このページの本文へ

160Tbpsの大西洋横断ケーブルが2017年中に稼働

最短経路を自動構成、Azureを使う際のネットワークを知ろう

2017年03月17日 09時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

米マイクロソフトのAzureチームは米国時間3月15日、同社がグローバルに展開するデータセンター間を接続するバックボーンネットワーク、および顧客がAzureに接続するネットワークについて紹介するブログを公開した。ブログでは、ネットワーク拡張に関する同社の指針や、2017年中に稼働する予定の大西洋横断ケーブルについて説明しているので、内容を紹介したい。

 マイクロソフトは、世界38地域に数百のデータセンターを構え、これを基盤としてAzureのほか、Office 365、Bing、OneDriveなどのクラウドサービスを運用している。すべてのデータセンター間はマイクロソフトの自社バックボーンネットワーク(Microsoftネットワーク)で接続されており、顧客は同社が世界120カ所に配置したエッジノードを通じてMicrosoftネットワークに入り、クラウドサービスにアクセスする。

 このようなグローバルなネットワークを構築、拡張、運用するにあたって同社が指針としているのは、「低遅延化のために可能な限り顧客の近くに配置する」「耐障害性強化のためネットワーク容量を継続的に増やしていく」「SDNを積極活用して大規模なトラフィックを管理する」の3点だ。

2500以上のパートナー回線とダイレクト接続されたエッジノード

 Azureのサービスを利用する際のネットワークレイテンシは、顧客からデータセンターまでの距離に依存する。マイクロソフトでは、独自ソフトウェアを使ってネットワークのルーティングを最適化し、顧客とサービスの間に最短のネットワーク経路を構築、展開しているという。

 顧客からAzureへのトラフィックは、エッジノードを通じてMicrosoftネットワークに入る。エッジノードは世界120カ所以上に配置されており、2500以上のインターネットパートナーの回線とダイレクトに相互接続されている。ダイレクト相互接続は、ホップ数が少なくネットワークパスに優れている。豊富なダイレクト相互接続の選択肢の中から、顧客にとって最短のネットワーク経路を構築することで、レイテンシを低く抑えている。

世界120カ所以上に配置されたMicrosoftネットワークのエッジノード

ExpressRouteでは海外リージョンへの接続にバックボーンネットワークを利用

 ここまでは、インターネットからAzureへ接続する場合の話だ。インターネット接続の場合は、上記のように最適なエッジノードが自動選択され、顧客からはどのエッジノードに接続されたかはわからない。一方、Azureへの専用線接続サービス「ExpressRoute」を使った場合は、一部のエッジノードに置かれたExpressRouteエッジサイトに(パートナーがする閉域網を利用した)プライベートネットワークで接続し、Microsoftネットワークに入る。ExpressRouteエッジサイトは世界に37つ展開されており、顧客は接続するエッジサイトを指定して、Azureへアクセスする。

 一度ExpressRouteでMicrosoftネットワークに入ると、その先の通信にはMicrosoftネットワークが使われる。たとえば、顧客が日本のローカルExpressRouteエッジサイトに接続してそこから米国リージョンの仮想マシンを使うケースでは、リージョン間の通信は高速なMicrosoftネットワーク上で行われる。

ExpressRouteエッジサイトまでの専用線を提供するネットワークパートナー企業

 ExpressRouteを利用するか否かに関わらず、データセンター間のAzureトラフィックは、Microsoftネットワーク上にとどまり、インターネット上には流れない、たとえば、Azureの仮想マシン、ストレージ、SQL通信間のトラフィックはMicrosoftネットワークを横断する。同一リージョン内のVNet間通信でも、クロスリージョンでのVNet間通信でも同様だ。

6600キロメートルの大西洋横断海底ケーブル「MAREA」を敷設

 クラウドサービスのネットワークは、トラフィックの急増に迅速に対応できる必要がある。そのためにマイクロソフトは、バックボーンネットワークの帯域幅を拡大することに投資を続けている。同社は過去3年間で、バックボーンネットワークの容量を7倍に拡大したとする。特定の地域では、最大1.6Pbpsのデータセンター間帯域幅をサポートしている。

 最新の投資としては、Facebookと共同で、米国バージニアとスペイン・ビルバオをつなぐ6600キロメートルの大西洋横断海底ケーブル「MAREA」を敷設した。MAREAは、8本のファイバペア―で構成され、設計容量は160Tbpsだ。SDNの原則を海底ケーブルに適用し、仮に船舶が海底ケーブルを切断したとしても、自動ルーティング機能を備えた多数の物理ネットワーキングパスによって、ネットワーク障害を回避できるという。

 このSDNテクノロジーは、マイクロソフトとマイクロソフトリサーチが協力して開発したものだ。標準的なスイッチとルーターの上に、SWANというSDNベースのアーキテクチャを採用した独自ソフトウェアを実装し、Microsoftネットワーク上の膨大なトラフィックを管理している。 SWANは、ネットワークインフラを集中管理するもので、トラフィックの需要に応じてネットワークブレーンを自動的に再構成するといった制御を行う。

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    PC価格高騰で4割の企業が「調達を延期」/“謎のExcelマクロ”は業務継続リスク/日本のデジタル行政、利用率・満足度とも最低レベル、ほか

  2. 2位

    ビジネス・開発

    「ドラクエXの世界観を壊さない」Gemini実装 プロンプトからセキュリティ、サーバー設計まで工夫の数々

  3. 3位

    ビジネス・開発

    首都高が「AIの高利用者」を1年で10倍に 非IT人材に刺さったGemini Notebookと“泥臭い”浸透策

  4. 4位

    TECH

    【提言】フロンティアAIが生む“脆弱性パッチの波” 企業はパッチ適用プロセスの見直しを

  5. 5位

    TECH

    「SCS評価制度」取得を目指す中堅・中小製造業のリアル 富士工業が考える「セキュリティは経営に役立つのか」の答え

  6. 6位

    TECH

    生命がわずかな熱を細胞内で維持する新しい原理を発見

  7. 7位

    デジタル

    約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため

  8. 8位

    デジタル

    属人化の解消は多忙な“Aさん”を救うことから 切り札は「kintone×AI」を自然に使わせる仕組み

  9. 9位

    デジタル

    平均年齢60歳の現場を変えたZ世代女子 kintoneで電話・紙・入力をなくしたら、仕事が楽しくなった

  10. 10位

    デジタル

    大企業導入も順調なkintone AI時代の“市民開発×ガバナンス”基盤を目指す

集計期間:
2026年08月19日~2026年08月25日
  • 角川アスキー総合研究所