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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第380回

業界に痕跡を残して消えたメーカー IDEと栄枯盛衰を共にしたPromise

2016年10月31日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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安価なRAIDカードが人気を博す

 さて、このあたりまではISA/IDEがメインであったが、PC市場にPCIが導入されたことで、次第にPCIに向けたラインナップが求められるようになって来た。ちょうど都合よく、IDEの側も16.7MB/秒のEIDE(FAST ATA-2/3)から、DMA Mode 2をサポートして速度を倍にしたATA-4ことUltra DMA/33の標準化に向けての作業が進んでいた。

 最終的にATA-4(ANSI INCITS 317-1998)が制定されたのは1998年であるが、これを先取りする形で1996年11月にPromiseはUltra33を発表する。

IDEインターフェースカード「Ultra33」。なにがすごいって、これをまだ米Amazonで購入できることだろう

 さらに1997年には、このUltra33コントローラーをベースにRAID 0/1/0+1を可能にするFastTrak33を発表した。FastTrak33は、ドライバーレベル(つまりソフトウェア)でRAID 0/1/0+1を実装するものだ。

 CPU負荷率はそれなりに高かったものの、価格はRAID処理をハードウェアで行なうカードに比べて大幅に安かったこともあり、手軽にRAID構成が組めるということで人気を博した。

 ちなみにUltra33とFastTrak33は、一見すると同じコントローラーが載っており、基板上のチップ抵抗の設定を変えるだけでUltra33がFastTrak33に化ける(逆も可能だが、意味はない)ということで、その情報が流れた途端にUltra33に半田ごてを当てるという遊びが流行ったりもした。

 実のところRAIDの処理はドライバー側で行なっているため、ハードウェア側はUltra33のままで問題はなく、コストを考えればこうした実装なのは当然なのだが、Ultra33/FastTrak33に続きUltra66/FastTrak66でも同じ実装にして、さらに多くのユーザーが半田ごてでチップ抵抗の設定を変える遊びをした。

 これにはPromiseも「これはたまらん」と思ったのだろうか、途中からコントローラーのリビジョンを上げてチップ抵抗を変えてもFastTrakに化けないような配慮がなされたのは当然だろう。

 ちなみにこの世代では、IDEのためのPHY(物理層)をワンチップで2つ内蔵することが難しかったようで、PD20246(PCIのI/F兼IDE #0のコントローラー)とPDC20247(IDE #1のコントローラー)という2チップ構成で2つのIDEポートを構成している。

 このPDC20247は省略可能で、実際マザーボードにPDC20246のみを搭載し、従来のEIDEとは別にUltra DMA/33を1ポート搭載したマザーボードもそこそこ見かけた。こうしたマザーボード向けのOEMも活発であった。

IDEの規格標準化に貢献
多くのマザーボードに実装される

 これに続き、1999年2月にはUltra66が、6月にはFastTrak66が発表される。こちらは2000年にANSI INCITS 340-2000として標準化されたUltra DMA 3/4を先取りする形になっており、最大66MB/秒のUltra DMA/66をサポートした。

 ちなみにリリース時のメーカー希望小売価格はUltra66が59ドル、FastTrak66が149ドルになっていた。チップ抵抗の付け替えでUltra66をFastTrak66にできないような工夫がなされるはずである。

 国内では、1999年3月頃にUltra66が9380円、FastTrak66の価格が1万9000円程度となっていた。こちらではついにワンチップで2ポート分のIDEのPHYが内蔵され、カードそのものは若干シンプルになっている。

 こちらもまた、結構な数のマザーボードにオンボードで搭載されていた記憶がある。売れ行きは好調で、Ultra66は出荷後9ヵ月で100万枚を販売したそうだ。

 2000年6月にはUltra100とFastTrak 100が投入された。これは最終的にANSI INCITS 361-2002として標準化されたUltraDMA/100に対応した製品をQuantumが前倒しして投入するのに対応した形である。

 ただ、UltraDMA/100あたりから、そろそろHDDの側が間に合わない(100MB/秒を使い切れない)という感じになりつつあった。

 それもあって若干需要が低調になったためか、2011年に入って値下げし、FastTrak100を124ドル→99ドル、FastTrak66を99ドル→69ドルにしたり、新しくホットスワップに対応したドライブベイを発表したり(対応はWDの一部機種だけだった)、66MHz PCIに対応したFastTrak100 TX2や、同年10月には4chのIDEポートを持つFastTrak100 TX4をリリースしている。

32bit/66MHzのPCIバスに対応するIDE RAIDカード「FastTrak100 TX2」

4チャンネルIDE RAIDカード「Fasttrak100 TX4」

 このFastTrak100 TX4は、2つのFastTrak100 TX2をPCIバスブリッジ経由で接続するというだけのものである。ドライブ数は最大4つだが、これはホットスワップをしようとすると1つのポートに2つIDEドライブをつなげるのは具合が悪く、1ポート1つに制限されていた。

 そこでむりやりIDEポートを4つにするため、バスブリッジを使ってFastTrak 100を2つ搭載したというだけの話である。

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