NHKが東京都世田谷区砧のNHK放送技術研究所で研究成果を披露する「技研公開2017」が5月25日~28日10時~17時(入場無料)で開催される。その見どころをピックアップして紹介していこう。
「技研公開2017」のテーマは“2020年、その先へ、広がる放送技術”。2020年開催の東京五輪に向けたスポーツ中継向けの技術、そして昨年より試験放送をスタートさせ2018年には実用放送に入る「スーパーハイビジョン」関連、さらに「AI」というバズワードで解説されたスマートプロダクションにも注目だ。
東京五輪に期待のスポーツ中継の注目技術
まず注目したいのは、東京五輪での導入が期待される「三次元被写体追跡スポーツグラフィックシステム」だ。実際にバレーボールを追跡してのデモが実施されていたこの技術は、画面内のボールを機械学習を用いた被写体追跡を行ない、同時に複数台のカメラによりコート内の三次元位置を計測、ボールの速度と軌跡を高精度かつリアルタイムでCGとして描くもの。ボールの速度表示ができたり、軌道までも3次元では把握して描くことで、プレーの内容をよりわかりやすく伝える。
すぐの実用化が期待できそうなのが「実空間センシングによるスポーツ中継向け新映像表現技術」のコーナーで紹介されていた「サッカー映像の解析技術」。実際に放送されているサッカーのピッチ上の低解像度の選手の姿から、機械学習により8方向の顔の向きを検出、リアルタイムでピッチ上の選手がどちらを向いているかを表示するものだ。
デモ映像を見るとサッカーにの得点シーンによくある“裏から抜け出す”シーンで、ディフェンダーがボールの向きを見ている間に選手が飛び出すといったプレーの思考までもが丸わかり。そのままのCGが放送に用いられるわけではないが、リプレイや試合後の解説での活用に期待したい。
スポーツ関連では視覚障害者向けの「スポーツ番組の音声ガイド」もNHKらしい出展内容だ。通常スポーツ中継では目で見てわかる内容はアナウンサーは実況しないが、視覚障害者が番組を楽しむにはひとつひとつのプレイを声で説明することが不可欠。そこで、各競技オフィシャルで提供されるリアルタイム競技データから日本語文章を自動生成し、合成音声で読み上げる生放送対応のサービスだ。