ミネソタ・ストリート・プロジェクトと
Facebookのアートプロジェクト
サンフランシスコの港湾地区の「ミネソタ・ストリート・プロジェクト」は、シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、アンドリュー・ラパポート氏は、妻のデボラ・ラパポート氏とともに立ち上げたアートプロジェクトです。
アートコレクターでもある両氏は、倉庫3つ分を買い上げ、ギャラリーやアーティストのスタジオを、長期間安い家賃で貸し、拠点の面でのサポートをスタートさせました。当然こうした拠点ができれば、そこに人々が集まり、シーンが生まれてきます。何よりサンフランシスコから流出しそうだった人々を食い止める役割を担っているのです。
またFacebookは、若手気鋭のアーティストを周辺の地域から集めて、社内でアートプロジェクトを展開してもらう「アーティスト・イン・レジデンス」プログラムを展開しています。日本人のアーティスト、ミキ・マサコ氏も、アジア人としてはじめて選ばれました。
ミキ氏は6ヵ月間のFacebookでの活動について、「社内のコミュニケーションのためのポスター作りや、社屋の壁に巨大な壁画を描くなど、社員に、創作のパワーや苦しみを含む、アーティストとしての仕事ぶりを生で見せることも、その目的の1つだった」と振り返ります。
そうした中で、社員との交流や、作品を中心にした会話や新しいプロジェクト、ビジネスが花咲き、社員はもちろん、アーティストにとっても良い刺激を与えてくれたそうです。
こうしたテック企業からの歩み寄りは歓迎されていますが、サンフランシスコのアート業界全体が、家賃高騰の問題から切り離されるわけではありません。それだけに、ゴーストシップでの悲惨な事件は、やりきれない思いが募るのです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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