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5年目を迎える650社超の企業コミュニティ、地域版組織の活動が活発化

IoTビジネス共創ラボ、今後は「IoTとAIで地域課題の解決に貢献」

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 東京エレクトロンデバイス(TED)が幹事会社、ユニアデックスが副幹事会社、日本マイクロソフト(日本MS)が事務局を務める企業間コミュニティ「IoTビジネス共創ラボ」が、2019年2月6日、記者説明会を開催した。まもなく5年目に入る同コミュニティの活動状況を報告したほか、“地域版”コミュニティにおける4つのIoT導入事例を紹介した。

東京エレクトロンデバイス EC BU クラウドIoTカンパニーエンベデッドソリューション部 担当部長の福田良平氏

一般会員社数は650社超に、活発な活動の背景には国内企業の危機感が

 IoTビジネス共創ラボは、東京エレクトロンデバイスや日本マイクロソフトなどが中心となって2016年2月9日に発足した企業コミュニティだ。日本市場におけるIoTの普及と、IoTビジネスの機会拡大を目的に活動している。現在(2019年1月15日時点)の一般会員は656社、924人で、さらにConnpass登録メンバーは3821人、Facebookの登録会員は1833人となっている。

 IoTビジネス共創ラボでは、「ビジネス」「分析」「製造」「物流社会」「ヘルスケア」「Pepper」「ドローン」「xR(仮想現実など)」という8つのワーキンググループが活動を進めているほか、「ふくしま」「北海道」「中部」「かわさき」「柏の葉」「石川・金沢」「みやぎ」「長野」という8つの地域組織(地域版IoTビジネス共創ラボ)の活動も積極化しているという。

発足から丸4年が経過するIoTビジネス共創ラボ。一般会員社数は650社を超えた

 幹事会社である東京エレクトロンデバイスの福田良平氏は、同コミュニティの活動が活発化している背景には、企業側の危機感があると指摘する。

 「IoTを(ビジネスに)活用しないと、海外企業との競争に勝てないという意識を持った企業が増えている。他方で地域経済の停滞、就労人口の減少や後継者不足、省エネルギー化への対応など、地域ごとの課題も発生している。これらをIoTで解決したいという動きが活発化している」(福田氏)

ふくしま/かわさき/石川・金沢/中部の地域組織がIoT事例紹介

 発表会では、地域版IoTビジネス共創ラボによる4つの導入事例が紹介された。

 ふくしまIoTビジネス共創ラボでは、ゴミ貯溜排出機「ゴミック」を開発/製造/販売する日本クリーンシステムの事例を紹介した。同社では、国内外の遠隔地に配置されたゴミックの稼働状態がわからず、現地に出向いて機器の状態を確認しなければならないという課題、また排出したゴミ重量を示すことができず、ユーザーに請求内容の妥当性を保証できないという課題を抱えていた。

 そこでゴミックをIoT化し、機器のデータをクラウドで一元管理できるシステムを構築した。これにより、機器の状態変化をSMSでリアルタイムに通知したり、ゴミの排出量を可視化したり、ゴミの満杯予告通知などが可能になり、機器運用の効率を高めることができたという。

日本クリーンシステムのIoT化事例。遠隔からの機器監視や稼働状況の可視化に役立てている

 かわさきIoTビジネス共創ラボは、部品加工業の大矢製作所における、摩擦圧接加工機のIoT管理事例を発表した。従来は生産実績管理のためのデータや、加工製品の品質保証データが収集/記録できておらず、また「技術の伝承」の面でも、勘や経験に頼る職人の技を後継者に伝えることができなかった。こうした課題を解決するべく、摩擦圧接加工機にセンサーを取り付けてデータを収集/記録。これにより、品種ごとの生産量を把握したり、量産品製造におけるトレーサビリティの確保、新たな製品の加工条件設定の最適化などが可能になったという。

大矢製作所のIoT活用事例。摩擦圧接加工機のデータを収集/記録することで、生産量の把握やトレーサビリティ確保、加工設定の最適化などを実現

 石川・金沢IoTビジネス共創ラボでは、医療機器販売を手がける冨木医療器の事例を紹介した。同社では北陸地域の複数拠点を結んだ医療機器/医薬品配送管理システムにおいて、出荷から納品までの品質管理を実施するためにIoTを活用。薬品を輸送するための可搬型クーラーボックスにビーコン温度センサーを取り付け、GPSマルチユニットを通じてデータを送信、温度や位置情報を可視化。なお現在、他社クラウドからAzureへの段階的移行を進めており、これによりクラウドコストの80%削減が可能になると試算している。

冨木医療器のIoT事例。医薬品の配送時に温度と位置情報を記録し、倉庫出荷から納品までの確実な品質管理に役立てている

 中部IoTビジネス共創ラボは、ナレッジコミュニケーションによる名古屋大学校舎のエネルギーマネジメント事例を紹介した。校舎内の各部屋にIoT人感センサーを設置し、各部屋の電力使用量データと共にAzureで収集、リアルタイムに分析を行うことで、電力デマンドやベース電力に寄与度の高い部屋を特定。さらに、機械学習による電力消費傾向の予測を可能にしたという。

ナレッジコミュニケーション/名古屋大学のIoT事例。部屋ごとの詳細な電力消費傾向の把握や予測を可能にした

 今後のIoTビジネス共創ラボの活動について福田氏は、「2020年以降は、地域版IoTビジネス共創ラボの活動をさらに発展させて、地域ごとの課題をIoTやAIで解決し、社会貢献をしていきたい」と語った。現時点ではまだ西日本地域への展開はないが、「2つの地域と話し合いを進めており、今後、新たな活動を発表できるだろう」としている。

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