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日本MSとTEDが中心のIoT活用推進団体、ラウンドテーブルを開催

製造、介護から畜産まで、IoTビジネス共創ラボが国内事例紹介

2016年12月06日 06時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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介護サービス改善や顧客エンゲージメント向上にPepperを活用

 ヘルスケアワーキンググループでは、2つの事例を示した。

 ひとつは、オフィスの個室トイレの可視化である。個室トイレのドアにセンサーを取り付けて、使用状況を把握。トイレの使用状況を可視化することで、オフィスライフの充実と生産性向上が実現できるという。

 「機械学習を活用することで、長時間に渡って個室を利用している人には警告を発するという使い方もできる」(ユニアデックス マーケティング本部ビジネス開発部新ビジネス企画室グループマネージャーの椿健太郎氏)

 もうひとつは、介護サービスにおける活用だ。2025年度には38万人の介護士が不足すると言われており、現場の効率化は不可避。そこで、Pepperを活用した介護支援の実証実験を、半月ほど前から開始したという。これは、Pepperが個人を特定して声をかけたり、会話を楽しみながら血圧測定を行えるというもの。また、環境データと体調との相関関係なども研究しているという。

 「実証実験のなかでは、介護士へのケアを含めてやっていく必要性を感じた。ヘルスケアIoTの普及に向けた認知度向上の活動も大切である」(椿氏)

「Pepperを活用した介護支援」ソリューションの概要

 Pepperワーキンググループでは、Pepperの活用が顧客エンゲージメントに効果を発揮することを説明した。

 「Pepperは日本語、中国語、英語に対応し、データ収集やリピーター対応も可能。本体だけならば顔認識できる人数が制限されるが、Azureとの連携で多くの人を認識するようになる。加えて、Azureの音声認識機能を活用することで、自然な対話が可能になる」(ソフトバンクロボティクス 事業推進本部 エンタープライズ&グローバル事業推進部 エンタープライズ事業課の村林圭子氏)

 なお村林氏は、約230社のPepperパートナーにはAzureを活用できる企業がまだ少ないため、日本MSと協力して8月から毎月、50人規模の勉強会を開催しており、開発事例の紹介も積極的に行っていると述べた。

IoTビジネス開発は「ROIよりも『ビジネスそのものが変化する』点が重要」

 IoTビジネス共創ラボでは実証実験も積極的に行っているが、「実証実験といえども、実ビジネスに近いところで活動を行っているのが特徴」だと、日本MS クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの大谷健氏は説明する。

 今年10月、11月には、製造ワーキンググループによるソリューション活用セミナーを東京/大阪/名古屋/福岡で開催し、合計で475人が参加した。このセミナーは実際にAzureを活用するもので、参加者の7割がその場でAzureを使えるようになったという。

 「参加者からは、こんなに簡単にAzureが使えるということに驚きの声があがっていた。今後も『実ビジネスを作っていく』活動を中心にして展開していきたい」(大谷氏)

 また、IoTビジネス共創ラボに対する日本MSの関わり方は、従来とは違っているという。

 「これまでの日本MSのコミュニティは、製品を提供し、あとはSIerに任せるという動きが多かった。しかしIoTビジネス共創ラボでは、プラットフォームを提供するだけでなく、MSのエンジニアリング部門やマーケティング部門が一緒になって検討し、ソリューションを作り上げていく姿勢がみられる。これまでの日本MSのコミュニティ活動とはまったく状況が異なる」(ユニアデックス マーケティング本部ビジネス開発部長の関口修氏)

 米MSの沼本氏は、同社ではIoT分野に「レベニューをはるかに超えた投資」を行っており、「クラウドならではのソリューションレイヤーとして期待している」と語った。

「IoTは、ユースケースごとのROIが算出しにくい側面もあるが、ROIよりも『ビジネスそのものが変化する』点が重要。今後はパートナーエコシステムをいかに支援していくかという点にも注力したいと考えており、その意味でも、IoTビジネス共創ラボの活動は重要である」(沼本氏)

今回のラウンドテーブル参加者

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