黒字化に必要なのは創業の精神
この日戴社長は社内イントラネットを通じて、社員にメッセージを発信した。戴社長が社員にメッセージを発信したのは、8月22日、9月21日に続いて、これが3回目となる。
このなかで戴社長は「2016年度は依然として当期純利益が赤字となるが、下期だけを見ると3年振りに黒字に転じる。経営基本方針では、1~2年で黒字化を目指すとしていたが、これは当初より前倒しで黒字化を実現する挑戦的な目標になる」と前置きし、「一旦、対外公表したものは、なにがあろうとも必ず達成する。決して未達の言い訳はできない。新体制になっても、やはりシャープは信頼できないとの烙印を押されれば、もはやシャープに未来はない」と言い切る。
つまり、戴社長の経営手腕の成果は来年3月までに最初の判断が下されることを、自らが社内外に宣言したともいえる。
そして、この目標必達に向けては、社員の意識改革が必要だとする。「たとえば上司への報告の際、『昨年は、こうだったから……』『前回と同様に……』と言い訳をしていないか。よく考えてほしい。シャープは2014年、2015年と2年連続して2000億円を超える赤字を計上している。それにもかかわらず、創意の見られない過去と同じ発想、同じやり方をしていて、黒字化を成し遂げられるのか。黒字はおろか、再び2000億円の赤字になりかねない」
社員の意識が変わらない限り、黒字化は実現しないというのが戴社長の基本姿勢だ。
「私はシャープが黒字化し、成長軌道へと転じていくためには、社内に創業の精神を根づかせることが一番の近道だと確信している」と語り、「今日からはこれまでのやり方はすべて変えるつもりで、仕事に取り組んでもらいたい」とする。
さらに「今期は月次の計画はもとより、日々のアクションプランに対しても、高い精度で着実に実行していくことが極めて重要である。そのためにはリスクに対する感度を高めるとともに、常に、幾重ものバックアップ策を準備しておかなければならない」とし、「私たちの『有言実行』が試される時である、という覚悟を全員に持ってもらいたい。総力を結集して、業績と信頼の回復、成長軌道への転換、そして輝けるグローバルブランドの実現に向けて取り組もう」とする。
過去2回のメッセージに比べても、内容は厳しくなっているといえよう。
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