Apple IIのキラーソフトとして
売上に大きく貢献したVisiCalc
最終的に“VisiCalc”と名づけられたこのソフトは、まずBYTE誌の1979年5月号に初めての広告が打たれ、その直後の1979年5月にサンフランシスコで開催された4th West Coast Computer Faire(WCCF)で動作デモがお披露目されて圧倒的な人気を博す。
画像の出典は、“Archive.orgのByte Magazone Volume 04 Number 05”
これに続き同年6月4日にニューヨークで開催されたNational Computer Conference(NCC)で正式に発表された。VisiCalcという名前そのものは、最終的にFylstra氏が決めたものだ。“Calcu-ledger!という名前はいかにも泥臭く、それもあっていくつかの名前がリストアップされており、その一覧の中から決められたのだという。
そのVisiCalcの名前は、WCCFやNCCで強く印象付けられたらしい。ニューヨークタイムズに掲載された、National Computer Conferenceのレポート(Layman's Trip into the Mega-Mega Land of Computers:レアマンの、コンピューターのメガ-メガランドへの旅)では、「信者たちが集まっているにも関わらず、コロシアムの看板画家たちは黄色いキャンバスに太黒い“VISICALC”の文字を記してパンテオンに追加している。皆が“VISICALC”を歓迎している」という記載があったほどだった。
このNCCの展示の後、まず夏頃に少数の早期顧客にVersion 1.35をリリース、そして10月頃にVersion 1.37を本格出荷する。価格は当初の計画通り100ドルであったが、32KBのRAMに加えてカセットI/FまたはApple Disk II(FDD)が必要となった。
結果、既存のApple IIのユーザーであっても少なからぬ(1979年当時で2000ドルほど)追加投資が必要であり、Apple IIを持っていないユーザーなら4000ドル近い出費が必要になった。このうちRAMに関しては、当初のApple IIこそわずか4KBのRAMしか実装していなかったが、DRAM価格の下落にともないApple Computer自身がRAMを48KBをフル装備したモデルを発売するようになって事実上解決している。
そしてVisiCalcは、Apple IIをビジネスユーザー向けマイコンとして拡販する、まさしくキラーソフトになった。実際、他のマイコンではこれにあたる機能を持つソフトは存在しなかったからだ。表計算ソフト、という新しいソフトウェアのジャンルがここで生まれたことになる。
もっとも厳密に言えば、メインフレームの上では表計算ソフトに近い概念のものはすでに存在しており、必ずしもVisiCalcが最初というわけでもなかった。とはいえ、これをマイコンで動くようにした最初の製品がVisiCalcであったことは間違いない。
画像の出典は、“Dan Bricklin's Web Site”
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第886回
PC
CFETの足を引っ張るPMOSを救え! imecが提案する新絶縁層と、あえて精度を緩める「Notch Alignment」の妙手 -
第885回
PC
TSMCも次世代「CFET」の全貌を披露! Forksheetスキップの背景と、世界最小6T SRAM実証で見えた2030年への布石 -
第884回
PC
Samsungが次世代CFETの試作に成功! IBMの10万ドル方式に対抗する、量産重視な「一括形成プロセス」のリアリティ -
第883回
PC
TSMCのA16プロセスの詳細が判明! 性能向上の主因はトランジスタではなく裏面電源供給(SPR)にあり? -
第882回
PC
IBMが0.7nmチップの製造に成功! 変態的CFET構造NanoStackの凄みと、あまりに高すぎる製造コストの壁 -
第881回
PC
同一周波数で消費電力18%削減! 進化した「Intel 18A-P」はどこが変わったのか? -
第880回
PC
次世代NVLinkの布石か? TSMCの光電融合技術「COUPE」がもたらすAIサーバーの光接続 -
第879回
PC
なぜAIには「光」が必要なのか? NVIDIAが解説するスケールアップネットワークの低遅延・省電力化戦略 -
第878回
PC
もはや銅配線は限界? 3200Gイーサネット実現に立ちはだかる200GT/秒の壁 -
第877回
PC
「不良品ゼロ」と「水冷NG」の狭間で。ルネサスが明かした車載チップレットSoCのリアル -
第876回
PC
このままではメモリーが燃える! HBM4/5世代に向けた電力供給の限界と、Samsungが示すパッケージ協調設計の解 - この連載の一覧へ











