通称マスタードパンツをゲット
先日、「ビクトリーショー」というミリタリーイベントに行ってきました。今回で第82回目になるミリタリー関連のフリーマーケットで、エアガンやモデルガンのショップ、ミリタリー系ショップ、個人のコレクターなど多数の出店があります。
例年、年に4回開催されているイベントなのですが、昨年は数が少なく、前回開催されたのが2016年7月と半年も前だったので満を持しての参戦です。いつもはハンヴィー関連の物はないかなと見て回るぐらいなのですが、今回はいくつか探し物がありました。
ひとつは米海兵隊が使っているFILBE(Family of Improved Load Bearing Equipment)と呼ばれるバックパックシステム。メインパックというフレーム付きの巨大バックパックのほか、普通のバックパックサイズのアサルトパック、飲み水を入れるハイドレーションパック、そのほかいくつかのポーチなどから構成されています。それぞれ単体で使うこともできるし、すべてを合体させて使うこともできるんです。コヨーテと呼ばれるベージュのような色をしていてキャンプにも普段使いにもいいなと思うんですが、残念ながらフルセットは見当たりませんでした。
もうひとつはなんでもないデザートカラーのブーツ。海兵隊のは持っているんですが、イベントで陸軍をやるため陸軍一般のタイプが欲しかったのです。よくあるブーツなのでいくらでも売ってるだろうと思ったんですが、これが意外と見つからず、あってもサイズが合わないものばかり。払い下げ品じゃなくて安いレプリカでよかったんですが、結局見つけることができませんでした。ミリタリーショップで安価な物が普通に売られているんで、こういう会場ではあんまり出回らないのかもしれません。
第二次世界大戦時の米軍の服もひと揃い欲しいと思っていたんですが、これは幸いにも会場に入ってすぐ、まずは下が見つかりました。通称マスタードパンツと呼ばれるズボンです。
デッドストックの新品なのかも
昔から軍装品を買っているもののコレクターというほどではなく、資料本などもたいして持っていません。買う物も服やライト、バッグといった実用品がほとんどで、ミリタリー趣味というよりもミリタリーファッション好きおじさんという程度です。
そのため特定のなにかを探すということはほとんどなかったのですが、最近ミリタリー系のなりきりイベントに参加することがときどきあって、必要な物を集めたりしています。デザートカラーのブーツを探しているのも、某イベントの2003~2004年の米軍装備というドレスコードに合わせるためです。
第二次世界大戦装備も同じ理由です。以前紹介したKT.ARTSさんが第二次世界大戦のころのジープやハーフトラックなどを所有しているんですが、それらを展示するイベントやミリタリーキャンプに誘われる機会が増えました。そのとき周囲のみなさんは大戦時の服装をしているんですが、ワタシはいつも普段着。なのでとりあえず服だけは揃えようと思ったのです。戦車兵のヘルメットとタンカースジャケットを持っているので、目指すはなんちゃって戦車兵。ほかに必要なのは米陸軍の野戦用シャツとパンツ、ブーツです。
見つけたパンツは中古品なので程度も問題ですが、なにより大事なのはサイズ。履けなかったら元も子もありません。つい先日ジーンズを買うときにワタシのいまの太まったウエストサイズを確認したところだったので、タグのサイズ表記を見ればオーケーです。で、2本あるパンツを見てみたところ、ラッキーなことに1本がたまたまジャストサイズでした。
ウール製なので虫食い穴が開いていることも多いんですが、見つけた物はとても状態がよく、穴も糸のほつれもないし、ポケットが擦り切れたりもしていません。状態を見る限り新品でストックされていたのかもしれません。価格も数千円とさほど高くもなかったので、もちろん即買いです。
マスタードパンツというのはマスタードのような色をしていることからそう呼ばれるようになったパンツで、製作年やメーカーなどによって多くのバリエーションがあるとのこと。第二次世界大戦直前の1937年に最初の型ができ、その後、形や色などが変化していったそうです。
大戦モノには詳しくないのですが、お店の人によると、1937年型の前合わせの部分にガスフラップが追加された1942年のころのタイプとのことでした。ガスフラップは毒ガス防御のために前合わせの部分に付けられた布で、終戦近くの型ではもっと小さくなっているそうです。色も少し違うのだとか。前合わせはジッパーではなくボタン式です。
内側は生成りのような白っぽい生地でした。点々とカビの跡のような薄茶色っぽい染みができていますが、破れもなく程度はいい方なのではないかと思います。腰のところにはサイズ表記のタグが付いていて、ウエストは32インチ、股下は29インチ。ふだん履いてるリーバイス511は32の32なのでウエストはまったく同じです。股下はどうせブーツを履くから30前後なら全然大丈夫です。
現用の米軍払い下げ品と同様に、このパンツにも名称などが書かれたタグが付いていました。タグはガーゼみたいなものもあればちょっとツヤツヤした固めのタイプもあり、これは後者でした。そのせいか、劣化することもなくハッキリと読み取れます。
タグによると正式な名称はTrousers, Wool, Serge, Special, O. D. Light Shade。Specialというのはガスフラップが追加されたときに付けられたそうです。O.D. Light Shadeは色のことで、明るめのオリーブドラブです。ODというとグリーン系のイメージですが、このころのODはいまよりずっと茶色というか黄色が強い感じです。
メーカーはMILLER MFG Co., Inc.。契約番号を表わすCont.はW-669-qm-25685で1943年1月19日の日付になっています。Spec. No.8-83Bというのはこの型に付けられた仕様番号で、制定されたのは1937年11月9日。型としては1937年型ということのようです。
物品管理番号を表わすStock No.は55-T-86669。現在はNSN(National Stock Number)という番号で物品管理していますが、このころはたんにStock Numberと言っていたようです。55-T-86651とプリントされていますが、なぜか最後の2桁の51がペンで69に修正されていました。Phila. Q. M. DepotはPhiladelphia Quatermaster Depotの略で、フィラデルフィア需品補給廠が管理を担当していたようです。
一番下にサイズが書かれていますが、31×29が32×29に書き換えられていました。Stock No.と同じくこれも理由は不明です。ペンで書かれた文字が滲んだりしていない点を見ても、やはりほとんど使われることなく保管されていたのではないかと感じました。
帰宅して履いてみたら、ちょっとだけ短く感じるもののほぼピッタリ。なかなかいい買い物だったと思います。パンツを買ったあとセットになるマスタードシャツも見つけたので、次回はそれをご紹介します。
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