デジタルトランスフォーメーションを支援するITを包括的に提供する
VMware Cloud on AWSだけじゃない!VMworld新発表をおさらい
2017年09月11日 09時30分更新
9月7日、ヴイエムウェアは8月29日~9月1日にラスベガスで開催された「VMworld 2017 US」の発表内容を振り返る記者説明会を開催した。最大のトピックである「VMware Cloud on AWS」のみならず、クラウドやデータセンター、エンドユーザーコンピューティングの分野でもさまざまな発表が行なわれたという。
デジタルトランスフォーメーションを支援する4つのIT施策
米ネバダ州ラスベガスのMandalay Bay Convention Centerで開催された今年の「VMworld 2017 US」。参加者は昨年と同じ2万3000名以上で、日本からも約300名以上が参加したという。今年は一人一人がデジタルビジネスの未来に対して、世の中の変革を進めていくという「I AM…」がテーマで、既報の通りパット・ゲルシンガーCEOをはじめとしたVMwareの幹部が次々と基調講演に登壇した。
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VMworld 2017について説明するヴイエムウェア チーフストラテジスト 高橋洋介氏
SDDC/Cloud分野のチーフストラテジストである高橋洋介氏によると、従来から掲げている「Any Device,Any Application,Any Cloud」のビジョンには大きな変化がないという。ただ、昨年から「Cross-Cloud Architecture」を掲げているAny Cloudの部分には、新たに「Edge Comuputing」が加わり、さらに足回りとして「Telco Network」(キャリアネットワーク」が追加された。
こうしたビジョンの元、ユーザーのデジタルトランスフォーメーションを支援する戦略的なIT施策として挙げられたのが、データセンターのモダナイゼーション、パブリッククラウドとの連携、デジタルワークスペースの実現、セキュリティの変革などの4つだ 。以下はこの4つに従って説明が行なわれた。
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デジタルトランスフォーメーションを支援する4つのIT施策
アプリケーションのニーズに答える「VMware Cloud on AWS」
クラウドに関しては、従来型・クラウドネイティブなどアプリケーションのニーズによってさまざまな戦略がある。既存の環境をそのまま維持するほか、プラットフォームのみ変更する、一部をパブリッククラウドに移行したり、一部をクラウド向けに変更するというリファクタリングもある。さらにクラウドネイティブアプリケーションを新たに開発し、オンプレミスやIaaSに展開するほか、パッケージ版をSaaSに置き換えるという例もある。
こうしたさまざまなアプリケーションのニーズに対応すべく、パブリッククラウドとの具体的な連携策として正式スタートがアナウンスされたのが「VMware Cloud on AWS」だ。Initial AvailabilityとしてAWSのUS West(オレゴンリージョン)から開始されたVMware Cloud on AWSでは、AWSのベアメタルサーバー上にvSphere、vSAN、NSXなどを統合した「VMware Cloud Foundation」のSDDC(Software-Defined DataCenter)環境が用意され、ユーザー側のSDDCとvCenterで一貫した運用が行なえる。
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VMware Cloud on AWSの概要
発表会では、専用のユーザーインターフェイスからAWSのリソースにつなぎ、SDDCのプロパティ、VPCやサブネット、管理などのウィザード設定画面が披露。オーダーは10分もかからないが、ベアメタル上での構築作業になるため、リソースが払い出されるまでには2時間くらいかかるという。
VMware Cloud on AWSはVMwareのパートナーを経由した販売になっており、現在はVMwareの支払いで使うSPP、HPPでの購入が可能。また、現状では1時間単位でのオンデマンド課金しかないが、今後は1年・3年の専有モデルがサポートされる予定。支払い方法に関しても、通常の発注やクレジットカードの決済も今後提供される予定。「サービスはすでにプロダクションレベルにある。今後は利用できるリージョンを拡大していく」(高橋氏)とのことで、2018年中にグローバルで利用できるようになるという。
VMware Cloud on AWSはすでに初期リリースのユーザーもおり、日本企業ではリコーとNRIの社名が公開されている。また、コンサルティング、クラウドプロバイダー、DevOps、マイグレーション、ネットワーク&セキュリティ、データ保護などの分野でエコシステムも確立しつつあるという。
AppDefenseで仮想・クラウド環境のセキュリティも強化
マルチクラウドの一元的な運用管理を実現する「VMware Cloud Services」も強化された。VMware Cloud Servicesは、従来「Cross Cloud Services」として提供されていたSaaS群で、非VMwareのランタイムに向けたAWSやAzureなどのマルチクラウドに対してさまざまな価値を提供する。
インベントリの自動収集サービス「Discovery」、クラウドでのコストを分析する「CostInsight」、VPC間も含めたネットワークの可視化や分析を行なう「Network Insight」、AWS向けのNSXのSaaS版「NSX Cloud」、DevOps環境のメトリック監視・可視化を行なう「Wavefront」などのほか、今回はエンドポイントでの脅威検出を実現する「AppDefense」などが発表された。
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VMware Cloud Servicesの各種サービス
AppDefenseは仮想・クラウド環境で実行アプリケーションを保護するサービスで、 ホワイトリストのポリシーでアプリケーションの動作を規定した「マニフェスト」をベースにアプリケーションを監視。アプリケーションやOSの改ざんをリアルタイムに検出したり、分離や他社製品と連携した動作などが可能になるという。
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仮想・クラウド環境で実行するアプリケーションを保護するVMware App Defense
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