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初の幕張メッセ開催となったAWS Summit Tokyo 2019基調講演

AWSJ長崎社長が語る「教育」「クラウドジャーニー」「機械学習」

2019年06月13日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 2019年6月12日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)は年次のプライベートイベント「AWS Summit Tokyo 2019」を開幕した。会場を品川から千葉県幕張メッセに移した今年の基調講演に登壇したAWSJ 長崎忠雄社長は、クラウドの教育、既存システムからの移行、そして機械学習などのテーマについて事例を交えて説明した。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏

数字で見るAWSの驚異的な成長

 米国で開催されるAWS re:Inventと同じような巨大なスペースが用意された幕張メッセの基調講演会場。「創造性」「テクノロジー」「挑戦」などをテーマにしたイントロダクションのアナウンスが流れる中、広いステージを活かした躍動感のあるダンスパフォーマンスが披露され、長崎忠雄氏が壇上に上がる。

躍動感のあるダンスから基調講演がスタート

 クラウドコンピューティングの最先端を学ぶというコンセプトのもと、2012年から開催されているAWS Summitの基調講演に長崎氏が登壇するのもすでに8回目。308ものセッションが開催される今年の登録者数は3万3000人以上を数えるという。

 長崎氏は、いつものようにAWSの最新アップデートを披露。年間想定収益は約3.3兆円にのぼり、四半期年間の成長率は41%を記録し、継続した成長を遂げている。また、グローバルでのフットプリントも21のリージョン、66のAZから構成され、ジャカルタ、バーレーン、ミラノ、ケープタウンなど4つのリージョンを建設中となっている。提供中のサービスは165におよんでおり、2018年には2年前の倍となる1957もの新機能追加が行なわれたという。

 また、グローバルのユーザー数は数百万にのぼり、Slack、Pinterest、Uber、LyftなどのグローバルスタートアップがAWSを採用する。金融機関、製造業、ヘルスケア、メディア、旅行会社などの多くの業界に顧客を抱えるほか、4000以上の公共機関、9000以上の教育機関がAWSを導入しているとのこと。実際、ガートナーの調査では、クラウドユーザーの2人に1人がAWSを選択しており、他のプレイヤーのシェアを倍にしても、AWSのシェアには及ばないとアピールした。日本でも数十万のユーザーがおり、Sansan、Preferred Networks、メルカリなどが採用するほか、エンタープライズでの導入が加速している状況だ。

クラウドユーザーの2人に1人がAWS

クラウド時代のスキルアップと令和時代のIT人材不足に対応

 基調講演のテーマの1つは、AWS Summitひいてはre:Inventのテーマでもある「エデュケーション(教育)」だ。クラウドの導入が加速し、AWSを扱えるエンジニアやAWSを理解する経営層やビジネスリーダーの需要はますます高まり、今後はAIやデータ分析、IoTなどのプロフェッショナルも必要になる。こうした中、AWSではさまざまな教育プログラムやユーザー同士のネットワーキングの場所を提供しているという。

 まず、昨年はスタートアップやAWSのエンジニアが集う「AWS Loft Tokyo」を目黒のAWSJオフィス内に開設。AWSのプロフェッショナルであるSAが常駐し、最新技術のハンズオンも開催されるAWS Loft Tokyoにはオープン以来、約2万5000名が利用しているという。また、開発者向けのイベントである「DevDay」も開催しており、こちらも5000人が参加しているとのこと。

 また、学びの場も日本全国で展開しており、APNパートナーと共催される「Cloud Express Roadshow」も23都市で34回開催。また、オンラインカンファレンスである「INNOVATE」ものべ5万7000名が参加し、7万時間が学習に当てられたという。さらに将来的なIT人材の供給不足に対応すべく、学術機関向けのAWS学習プログラムである「AWS Educate」を提供。国内では50の教育機関で採用されており 3500名の学生、200以上の教員が学んでいるという。

リアルイベントのCloud Express RoadshowやオンラインのINNOVATE

 イベントでは、こうしたクラウドの進展や人材不足について、IT・科学技術担当大臣である衆議院議員 平井卓也氏のビデオメッセージが披露された。平井氏は、国会でのデジタルファースト法の成立やクラウド・バイ・デフォルトの方針について説明し、「これからクラウドが社会の基盤になる。令和という時代は海外ではBeautiful Harmonyと紹介されているが、デジタル化社会が実装されていく中、令和の時代はデジタルとアナログをうまく融合させ、格差を広げない、人にやさしい時代にしたい」とコメント。その上で、「AWSはまさにクラウド事業者として地域社会、日本の経済に大きく貢献して参りました。令和の時代も引き続いてみなさんの力を日本の将来のために十分発揮していただきたい」と期待を語った。

IT・科学技術担当大臣である衆議院議員 平井卓也氏のビデオレターが披露

 長崎氏は、「アメリカは2012年、オバマ政権時代にクラウドファーストのポリシーを策定し、そこからクラウドの導入が飛躍的に増えた。日本政府がクラウド・バイ・デフォルトの方針を策定することで、日本全国のお客様が1つでもイノベーションを起こせるように支援していきたい」と語る。

「家電のネット化」でグローバルIoT基盤を作った三菱電機

 北米に遅れること数年、日本でもデジタルトランスフォーメーションが加速している。長崎氏は「われわれはデジタルトランスフォーメーションをソフトウェアによる価値の最大化だと捉えている。お客様の要望をリアルタイムに反映し、価値を高めていくことが必要になる。ハード主体からよりソフトウェア主体にシフトしていく必要がある」と強調し、動画配信事業者のNETFIXや金融機関のCaptalOneなどのデジタルトランスフォーメーション事例を披露した。

 こうしたハードからソフトへの移行、デジタルトランスフォーメーションの観点で登壇したのは三菱電機で家電や空調機器などの生産・販売を手がけるリビング・デジタルメディア事業本部の朝日宣雄氏だ。

三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 リビング・デジタルメディア技術部長 朝日宣雄氏

 リビング・デジタルメディア事業本部が手がけているいわゆる家電や空調機器は、コンシューマ製品として誰でも使える便利な機能を持っていたが、近年はスマートデバイスやクラウドとのサービス連携も進んできた。「このような動きは、われわれハードウェアメーカーにとっては大きな動き。お客様が操作する家電を作るという発想から、お客様の暮らしを支えるソリューションを提供するという考え方に変換してきた」と朝日氏は語る。

 この「家電のネット化」という流れは当然、グローバルでも共通しており、ネット接続もどんどん増えてきたという。しかし、これまで地域ごとに異なる要望に応えていたため、各国でIoTサービスがいくつもできてしまった。そこで2年前、グローバル共通のIoT基盤を構築することを計画し、AWSに行き着いた。「各国や地域で培ってきたソリューションを変えることなく、逆に知恵や実績を集めることで『暮らし空間のイノベーション』を実現しようと考えた結果、AWSが最適なプラットフォームだと考えた」と朝日氏は語る。

 各国のエンジニアの意見を集約し、グローバルIoT基盤はサーバーレスアーキテクチャを採用。「私の感覚では1年くらいかかると思いましたが、なんと4ヶ月で完成にこぎつけ、開発工数を大きく削減できました」と語る朝日氏。機器とサービスを連携したソリューションの開発に、AWSを支えるパートナーエコシステムが大きなメリットになるとアピールして、登壇を終えた。

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