ソニーの有機ELテレビは映像と音の一体感がスゴイ! その裏にある10年に渡るノウハウを聞く
2017年06月13日 12時00分更新
高画質エンジン「X1 Extreme」で
有機ELのポテンシャルを引き出す
映像面では、有機ELの高コントラスト性能を引き出すため、高画質エンジンに「X1 Extreme」を搭載。
これは、液晶のハイエンドであるZ9Dシリーズにも搭載されたもの。ほかのメーカーでは有機EL専用にチューニングされた高画質エンジンを採用することもあるが、X1 Extremeは開発段階で液晶だけでなく有機ELなどの表示パネルとの組み合わせも想定されており、パネルの特性に合わせて最適な映像処理を行なう機能を備えているという。
高輝度復元技術の「HDRリマスター」や、精密な映像再現が行なえる「デュアルデータベース分析」、高階調の表現を可能にする「Super Bit Mapping 4K HDR」といったソニーの高画質技術が結集され、美しい映像を実現している。
もちろん、同社は有機ELという表示パネルを使いこなすためのノウハウを蓄積している。2007年に世界初の有機ELテレビとして発売した「XEL-1」をはじめ、業務用のマスターモニターでも、有機ELパネル採用のモデルを生産している。A1シリーズの開発でもそれらのエンジンニアが協力し、映像を仕上げているという。
興味深いのは、業務用マスターモニターとA1シリーズの画作りの違いだ。有機ELテレビはそのポテンシャルの高さから、各社ともモニター的な忠実再現などを強くアピールする。
ソニーでも、X9Dシリーズはソニー・ピクチャーズの映画制作の現場でクライアントモニター(民生機での見え方など確認するためのクオリティーチェック用のモニター)として使用されており、A1シリーズもそうした用途で使われると思われる。しかし、マスターモニターとは大きく異なる部分もあるようだ。
マスターモニターでは、たとえば1000nitを超えた明るさの信号が入力された場合、それらはすべて1000nitの白い光になるという。一般的なテレビの感覚で言うと白飛びの状態になるわけだ。
民生用の機器ではそんなことはなく、1000nitどころか規格で定められた1万nitの信号が入ったときも、ディスプレーの能力の範囲内でその階調まできちんと表現することが求められる。
ある意味で測定器のように映像のチェックをするマスターモニターとは役割が違うのだそうだ。
正確さだけでなく、美しい映像として再現するための技術も持っていること。それがマスターモニターとの大きく異なる点と言える。
もちろん、映像モードはいくつかが用意されており、明るい部屋での「ダイナミック」や「スタンダード」、映画用の「シネマホーム/シネマプロ」などのモードで好みに合わせた選択も可能。
「シネマプロ」や「カスタム」は、テレビ的な映像処理を控えめにしたモニター的な画作りとなっており、マスターモニター的な映像で見てみたいという人のニーズにも応えられるものになっている。
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