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セミナー・イベント情報@プログラミング+ 第7回

新垣結衣主演のあのドラマにテレビ×ソーシャルが見えた

3/17開催「TV meets Data」この番組を見たらこのブランドが好きになった!

2017年03月02日 17時00分更新

文● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所)

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テレビとデータ、テレビと人工知能の行方は?

 大量のデータを解析していくことで新たな価値を生み出す、いわゆるデータサイエンスを応用した取り組みが、産業界の大きなトピックとなっている。テレビにおいて、それはどこまで来ていてどこに向かうのか? 3月17日(金)、TVメタデータを提供する株式会社エム・データとTwitterのエンタメ全量解析を提供する角川アスキー総合研究所が「TV meets Data」と題するセミナーイベントを開催する。

 第一部では、大量のデータの活用によっていよいよ注目される「人工知能」のテレビでの可能性について、株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部リードAI リサーチャーの三宅陽一郎氏と株式会社ドワンゴ 企画開発本部 第六企画開発部 部長の小田桐優理氏が登壇。エンターテインメント分野では人工知能を着実に応用してきたのがゲーム業界。一方、ドワンゴのniconicoでは、画像解析によるレコメンドや不適切コメントの対応など、さまざまな形でディープラーニング技術を活用している。三宅氏は、主としてクリエイティブの視点から、小田桐氏は、データ解析の視点から、両社の取り組みを解説。テレビを中心としたエンターテインメント分野と人工知能の可能性についてディスカッションするセッションだ。

 第二部は、主催の2社から角川アスキー総合研究所の吉川栄治、エム・データ ライフログ総合研究所(Life Log Lab.)所長の梅田仁が登壇。「発表!新指標“スポンサードバリューインデックス”!+TVデータ・ネタ出し放談」と題して、ツイッター上の反応からあらゆるエンタメを分析してきた吉川と、TVメタデータを様々なデータと掛け合わせて時代を解析してきた梅田。最先端のデータアナリストである二人が、これまで取り組んできた分析結果を一挙にネタ出し、テレビを中心にしたメディアの状況とそのマーケティング的な価値を語る。そして、TVメタデータとツイッター解析の結果として導き出された新指標「スポンサードバリューインデックス」の仕組みとデータをこの機会に初めてお披露目する。“テレビ番組に提供する広告価値”を測る指標としてのビジョンを議論する。メディア業界や広告主企業の方まで、マーケティング界の方々に参考になるセッションとなるはずだ。

番組とCMの関連付けデータをもとに、番組視聴者のCM関連ツイートがふだんに比べてどれだけ増加したかを測定することが可能になった。

 株式会社エム・データが提供するTVメタデータとは、「いつ・どの局のどの番組やCMで・誰が・どんな話題や商品が・どのくらい放送されたか」といった情報を網羅的に記録して集計したデータ※1。一方、株式会社角川アスキー総合研究所の提供するTwitterのエンタメ全量解析」は、通常のTwitter検索が、件数制限されるのに対して全エンタメツイートを対象に分析するデータのことだ※2。この2つを掛け合わせたことで、今回発表する新指標をはじきだせるようになった。

 次の図は、昨年10月~12月にTBSで放送された新垣結衣主演のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』について、その番組をスポンサードした企業・商品について“放送前”と“放送期間中”のツイート数・ユーザー数を比較したものとなっている。このデータによって、視聴者が「その番組を見たことで、番組をスポンサードした商品やブランドに感心を持ち、さらにはツイート(エンゲージメント)した」ようすがわかる。

『逃げるは恥だが役に立つ』をスポンサードしたブランド・商品についての放送前・放送期間中のツイート数、ツイートユーザー数比較。

 同番組をスポンサードした「コンビニエンスチェーンA」は、生活に密着した業態であることから放送前でも69,259回のツイートがあったが、放送期間中は99,532回へと大きく伸ばしている。一方、「自動車メーカーA」が発売する「自動車D」のように放送前は42回とわずかしかつぶやかれていなかった商品が、放送期間中には750回とツイートされている。自動車Dは、伸び率にして1786%にもなる(セミナー当日には具体的な事例をまじえて詳解予定)。

 日本は世界でもTwitterが強い国だといわれる。Twitter Japanによると、日本の同サービスの月間アクティブユーザー数(MAU)は約4000万。これは、LINEの約6400万にはおよばないが(それぞれ昨年9月)、海外では強いFacebookよりはるかに多い。その理由として、日本は地上波テレビが強いという点があげられる。

 先ほども触れた『逃げるは恥だが役に立つ』は、Twitterのエンタメ全量解析で見ると、昨年の秋ドラマで、総ツイート数では『好きな人がいること』(フジ)の4,038,164件、『大河ドラマ 真田丸』(NHK)の3,766,513件に次ぐ、2,716,587件という数字だった。ところが、瞬間風速的なツーイト占有率(10分刻みで集計した日本の全ツイートに占める割合の最高値)では、実に15%に達している。日本の全Twitterユーザーの数分の1の人が、ほぼ同時にこのドラマに反応したとはにわかに信じがたい数値である。これは、テレビのメディアパワーを再認識させるとともに、テレビというメディアの生態のいまをうかがい知る思いのするものだ。

『逃げるは恥だが役に立つ』のピークツイートレート(10分刻みとした日本の全ツイートに占める占有率の最高値)は驚異的だ。

 ビッグデータの世界では、「21世紀の天然資源」とも例えられる“データ”。テレビがその“データ”と出会ったときに、何が生まれるのか? 人工知能によるさらなるテレビの価値最大化も展望しながら、その可能性にご興味のある方は、ぜひご来場いただきたい。

登壇者

三宅陽一郎
株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部リードAI リサーチャー

 人工知能学会編集委員、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、国際ゲーム開発者協会日本ゲーム AI 専門部会代表、デジタルコンテンツエキスポ委員、CEDECアドバイザリーボード。デジタルゲームにおける人工知能技術の理論的確立と実際のゲームタイトルへの具体的導入に従事。 単著『人工知能のための哲学塾』(BNN 新社、2016)、『人工知能の作り方』(技術評論社、2016)。共著『デジタルゲームの教科書』(SBCr, 2010)、『デジタルゲームの技術』(SBCr, 2011)、『絵でわかる人工知能』(SBCr, 2011)ほか。


小田桐優理氏
株式会社ドワンゴ 企画開発本部 第六企画開発部 部長

 2008年にフューチャーアーキテクト株式会社に入社しデータ分析事業の立ち上げに従事。2014年に株式会社ドワンゴに入社し、niconicoのレコメンデーションシステムの開発を担当。その後、コメント解析システムや画像解析システム、コンピュータ囲碁プロジェクト等の、機械学習が含まれる各種研究開発プロジェクトの立ち上げから実サービスへの適用を担当。研究開発部署であるドワンゴメディアヴィレッジの立ち上げを行い、現在は各種コンテンツの解析と生成に関する研究開発を行っている。

吉川栄治
株式会社角川アスキー総合研究所 取締役

 2000年2月角川アスキー総合研究所の前身となる角川デジックスに入社。2014年よりソーシャル関連研究開発の担当取締役に就任。2008年YouTubeにおける動画マネタイズのための動画識別技術の実証実験に参加。2014年電子書籍の売上促進を目的に世界初となるTwitterのTL上でepubが読めるサービスを開発。2015年エンタテインメントコンテンツの人気度、認知度を測定するためNTTデータ、東大喜連川研究室、Twitterの協力を得てエンタテインメントに関する全量ツイートをリアルタイムに解析する技術開発に携わる。現在、この技術を元にコンテンツ評価指標の研究開発を行っている。

梅田仁
株式会社エム・データ ライフログ総合研究所(Life Log Lab.)所長

 日本アイ・ビー・エム マーケティング・コミュニケーションズ部長、アップル シニア・マーケティング・プロデューサーを経て、2013年、エム・データ ライフログ総合研究所を設立、TVメタデータを用いたコンサルテーションを行う。

境治
コピーライター/メディアコンサルタント

 1987年、広告会社I&Sに入社しコピーライターになり、93年からフリーランスとして活動。その後、映像制作会社ロボット、ビデオプロモーションに勤務したのち、2013年から再びフリーランスとなり、メディアコンサルタントとして活躍中。近著「拡張するテレビ」(宣伝会議刊)。有料マガジンMediaBorder発行(http://mediaborder.publishers.fm/

遠藤諭
角川アスキー総合研究所 取締役兼主席研究員

 1990~2002年まで『月刊アスキー』編集長。角川アスキー総研では、スマートフォン以降のライフスタイルの変化を専門とした調査・コンサルティングを、コンテンツ・通信・メーカー等に提供している。Tokyo MXの朝番組「モーニングクロス」のコーナー週刊アスモノで最新のデジタルトレンドを解説。著書に『ソーシャルネイティブの時代』、『ジェネラルパーパステクノロジー』、『新装版 計算機屋かく戦えり』など(Twitter:@hortense667

(敬称略)


【開催概要】
■TV meets Data
 この番組を見たらこのブランドが好きになった
■開催日時:2017年3月17日(金)
      14:30開場、15:00~19:00
■会場:角川富士見ビル 1階
    〒102-8552 東京都千代田区富士見2-13-12
http://ir.kadokawa.co.jp/company/map/fujimi04.php
■主催:株式会社エム・データ
http://mdata.tv/
    株式会社角川アスキー総合研究所
http://www.lab-kadokawa.com/
■プログラム:
 14:30 開場
 15:00 第一部 エンタメ×人工知能でテレビ体験はどう変わるか?
  三宅陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部リードAI リサーチャー)
  小田桐優理 (株式会社ドワンゴ 企画開発本部 第六企画開発部 部長)
  司会:遠藤諭
 16:30 第二部 TVデータ・ネタ出し放談〜新指標“スポンサードバリューインデックス”発表!
  梅田仁(株式会社エム・データ ライフログ総合研究所(Life Log Lab.) 所長)
  吉川栄治(株式会社角川アスキー総合研究所)
  司会:境治
 18:00 懇親会
(敬称略)
■参加費:1万円(税込み)
※懇親会は軽食と飲み物となります。費用は講座参加費に含まれています。
■参加登録はコチラから!
==>http://lab-kadokawa14.peatix.com(Peatixの予約ページに遷移します)。

注釈

  1. TVメタデータ(http://mdata.tv/metadata/
  2. リアルタイム・トレンド・アナリティクス(http://guide.rt-trend.jp/

【お詫び】初期公開時に掲載した図判が間違っていました。お詫びして訂正いたします。

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