2017年こそキーボードからの脱却は可能!?
さて、ここまで書き初めの原稿を書いてきて、正直しんどいものですね。休みが抜けないとか、早起きが辛いとか、そういうわけではなく、今朝もシャキっと6時に起きましたが、とにかく指先がなまっていて、いけません。
仕事納めから書き初めまで、1週間もキーボードを叩かない日々が続いたため、タッチタイピングの指が全然思うように動かないのです。普段何気なくこなしていたタイピングにこんなにも苦戦するとは……。リズミカルにキーを叩いていく感覚や、そのキーボードを使いこなしている感覚は、一種の集中力と心地よさを感じる部分です(と、自分で書いていて若干気持ち悪さを感じますが)。
ただ、こうした経験は貴重です。多くの人にとって、必ずしもタイピングは気持ちよい体験ではなく、むしろ面倒な経験であるからです。残念ながら現在のコンピュータは、キーボードとマウス、そして最近ではタッチ操作の善し悪しで、操作の速度や効率性が変化してしまいます。 使いやすいペンを選ぶように、使いやすいキーボードやマウス、トラックパッド、あるいはそれらを搭載するパソコンを選ぶというのは、向こう4~5年間の効率性を考えると採るべき戦略ではありますが、そもそも道具に問題があるのではないか、というアイディアもそろそろ検討されるべきです。
筆者は一昨年ごろから、この原稿や普段のスマートフォンでのメール、SNSへの書き込みに音声入力を活用してきました。iOS 10になって、その精度も高まってきて、普通に喋る速度でも文章全体の構造はきちんと認識し、誤変換を直す程度で利用できるようになりました。
ただし、この原稿はすべてタイピングで書いています。筆者の仕事場であるバークレーのコワーキングスペースは、周りの人がいるため、声で入力することができないのです。回りはアメリカ人がほとんどであるため、意味が分からない日本語の声が数時間聞こえてくるというのも迷惑な話ですし。
本連載ではまだご紹介していなかったAirPodsは、コワーキングスペースのような静かめな場所なら、ブツブツと小さな声でのつぶやきでも大分拾ってくれるようになりましたが、音声入力を公共空間や共有空間でできるようにするにはどうするか、工夫が必要ですね。
ウェブカムやスマホの内側カメラを使った読唇術、さらに自然な動作になり得るなんらかの電気信号を使った読心術でしょうか。 2017年への期待について書いてきましたが、意外に身近な問題が解決されていないものですね。みなさんの今年への期待は、どんなものでしょうか?
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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