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第1回 「VAIO、法人向く。」の現在を探る

日本のビジネス市場の要望を取り入れて不満をなくすことがVAIOとしてのものづくり

文●飯島範久 聞き手●ASCII

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『VAIO S11』はVGA端子やLAN端子が備わりつつ、LTEを内蔵したモデル

日本市場を考えた商品企画ができるようになってきた

――あえて日本のビジネスパソコンをつくる思いとは?

花里 日本のビジネス市場はレガシー仕様が残るなど特殊で、グローバル対応のメーカーさんは、海外市場のほうが大きいので、日本市場に特化した製品をつくるのはなかなかできないと思います。弊社は、国内に完全フォーカスしておりますので、よりお客さまの要望を真摯に受け止めて、そういったものづくりをしっかりしていきたいと思っています。

――ソニー時代はグローバル展開をしていて、日本市場と海外市場とで仕様をつくる上で迷うことはありましたか?

花里 当時は迷うどころか、そんなことは考えられていなかったですね。今でこそ16:9の画面になっていますが、当時は4:3でしたので海外では「なぜ4:3なのか?」とずっと言われていました。マイクロソフトのパワーポイントが16:9に対応したので、なおさらそう言われていたのですが、日本のお客さまが4:3に固執していたのです。ソニーは、ワイド画面化を率先していたのですが、そんな中で私が企画した4:3のノングレアというVAIO TypeG(2006年)は、つくるのに苦労しました。日本でしか売れないからです。その時の経験から、品質試験などは当時つくったコンセプトを継続的に続けてきてくれて、今の会社にも生きています。

2006年に発売された『VAIO TypeG』

――VAIOが他社に負けないところはなんですか?

花里 グローバルメーカーの場合は、日本向けの商品を最初からつくれないので、われわれが安曇野に工場があるのは、上流設計にすべてのプロセスを組み込むこと。つくれるからつくるのではなく、つくったあとの品質、調達、分解のしやすさ、サービスの質を含めて、最初の上流設計の時点で商品企画をしています。そこに日本固有のユーザーさんの意見を盛り込むのは、グローバルメーカーではできないと思います。その分、コスト面に関しては他社に比べて不利な部分はあるが、それを埋める商品の品質、サポートを含めて、選んでいただくお客さまは、導入も価格しか見ていないのではなく、パソコンを使っているライフタイムでコストを見ています。そこをご理解いただけるようアピールしていきたいですね。

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