このページの本文へ

日本MSとTEDが中心のIoT活用推進団体、ラウンドテーブルを開催

製造、介護から畜産まで、IoTビジネス共創ラボが国内事例紹介

2016年12月06日 06時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

養豚の現場でIoTとデータアナリティクスが“出荷予測”を可能にした

 同日のラウンドテーブルでは、各ワーキンググループによる、IoT導入事例とその効果の紹介も行われた。

 製造ワーキンググループの報告では、コンテック小牧工場におけるIoT活用事例が紹介された。工場および防湿保管庫の温湿度をセンサーで集中管理しており、部品の温湿度だけでなく作業者の健康管理にも活用しているという。

 「稼働状況が見えることで、作業者の意識が高まった。また、これまでクローズドだった情報が生産部門以外にも“見える化”され、工場に勤務していない社員も稼働状況を意識するようになっている。今後もさらなる効率化、コスト削減効果を目指す。外部へのシステム販売の基礎が出来たほか、この実績は風力発電の遠隔監視などにも展開できる。今後は、Azure IoT Suiteで製造分野向けパッケージの品揃え強化を期待したい」(TED IoTカンパニーエンベデッドソリューション部 部長代理の西脇章彦氏)

コンテック小牧工場におけるIoT活用事例

 物流・社会インフラ ワーキンググループでは、グローバルビッグファームによる養豚の現場におけるIoT導入について説明した。これは、新たに生まれた豚が、出荷されるまでにどれくらいの日数がかかり、将来的にどれくらいの頭数を出荷できるのかを予測したいというニーズに対応するものだという。

 「過去10年分の出荷データとセンサーデバイスから得られる豚舎のデータを組み合わせることで、分娩から出荷、配送までを含めた予測が、1週間の誤差でできるようになった。これまでは属人性の高い“勘と経験”による予測だったが、それを標準化できた。今後は、IoT活用でリアルタイムに温度状態を監視し、豚舎の空調の自動化をしていく」(ナレッジコミュニケーション 取締役執行役員COOの小泉裕二氏)

 一方で、豚舎を定期的に高圧洗浄する際に、水圧によってセンサーデバイスが故障するという課題も見つかっており、小泉氏は「耐久性のあるAzure Certifiedデバイスを増やしてほしい」と要望した。ちなみに現在、Azure Certifiedデバイスは100以上あり、日本製も26デバイスが認定されているという。

過去10年間の出荷データと豚舎のセンサーデータを用いて“勘と経験”に頼ることなく予測

 分析ワーキンググループでは、AIを活用したユースケースを模索。具体的な提案として「すし屋でおもてなし」を開発し、コグニティブサービスを使った接客の高度化と、新たなユーザー体験の実現を目指しているという。

 「店舗に入る際に一時対応してくれるロボットを作り、訪日観光客に対して『日本は最初にロボットが混雑状況を教えてくれる』という環境を作りたい」「画像認識(顔認識)を使って、年齢に合わせた大人向け/子ども向けメニューの切り替えたり、外国人が発音しにくいメニューの音声を補完して聴き取ることで、訪日観光客でも音声注文できるようにしたりする」(ブレインパッドソリューション本部プロダクトサービス部・熊谷誠一部長)

 すし屋以外にも、ファミレスなどでも使用できるように横展開を想定しているという。

「すし屋でおもてなし」ソリューションの概要

カテゴリートップへ

ピックアップ