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ポタフェス 2016 第6回

Westonのカートライト兄弟が来日、W80の開発秘話語る

2016年12月20日 19時58分更新

文● 小林 編集●ASCII

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 ポタフェス 2016に合わせて、米国のWestonからカートライト兄弟が来日し、Westonの最新ハイエンドモデル「WST-W80」の開発エピソードについて語った。双子の兄弟でカール氏は音質を決めるサウンドデザイナー。クリス氏はイヤフォンのデザインやフィッティングを担当し、デザイナーとしてカール氏の決めた音質を製品としてどう落とし込むかを検討する。

 W80は型番が示すように、片側8基のBAドライバーを内蔵したイヤフォンだ。

 好評を博したW60からW80への改良点としては、高域の伸びを拡大したこと。楽器の音色などを決定する倍音(ハーモニックコンテンツ)を「よりリアルに引き出す」ことを視野に入れた。また残響の表現をより忠実に表現することも目指した。「ドライバーの数は目的を果たすためにあるものなので、むやみに増やして低域を台無しにしたくはない」とするカール氏だが、目指す音に近づくことができたと自身も示す。

Weston W80

 最初にできたものは見た目も悪く、まるで耳にマシンガンを差しているようなものだったと話すのは、クリス氏。形状については試行錯誤を繰り返し、結果的に2つのプロトタイプに絞り込んだ。クロスオーバーを工夫したものと無難なものの2種類だが、最終的に前者を選んだ。

 クリス氏はW80の音を“タイム・リフレクション”が忠実で、録音した部屋や空間を忠実に再現できるため、まるでタイムマシンのように“録音した時間に戻る感覚”を味わえるした。

 その後、話題はWestonのこだわりのひとつであるイヤーチップや、シリーズごとに異なる音作りなどに進んでいった。イヤーチップに関してはフォームとシリコンの2種類があるが、海外で特に人気があるのはフォームタイプのようだ。

 遮音性が高く、密閉感が高いためノイズが多い環境に適している。ただし高域が少し犠牲になる面があるという。かつてWestonがモニターを作り始めたときにはステージ上のミュージシャン向けだったため、低域がよりハッキリと出るフォームを採用したという。

 一方でシリコン製イヤーチップについては、存在自体は知っていたが、好みではなかったカール氏は話す。そこでWestonが考えるベストなシリコン製イヤーチップを独自で作った。アイデアの着想を得たのは、空港で食事する際にたまたま目にしたオレンジの輪切りだ。スターチップと呼ばれる。中に凹凸を設けることで、いろんな耳の形にフィットしやすいチップを開発した。

 UMProシリーズ、Wシリーズ、ESシリーズの各モデルについては、周波数特性の違いがあり、低域の表現に差があるとのこと。UMモニターは十分低域のインパクトが出るように。Wシリーズはオーディオファイルを意識してフラットに。そしてカスタムIEMのESシリーズはその中間に位置づけられる製品として開発しているという。

カール・カートライト氏(右)、クリス・カートライト(左)。双子の兄弟だ

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