ボーズやヤマハに真っ向勝負!?
ソニーの小型サウンドバー「HT-MT500」
ボーズやヤマハの人気はコンパクトなワンボディーで設置がしやすい点にあると思われる。
サウンドバー全体のシェアでは上位を競っているソニーも、こうしたコンパクトなサウンドバーに新モデルを投入する。それが3月11日発売予定の「HT-MT500」(予想実売価格 7万5000円前後)だ。
価格的には1クラス上となるが、贅沢にもハイレゾ対応となったサウンドバー。そのサイズは横幅500mmというコンパクトさとなっている。それでいてBluetoothに対応し、ソニー独自のLDACコーデックもサポートしている。
本機はワイヤレス接続のサブウーファーを組み合わせているのがポイントだ。サブウーファーも、幅383mm、高さ95mmのスリム形状として設置の容易さを追求している。
このサブウーファーがなかなかユニークな代物で、スリムなタテ置きで部屋の好きな場所に置いて使うほか、設置自由度の高いワイヤレス接続であることを活かし、ヨコ置き時はソファーの下に収納する置き方を提案している。
ヨコ置き時はサブウーファーが上向きとなってソファーに音が放射されるような再現となるが、設定により「ソファモード」を選択すると、サブーファーの距離による音のズレやソファー越しの再生となる音色の変化を補正する。
このためにサブウーファーのサイズも多くのソファの足元の空間を実測し、ほとんどのソファーの下に入るようにヨコ置き時の高さを95mmとしたそうだ。
そして、ハイレゾ対応となるサウンドバーのスピーカーも、独自のフルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載。ハイレゾ音源はリニアPCM最大192kHz/24bit、DSD最大5.6MHzの再生が可能だ。
また、圧縮音源やCD音源もハイレゾ相当に高音質化する「DSEE HX」など、ウォークマンなどでも採用される高音質技術を採用している。それに加えてサラウンド再生にも対応。「S-Force PROフロントサラウンド」で、より豊かなサラウンド再生を可能にしている。
さらには、同社のWi-Fi対応スピーカーなどを追加して、後方の音を再現する「ワイヤレスサラウンド」にも対応するので、後から本格的な5.1chシステムへとグレードアップすることも可能だ。
ソファーの下にサブ―ファーを置く
この発想は面白い!
今回は同社で試聴したが、ハイレゾ音源のステレオ再生では、横幅の短いサウンドバーにありがちな左右の広がりに乏しい感じがなく、なかなかに広がり感のある再生とハイレゾらしい高さを感じる空間まできちんと再現できていた。
音色としては映画サウンド寄りのメリハリの効いたものだが、アコースティックな楽器の音色、声の自然なトーンなどハイレゾらしい自然な音の再現もしっかりとこなしていた。
そして低音の伸びや再現性はさすがは別体のサブウーファー付きということで、ワンボディタイプと比べると1クラス上のスケール感が得られた。置き場所の問題などはあるが、やはりサブウーファー付きの方が迫力ある音になる。
そして、映画ではサラウンド再生を聴いたが、前後左右の音の定位や移動感も、良好な効果が得られる範囲はほぼ真正面で2~3人が並んだくらいに限られるものの、後方への音の移動も含めて十分な再現が得られていた。バーチャル再生としてはこちらもサラウンドの再現性はなかなか優秀だ。
そして、一般的な前側にサブウーファーを置いた設置とソファーモードと比べて聴くこともできた。一般的な設置ではサブウーファーは量感たっぷりに雄大に鳴る感じで、迫力やスケール感ではこちらの方が好ましいとも感じた。
着座したソファーの下にサブウーファーを移動してソファーモードで聴くと、低音自体はややタイトに感じた。個人的にはこれくらいにタイトで締まった低音の方が好みなので、物足りなさはない。この違いが、設置位置による補正の変化で、ソファーモードは視聴位置から距離が近いため音質や音量的にも最適になるように調整されているという。
面白いのは、ソファー越しに低音の響きが背中やお尻に伝わってくるところ。昔懐かしいボディーソニック的な感じがあり、アトラクション的な効果が得られたのは興味深い。薄型のサブウーファーでないと実現できないことではあるが、ソファーモードはなかなか実用性もある設置だと思う。
次回はお手軽だけど本格的なホームシアターを紹介!
映画や音楽ソフト、一部のテレビ番組くらいのものだったサラウンドだが、VRコンテンツが普及するようになると、サラウンド採用もますます増えてくると思われる。
PCやスマホなどでもサラウンド再生が当たり前という状況がすぐにやってきそうな雰囲気だ。今回紹介したヘッドフォンやサウンドバーならば、より本格的な音で臨場感たっぷりに楽しめるだろう。
もちろん、Dolby Atmosを含めた本格的なサラウンドを求める人もいるだろう。最終回となる第3回では、大げさなリアル5.1chシステムではなく、あくまでも手頃な範囲で本格的なサラウンドを実現できるシステムを詳しく紹介しよう。
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