事例に厚みが増したAWS Summit 2017レポート 第1回
レコチョク、セイコーエプソン、Sansanが自ら語るAWS活用事例も
三菱UFJ銀登壇、大阪リージョン発表など「AWS Summit」基調講演
2017年06月01日 07時00分更新
三菱UFJ FG:AWSで5システムが本番稼働、さらに100以上が検討/開発中
同日の基調講演では、三菱東京UFJ銀行、セイコーエプソン、レコチョク、Sansanの4社代表が登壇し、各社におけるAWSの活用事例を紹介した。
三菱東京UFJ銀行 専務取締役の村林聡氏は、デジタルトランスフォーメーション、オープンイノベーション推進のために三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)として構築/活用している「MUFGクラウド」の中で、AWSのクラウドサービスをどのように利用しているかを説明した。
MUFGでは、ICTを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進すべく、社外のさまざまな主体とのコラボレーションを実践していくオープンイノベーションを推進している。具体的な取り組みの領域としては、フィンテックスタートアップなどとの協業を可能にする「オープンAPI」、新決済システムの構築や海外送金の効率化などを目指す「ブロックチェーン」、顧客利便性の劇的な向上と業務効率化を目標とする「AI(Deep Learning)」などがある。加えて、スタートアップ/ベンチャーへのアクセラレータープログラム提供や、協業も推進してきた。
「こういうサービスをいち早く提供するためには、AWSのようなクラウドが必須であることは言うまでもない。そのため、われわれも積極的にクラウドサービスを活用するようになったのだが、クラウドはかなり(のスピードで)進化してきている。そこで、さらに既存の事業や既存のシステムについても、コスト削減やスピードアップという観点からAWSクラウドを使うことにした」(村林氏)
現在では、AWSをMUFGクラウドのコアプラットフォームのひとつと位置付け、AWSの基本サービスをMUFGクラウドのサービスカタログにラインアップし、業務アプリケーションにおける活用を進めているという。
村林氏によると、MUFGクラウドでは現在のところ、EC2やS3、RDS、ELB、VPC、Lambdaなど、10以上のAWSサービスをラインアップしており、実際にこれらを利用して本番稼働しているシステムが5つ、さらに現在開発中または検討中のシステムは「100以上」に及ぶという。そしてこのクラウドサービスは、基盤(インフラ)エンジニアだけでなく、アプリケーション開発者やユーザー部門にも開放していくべく、人材育成も進めている。
「われわれもまだまだクラウド活用を始めたばかり」と語る村林氏は、今後もさらに提供するサービス、スキル要員、クラウド移行対象システムの拡大を図り、MUFGクラウドを「自律的なインフラサービス」に進化させていきたいと語った。
「わたしは10数年前、オープンソースソフトウェアを推進する際に『みんなで使って良くしていきましょう』と呼びかけたことがある。AWSは“IT業界のシェアリングエコノミー”だと思っているので、AWSについてもみんなで、AWSとユーザー全員で進化させていけたらと考える」(村林氏)
この連載の記事
-
第9回
クラウド
高齢化・労働力不足の農業をヤンマーのロボットトラクターは救えるか? -
第8回
クラウド
NASAとAWSが挑んだ宇宙からの4Kライブ中継の舞台裏 -
第7回
クラウド
「AWSだって壊れる」を前提に考えた可用性向上策、リコー事例講演 -
第6回
クラウド
日本の聴衆を戦慄させたAmazonの3つのイノベーション -
第5回
クラウド
新サービス登場とともに旧システムを捨ててきたJINSのAWS活用 -
第4回
クラウド
1日1000本の記事を書いた日経の“AI記者”、その基盤にAWS -
第3回
クラウド
ソラコム、NTT東日本、ソニーモバイル、グリーが語る「それぞれのAWS」 -
第2回
クラウド
ハイレゾ音源を含む300TBをAWS Snowballで移行したレーベルゲート -
クラウド
事例に厚みが増したAWS Summit 2017レポート - この連載の一覧へ