ゲームのサラウンド感の再現がスゴイ!
試聴して驚くのは自然な音場の再現だ。頭の中で音が響く感覚は完全になく、自分を取り巻くように音場が再現される感覚はスピーカーによるリアルな9.1ch再生と遜色がない。
後方への音の回り込みや定位感も良好で、ホラー映画などを見ていると後ろで鳴った足音を実際に誰かが近づいてきたものと勘違いして後ろを振り返ってしまうほどだ。
基本的な音質もソニーらしいメリハリを効かせた聴きやすいもの。個々の音の粒立ちがよく、定位も明瞭だ。低音もなかなかの力強さでアクション映画の爆発音や銃撃音のような音も迫力を損なうことなく楽しめる。
強いていうならば、Dolby Atmosなどに対応した後継機の登場にも期待したいところだが、このサラウンドの再現は現在でも十分に優秀。
ゲームなどで後方の定位までしっかりと再現でき、しかも深夜でも周囲の迷惑の心配がないサラウンドヘッドフォンとしては最適なモデルだ。
2017年はDolby AtmosやDTS:X対応のサウンドバーも
続々と登場するはず!
Dolby AtmosやDTS:X対応のサラウンドシステムを期待していた人には申し訳ないが、まだまだ普及途上にある新しいサラウンド方式は製品の価格も高くなりがちで製品としてはまだ数は少ない。
現時点でDolby AtmosやDTS:X対応のサウンドバーとなると、国内ではパイオニアの「FS-EB70」(実売価格 12万円前後)のみ。
このモデルは3chスピーカーとトップスピーカーのためのドルビーイネーブルドスピーカーを内蔵しており、3.1.2chの再生が可能。これにバーチャル再生技術を組み合わせることで、リアル3.1.2ch+バーチャルサラウンド再生ができるというもの。サウンドバーとサブウーファー、AVアンプがセットになる3ピース構成だが、使い勝手の点は大きな差はないだろう。
そして、年初に開催された「CES 2017」では、ソニーがDolby Atmosに対応したサウンドバーを発表。7.1.2chの再生が可能というもの。
サウンドバーとサブウーファーの組み合わせという構成は同社の従来製品と同じだ。時期や価格は不明だが、国内向けにも発売が予定されていると思われる。
もちろん、ソニーだけでなく、サウンドバーを発売しているメーカーの多くも続々とDolby Atmos対応のシステムを発売するようになってくるはず。
価格的には10万円前後の高級機の部類になってしまうとは思うが、ドルビーアトモスやDTS:Xへの対応に期待する人は今後の動向に注目しよう。
サウンドバーとヘッドフォンで、エントリーから中高級機までおすすめのモデルを紹介してきたが、ハードルが高いと思われたサラウンドシステムも、かなり身近なモデルが充実していることがわかっただろう。
臨場感を高めるサラウンドの音響は、映画や音楽だけでなく、ゲームやVRコンテンツにも波及することは間違いないはず。ゲーム好き、VR好きという人はぜひともサラウンドにも注目してほしい。
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