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画像認識技術がスポーツを変える!アマチュアチームのレベルを上げるSPLYZA

スポーツシーンを盛り上げるアプリ「Clipstro」&「Spoch」

連載
ASCII STARTUP 今週のイチオシ!

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技術力には自信あり! 最初は仕事をもらってきてスキルアップ

Clipstroでの連続写真

 「Clipstroを作ろうとしたきっかけは、テレビでフィギュアスケートの連続写真を見て、自分でも使ってみたいと思ったこと。ウィンドサーフィンのトリック系の映像を自分で撮って、確認したかった。しかし調べてみると、類似ソフトは100万円くらいしたうえ、手作業が必要だった。弊社CTOとこれは絶対ニーズがあると言ってスタートしたのが2011年ごろ」(土井氏)

 そこから開発をして「Clipstro」がブレイク。なんと言っても、誰でも綺麗な連続写真が撮れるので、口コミで広まった。土井氏によればこの「誰でも」というのがキモだそう。

 「類似アプリはあるが、フリーハンドで撮影して、ここまでの精度が出るのは僕らだけだと思っている」

 この自信を支えるのは、SPLYZAの技術力だ。元々、同社CTOは3次元点群を扱うプロフェッショナルだった。特定の物体をデジタルデータに取り込む際、レーザーを当てて座標を取る。レーザーは複数の方向から当てるので、それぞれの座標系が異なる。それを点群として扱い、うまくぴったり合わせる必要があるのだ。この技術を「Clipstro」に応用し、複数の画像を組み合わせて、綺麗なパノラマ映像を作成している。

 スマホに搭載されているカメラにもパノラマ合成機能はあるが、線に沿って指定された速度でキレイに動かす必要がある。しかし、「Clipstro」では手持ちで適当に動かしてもOK。遠くにある背景をきっちり合わせて合成してくれるのだ。

背景合成のもととなる連続画像

 じつは起業時点では同社に画像認識技術の蓄積はなかったが、土井氏はスキルを上げるために、画像認識関係の研究開発の仕事を受諾。資金力のないスタートアップの裏技のような形で開発力を高めていった。

 だが結果的に、ウィンドサーフィンでは使えなかったと土井氏は笑う。画像を合成する際の座標を決めるためには、静止している背景が前提となる。競艇場の湖面くらいキレイに止まっている水面なら合成可能だが、海では無理だったようだ。その代わり、「Clipstro」はそのほかの幅広いスポーツのプレイヤーに受け入れられていった。

 現在開発しているのは、画像認識の技術を活用した「Spoch」での新しい解析機能だ。プロトタイプを見せてもらったところ、サッカーの試合映像が再生され、いっぽうで俯瞰映像が表示されている。映像と合わせて俯瞰で動いている人物がわかる仕組みだ。

 現在、15種目のスポーツチームに「Spoch」を利用してもらっているが、この機能はサッカーから開発している。サッカーで完成すれば、ラグビーやホッケー、バスケットボールなどの同じ陣取りゲームに横展開できる。後は、テニスやバレーボールのようなラリー系、その他の個人種目、という分類で進めればいい。

 「仕組みとしては、動画をアップロードしてもらうだけなので話が早い。とにかく、編集作業をゼロにしたいというのが目標。このような画像認識機能はユーザーの想像を超えていると思うので、マネタイズでの価値につながる。2017年7月末にはプロトタイプのファーストバージョンをユーザーに触ってもらいたい」

アマチュアスポーツ界に、役立つことをしたい

 技術的な目新しさがあるとはいえ、Clipstro もSpochもアマチュアスポーツが対象のため、投資家などのリアクションは悪かったようだ。

 「このビジネスに関してアイディアを出している時、99%がアマチュアスポーツなので、ニーズは絶対にあると確信してした。そもそも、スポーツメーカーはプロからではなくアマチュアから稼いでいる。プロスポーツから稼いでいるのはメディアだけなので。IT利用がなかったアマチュアスポーツ界に、役立つことをしたいと考えた」(土井氏)

 アマチュアもプロと同じようにサポーターがいて、現役選手の10倍はOBがいる。そのほとんどが、運用資金に困っているという。そんな人たちが「Spoch」を通じて状況を配信できれば、OB会費を回収しやすくなるという話も出ているそうだ。

 「プロとアマチュアではコストのレベルがまったく異なる。たとえば、Jリーグで実際に使っている俯瞰映像は、レンズが3つ付いているカメラを2台設置して、全方向から撮っているうえに、人力でのトラッキングもしている。だが、アマチュアではここまでやる必要はないし、精度が100%でなくてもいい。今まで得られなかった情報が8割でも得られれば便利になる」

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