富士通の本気すぎる軽量ノートのヒミツに迫る!!
衝動買い推奨!! 新「LIFEBOOK UH」のスゴさを開発陣に聞いてきた! [UHシリーズ:UH75/B1・UH90/B1・WU2/B1] (3/5)
2017年03月09日 17時00分更新
薄さと堅牢性に対する新LIFEBOOK UHの強いこだわり
――本体の高さが15.5mmと非常に薄いのですが、堅牢性についてはどのように確保されているのでしょうか?
阿部氏 従来のLIFEBOOK SHシリーズは"超圧縮ソリッドコア"という技術を用いて堅牢性を確保していますが、これは内部にいろいろと部品を配置するからこそ実現できたんですね。
今回のLIFEBOOK UHでは軽量化を実現するにあたって不要な部品を排除していかなければならないので、設計の基本思想をシンプルにすることを心がけました。たとえば空いている空間をなるべく少なくしたり、ボディのケースに関しては「バスタブ構造」と呼ばれる周囲がL字型の構造を採用したりすることで、圧迫と落下時に対する強度を担保できるようにしています。
本体のデザインを担当するデザイナーとしてはもっと薄くしたかったんでしょうけれども、バスタブ構造のような箱型にすることで強度を確保できるので、その部分は重視しています。底面カバーの立ち壁もしっかりL字にするとか、ほかの部分については板厚は薄いんですけど、側面に関しては板厚を出して強度を確保しました。
そしてなおかつ押したときにフカフカするような不快感がないように、きょう体で衝撃を受けられるところは受けるようにしています。ほかにも画面が割れたりすることがないようにですとか、カット&トライで検証を重ねた部分が大きいですね。
石川氏 今回は今までと設計のやり方を変えているんですよ。とにかく「ものすごくシンプルに作る」と指示しました。従来は軽くするために構造物を削ったりしていたんですけど、今回は逆にまずシンプルに作って、構造物を足していくというやり方をしています。
たとえば本体のケースにはマグネシウムを使っているんですけど、最初にある程度の強度をもった軽いものを作ってから、強度を増すために部品や構造物を継ぎ足しました。軽量化を前提にしつつ、堅牢性を高めていったというところですね。
――天面カバーの素材には、何が使われているんですか?
石川氏 実用金属ではいちばん軽いといわれているマグネシウムリチウム合金を使っています(UH75/B1のみ)。本体カバーはマグネシウムなんですけど、天面カバーはマグネシウムリチウム合金です。このサイズだとマグネシウムを使うよりも14g程度軽くできるんですよ。天面側はある程度の強度があればいいので、できるだけ軽くするためにマグネシウムリチウム合金を鍛造切削という作り方で仕上げています。底面部のカバーについては堅牢性が欲しいので、ダイキャストという作り方を採用しました。
河野氏 今日は担当者が不在なんですけど、これまでにない軽いモバイルノートということで、かなりイジワルで厳しい堅牢性の検証をしています。たとえば画面を持って持ち上げたりだとか、自転車のカゴ入れて運んだりとか。
石川氏 かなりハードな使い方も想定していまして、そのあたりはちゃんとクリアーしています。
(編注:検証結果についてはテストのために行なったもので、実際の強度を保証するものではありません)
――強度を上げるために内部の密度を上げていくと熱に対する不安もでてきますが、そのあたりについては?
阿部氏 当初の設計データと実際の製品では、吸排気口の形状や位置が変わっています。実はそこが、設計形状で苦しんだ部分です。本体が薄くて部品が集密になっているので、熱が集中する場所が出てきました。エアフローを見直して、けっこう大きく変更しています。熱対策はきょう体側でも施しているんですけど、CPUなど回路側の担当者にも協力してもらって制御を変えるなどして、いろいろと調整しながらうまく実現しました。
シミュレーション上では底面の吸気口から取り入れた空気を、熱が発生する部分に当てて排気すればいいだろうと想定していました。しかし実際には内部がどうしても熱くなってしまうので、最終的に通気口の形や位置を変えたり、部品を足したりしてエアフローを改善しています。