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予測不可能な時代の組織論を2人のクラウドリーダーががっつり討論

セゾン情報小野CTO、クラスメソッド横田氏が語る「バイモーダル」の現実解

2017年08月23日 10時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

提供: セゾン情報システムズ

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現場部門は目的が明確で、ITリテラシも低くない

大谷:今となっては現場部門の人たちがシステム作って、情シスがそれをサポートするとか、それほど珍しくないですが、今から3年前にこの話があったのは驚きです。こういう動きって、小野さんも感じたりするんでしょうか。

小野:もともとDataSpider自体、この数年で現場部門での利用が急増しています。3年くらい前から現場部門の人たちがシステムを作るためにDataSpiderを選んでくれるようになった。だから、プロじゃない人が作るシチズンデベロッパーの動きは肌で感じていましたね。内製化とシチズンデベロッパーの流れ自体は5年前くらいから強くなっており、必要なツールを組み合わせて作れるクラウドの台頭で一気に後押しされた印象がありますね。

セゾン情報システムズ 常務取締役 CTO 小野和俊氏

大谷:先ほどクラスメソッドも当初は通常の企業システム構築をやっていたという話でしたが、今はお客様も変わってきたんでしょうか?

横田:今ではクラスメソッドも全案件が事業会社からの直請けです。業種・業界もばらばらですが、特に喜んでいただいているのは、小売りや外食系。ITによる改善がまだまだできる会社ですね。

大谷:そういった現場部門の方たちって、どういった感じで相談してくるんでしょうか? ITに対して知識はないけど、なんらか期待があってといった漠然としたイメージなんでしょうか?

横田:いや、目的がはっきりしていて、手段としてクラウドを選んでいるところの方が多いと思っています。現場部門は日々試行錯誤でデータを分析し、フィードバックを得て、施策を回していく。このタームが1週間です。でも、情シスに依頼すると、要件定義からスタートして1ヶ月後、2ヶ月後に帳票が上がってくるけど、そのスピード感だともはや合わない。だから、直接データを見たい、施策に反映したい、とにかく打席に多く立つためにはクラウドがいいのではないか?ということで、お声がけしてもらうところが多いです。

大谷:なるほど。現場部門だからといってITリテラシが低いわけではなく、目的意識もはっきりしているんですね。

横田:その方がうまくいきます。とりあえずクラウド化になると、手段が目的になって、お客様の方向性もぶれます。モバイルアプリも同じで、こういったコミュニケーションをユーザーとやりたいから、その手段としてモバイルアプリがいいという選択にすべきですよね。

大谷:その話聞いていると、「組織をクラウド対応するため」という今回のパネルのタイトル自体が手段と目的を混同している気がしてきました(笑)。

バイモーダルを構成するモード1、モード2とは?

大谷:続いてテーマはモード1、モード2の話に移るのですが、まだまだピンと来ないので、たとえばどんな人というのを小野さん教えてもらえませんか?

小野:モード1はわかりやすくて、IT業界では大手SIerやIT部門などはモード1の組織であることが多いですね。失敗を許容せず、手堅く守るという点ではサムライの文化と言われることもあります。鎧を着ているから防御は堅いけど、忍者に比べると動きは遅い。失敗したら切腹を求められます。

一方のモード2はとにかくまず動き始めるベンチャー企業。ビジネスモデルの検証を厳密にやるのではなく、とにかく動き始める。水に飛び込む際に入って大丈夫かを調べてはいるのがモード1で、とりあえず飛び込んで体感してしまうのがモード2です。侍のモード1に対して、モード2は身につけているモノも軽く、とにかく敵に飛び込んで活路を見いだす忍者にたとえられます。まあ、たまに塀から落ちちゃうこともあるんですけど(笑)。

大谷:その失敗も含めてよしとされている文化ですね。服装とかどうなんですか?

小野:モード2は服装自由ですが、モード1は夏でもスーツですね。今日はモード1のファッションで来ていますが(笑)。

横田:私はユニクロのシャツに着替えましたので、モード2ですね(笑)。

大谷:クラスメソッドさんは昔から技術に明るくて、Developers.IOのような尖ったブログメディアもやっていますよね。横田さんは自身の組織について、どう分析しています?

横田:情シスの例を話しましょうか。社員が100人になるくらいまでは、いわゆるモード1の情シスが1人だけいました。パソコン増設、メモリの追加、ネットワーク構築、アカウント管理、社員のワークフローとかを担当し、社内の資産やセキュリティを守る人。どちらかというと肉体労働で、御用聞きです。

大谷:そういう情シス、多いと思います。

横田:100人まではそれでよかったんですけど、サービスのラインナップが増え、お客様も増えてきて、毎月の請求書が100~200枚に膨らんでくると、もはや社内の業務が回らなくなってきた。受注すると、会社が止まるからやめようみたいな本末転倒な状態になったんです。

そこで、もともと社内SE出身のメンバーが情シスのリーダーになって、社内情報システムをほぼ1人で作り始めたんです。たとえば、AWSの利用明細レポートをHadoopで集計して、Salesforceに食わせて、契約や顧客管理するようにしました。それをさらにマネーフォワードの法人サービスに食わせて、ボタン1つ押せば請求書が発送されるようになったんです。

大谷:めちゃ、かっこいいんじゃないですか。

横田:3ヶ月くらいで作ったそんなシステムがうちの社内を支えています。今まで営業担当が半月かけて手でチェックしていた作業が一気に自動化されたんです。でも、これはパソコンのキッティングしていた社員にはできないんですよ。2人とも情シスだし、会社の働き方をよくしたいという目的はいっしょ。でも、手段が違うんです。

大谷:なるほど。情シスというと、いかにもモード1で守りっぽいイメージがありますが、今のお話聞いていると、攻めの情シスってありなんだなと思いますね。

小野:横田さんのところの今の情シスって完全にモード2ですけど、モード1の情シスだと、システムリスクとか洗い出しはじめて、いくらかかるのかみたいな稟議でスタンプラリー始めます。で、最終的にはやめようって判断になるんです(笑)。

横田:彼はもともとCISO(最高情報セキュリティ責任者)だったんですよ。モード1でガチガチにやっていた人が、モード2のスイッチが入ってやったのです。同じ人だから速かったですよね。

小野:モード1って、新規のシステムに対して、どうしてもエビデンスを付けたがります。

横田:誰が責任とるんだという話ですね。

小野:そうそう。個人で責任とりたくないから、ガートナーはなんて言ってるんだとか、北米の事例はどうなんだとか、ほかの手段に比べるROIの比較はやったのかという話になる。まずは試してみればいいのに、議論を続けて、エビデンスの資料作りを始めるから、当初の魅力が失われていく。これがモード1のよくないところだと思います。

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