年9月に買収合併したTintri by DDN(ティントリ)事業を含む事業戦略の記者説明会を開催した。日本国内ではティントリ統合後初めての説明会となった。

 説明会では日本法人代表のほか、米Tintri by DDNからセールス/マーケティング責任者、製品技術責任者も出席し、ティントリのストレージOS次期バージョンで新たに提供されるデータベース向けの自動QoS機能を先行発表したほか、ティントリ事業の現状、DDNグループ全体でのストレージ市場戦略も説明された。

ティントリストレージの特徴全体像(今回発表されたデータベース向けの自動QoS機能も含まれる)
データダイレクト・ネットワークス・ジャパン GMのロベルト・トリンドル(Robert Triendl)氏米Tintri by DDN ワールドワイド セールス&マーケティング SVPのフィリップ・トリコビク(Phillip Trickovic)氏米Tintri by DDN プロダクトマネージメント シニアディレクターのトマー・ハガイ(Tomer Hagay)氏

物理環境にも対応、データベースのI/Oパフォーマンスを可視化/自動最適化

 今回発表されたのは“データベースを理解する”という意味を持つ「DB-aware」機能。物理/仮想サーバー環境にあるデータベースサーバー(RDBMS)と連携して、データベース単位でストレージI/Oの状態を把握し、リソースの最適配分を行うことで自動QoSを実現する機能だ。これにより、高度なスキルが必要なデータベースストレージのチューニング作業を不要にする。当初は「Microsoft SQL Server」に対応し、2019年後半に一般提供開始する次期バージョン「Tintri OS 5」で追加される予定。

 製品技術責任者のトマー・ハガイ氏は、これまでティントリのストレージが特徴としてきた仮想マシン単位での自動QoS機能を、同じようなかたちでデータベースに適用する機能だと説明する。具体的には、RDBMS(SQL Server)からAPI経由でデータベースのメタデータを取得し、どのデータベースがティントリストレージ上のどのファイルにひも付いているのかを“理解”することで、リソース割り当ての自動調整(自動QoS)を実現する。

データベース向け新機能の概念図。従来のVM単位よりもさらに粒度の細かい「データベース単位」で、I/O可視化や最適化を実現する
各データベースワークロードを“理解”したうえで、それぞれに必要なだけのリソースを動的に割り当てる

 さらにハガイ氏は、データベース単位でのパフォーマンスの可視化やクローニングの機能も提供することで、トラブルシューティング作業や開発/テスト目的でのデータベース利用もより容易になると説明した。

 なおティントリストレージの管理コンソール「Tintri Global Center」には、新たなロールとして「データベース管理者」が追加されるほか、仮想マシンとデータベース、あるいはデータベースのみのパフォーマンスや稼働状況を監視できるダッシュボードが追加される。

管理コンソール画面。データベースサーバーに接続すると、データベース単位で経時的なパフォーマンスが可視化される

 セールス&マーケティング責任者のフィリップ・トリコビク氏は、これまでティントリストレージでは仮想マシン(VM)単位でのI/O最適化機能を提供してきたが、それでもまだ“理解”が不十分で最適化しきれない特殊なVMがあったと語る。

 「その筆頭がデータベースサーバーのVMだ。1つのVM上に複数のデータベースが格納され、それぞれのI/Oが大きく異なるため、『VM単位』の粒度で理解するのではまだ不十分だった。そこでより細かな『データベース単位』の粒度で理解することにした」(トリコビク氏)

 トリコビク氏は、今回はまずSQL Serverから対応を始めるが、ロードマップではすでに「Oracle Database」や「PostgreSQL」といったRDBMS、さらに「mongoDB」のようなNoSQLにも対応する計画になっており、18カ月以内に順次対応データベースを拡大していくと述べた。

 またハガイ氏は、今回のデータベースへの対応は「第一歩」であり、今後もさらにティントリストレージの適用領域拡大を図っていく方針だと説明した。

 「今回の新機能発表は、ティントリのストレージに根本的なレベルでの変化をもたらすと考えている。これまではVM(仮想マシン)オブジェクトに特化していたが、今後はより幅広いオブジェクトに対応を拡大していく。データベースはその第一歩だ」(ハガイ氏)

当初はSQL Serverに対応、その後対応データベースを拡大していく。また取得するメトリクスも拡大し、より詳細にデータベースを“理解”できるようにしていく

「買収前のティントリは経営の規律に欠けていた」組織とビジネスの立て直し

 国内では“新生ティントリ”発足後初めての記者説明会であったため、ティントリ事業の現状やDDNグループ全体としての事業戦略などの説明にも時間が割かれた。

 昨年9月の買収合併後、ティントリは、米国では独立企業(Tintri by DDN)として、日本ではDDN内の事業部としてビジネスと組織の立て直しを図っている。ちなみにDDNは今月、SDS(Software-Defined Storage)ベンダーのネクセンタ(Nexenta)の買収意向も発表している。

DDNグループの組織図。ティントリ、ネクセンタのほかにHPCストレージのレイディ(RAID)が独立企業として存在。さらにインテルから買収したワムクラウド(Whamcloud)事業部門、AI開発ツールのドットサイエンス(dotscience)がDDN社内の事業部門として存在する

 DDNジャパン GMのロベルト・トリンドル氏は、DDNは20年ほど前からHPC向けのストレージ製品を提供してきたが、数年前からターゲット市場の拡大に向けて企業買収を行ってきたと説明する。従来からのHPC領域に加え、DDN製品では新たに製造業などのエンタープライズにおけるデータアナリティクス領域を、ティントリ製品でエンタープライズの仮想化環境領域を、ネクセンタ製品でクラウド/テレコム領域を、それぞれ新たなターゲット市場に加えてビジネスを拡大していく狙いだ。

 「さらに将来に向けて、これらの製品どうしをつなぎ統合するような、次世代の大規模ストレージ製品の開発にも取り組んでいる。今後のストレージ市場の中心となる技術、たとえばメモリテクノロジーなども意識したストレージ技術、アプリケーションとのインタフェースレイヤーの技術などを開発している」(トリンドル氏)

DDN、ネクセンタ、ティントリそれぞれの強みを生かしてターゲット領域を拡大していく

 5年前にティントリに入社し、現在は合併後の組織立て直しの任を負うトリコビク氏は、DDNによる買収でティントリの業績が大幅に改善したこと、従来の顧客企業との関係は変わらず良好であることを説明した。

 「買収前のティントリは、技術も、製品も、顧客も持っていたが、経営の(財政的な)規律が欠けていた。そのため7年もの間、1四半期も黒字を出すことができなかった。昨年9月のDDNによる買収以後は、すぐに2四半期連続で黒字となり、2018年代4四半期は前年同期比で300%の成長を記録している」(トリコビク氏)

 トリコビク氏自身は、買収合併の影響で「エンタープライズ顧客の4~5割はティントリを離れ、ほかのベンダー製品を採用するだろう」と予想していたが、実際には「1社も離れることはなかった」と語った。買収合併後も引き続きティントリ環境を拡大し続ける顧客が多いという。「ティントリのテクノロジーの強さを証明したと言えるだろう」。

買収合併後もエンタープライズ顧客は導入を継続し「平均で37%フットプリントを拡大した」(トリコビク氏)。ベライゾン、アップルなども大手顧客だという

 なおグローバルのDDNは約1000名の従業員を抱えるが、そのうちティントリ事業には約150名が従事している。トリコビク氏は「合併前のティントリは余剰人員を抱えすぎていた」と述べたうえで、サポートやファイナンスの部門をDDNと横断的に共有して効率化を図る一方、レベル2/3サポートの人員は約50名、エンジニアは約40名を再雇用し、営業組織も大幅強化して組織とビジネスの強化を図っているところだと説明した。

 ティントリが今後18カ月間に注力していくターゲットとして、トリコビク氏は6つの領域を挙げた。ビジネスデータの「アナリティクス」、ワークロードを把握してストレージ運用効率を最適化する「データ理解」(今回の発表もここに該当する)、インテリジェンスに基づくデータセンター設計の「プランニング」などだ。この6つにリソースを集中させ、イノベーションを起こしていきたいと語った。

ティントリが今後18カ月間に開発リソースを集中し、イノベーションを目指す「6つの注力分野」

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