ネオスは、法人向けチャットサービス「SMART Message」に、新たにGoogle Apps for Workと連動したチャットボット機能を追加。ビジネスシーンにおいて、チャットボットの活用提案を加速する。
ビジネスユースに耐えうるチャットサービスを目指す
SMART Messageは、ビジネス用途に特化したチャットサービスで、OfficeドキュメントやPDFファイルの送受信機能に加え、社内ファイルサーバーなどを、セキュアな環境下で共有することができるほか、通信やクラウド上のファイルの暗号化機能や、ファイル種別ごとのアクセス制御、IPアドレスやモバイルの利用制限機能など、ビジネス利用に求められる管理機能を搭載しているのが特徴だ。
また、これらの機能は、各企業のセキュリティポリシーに合わせて、柔軟に、設定を変更することが可能で、管理者が簡単にカスタマイズできる。
ネオス バリュークリエイション事業部長の渡辺求取締役常務執行役員は、「ネオスでは、コンシューマ向けチャットサービスを展開してきた経緯があるが、取引先の金融・保険企業の1社から、社内のシャドーITとして広がりつつあった個人向け無料チャットサービスの利用を抑制するため、ビジネスユースにも耐えうる機能と安全性、管理性を持ったチャットサービスを用意したい、という要望があった。実際に導入できるチャットサービスを探してみたが、金融・保険という安全性を重視する業態において、その企業のセキュリティルールに則って運用できるサービスが見あたらなかった。そこで、これまでのノウハウや知見を生かして開発したのが、SMART Messageのスタート」と振り返る。
情報漏えいリスクを抑えるセキュリティ>
SMART Messageで、もっともこだわったのが、やはりセキュリティだ。
「チャットの導入において、企業のIT管理者がもっとも恐れるのは情報漏えいリスク。クローズドで、セキュアな環境での運用が大前提となる。SMART Messageでは、情報漏洩を未然に防ぐ各種機能を豊富に揃え、企業のセキュリティポリシーに応じた柔軟な制限設定を行なうことが可能。情報漏えいの危険性が高いモバイルでの利用制限を徹底することで、情報漏えいを未然に防ぐことができる」(ネオス バリュークリエイション事業部の菊地宏之マネージャー)とする。
指定したIPからのみのアクセスを許可する「IPアドレス制限」、指定した拡張子のみの送受信を可能にする「ファイル拡張子制限」、指定したファイル形式だけ開くことができる「ファイルオープン制限」のほか、メッセージのコピー禁止機能、URLの遷移禁止機能なども用意。さらに、対象社員のアカウントを停止し、強制ログアウトさせる「アカウントロック機能」、ログアウトするとアプリ内のデータを削除する「Cash削除機能」も搭載している。
そのほかにも、ファイルのウイスルスチェック機能や不正侵入防御、通信の暗号化機能なども搭載し、安全な利用環境を実現しているという。
また、PCやスマホ、タブレットなどのマルチデバイスに対応。自社のファイルサーバーや、選定したセキュアな環境のオンラインストレージと連携することができるという。
「企業ごとに異なるセキュリティポリシーに対して、柔軟に対応でき、一元的に管理および制限を行なうことができる。しかも、管理者側で簡単にカスタマイズすることができる」というのが大きな売りだ。
トレーニングなしでもすぐに使いこなせるUIにこだわり
SMART Messageでもうひとつこだわっているのが、使いやすさを追求するユーザーインターフェイスだ。これが、チャットを活用した社内のコミュニケーションを活発化させる重要な要素だと位置づる。これは、BtoB向けサービスだけでなく、大手キャリアが提供する各種サービスや、大手航空会社の航空券予約サービスといったBtoC向けサービスの開発も手がける経験を持つネオスならではのこだわりだともいえよう。
「社員がトレーニングなしに、直感的に、すぐに使いこなせるUIとしたほか、業務コミュニケーションの効率を向上させる各種機能を搭載。ドキュメントの共有やメッセージリスト化、総合検索機能などにより、ビジネスシーンにおける効率的な利用環境を実現している。SMART Messageの導入後、社内の情報流通量が増加し、情報共有するスピードが圧倒的に向上したという声が出ている」(ネオスの菊地マネージャー)とする。
複数人が参加するグループチャットのほか、スタンプを活用したコミュニケーションも実現。さらに埋もれてしまいがちな過去のメッセージやドキュメントも、独自の検索エンジンを活用しながら、「横断検索」、「複合検索」、「あいまい検索」といった機能で、短時間に探し当てることができるという。
なお、スタンプは、カスタマイズすることも可能で、ネオスのクリエーターが、SMART Messageを導入した企業の要望にあわせて独自のスタンプを制作。業界や業務の特性に合わせたスタンプのオーダーも可能だという。
既存の業務システムをチャットボットで自動化する
こうしたセキュリティ、UIに加えて、3つめの特徴として新たに打ち出すのが「チャットボット」ということになる。
「既存の業務システムやサービスのUIをチャット化し、操作や活用ノウハウをボット化することで、自動応答化を実現。業務のオートメーション化の促進と、属人的だったノウハウを全社で共有利用できるようになる」(ネオスの菊地マネージャー)という。
Googleスプレッドシートと連動した日報ボットの利用では、「日報」と入力するだけで、日報に必要な情報をGoogleスプレッドシートから自動的に取得。項目が抜け落ちいていたところは、その部分を指定すれば、ボットが指定された数値などを入力し、日報を作成することができる。また、会議室管理システムとの連動では、「いま、9階の会議室は空いている?」と会話形式で問いかければ、空いている会議室の一覧を表示。会議室の部屋の番号と時間を指定すれば、それだけで予約が完了する。さらに、会議の開始時間が近づくと、「まもなく、会議室3でミーティングがはじまります」と、SMART Message上に表示してくれる。
「オフィスのなかでは、知りたい情報があった場合に、近くにいる社員に呼びかけて、回答を得るといった作業を日常的に行っているが、これによって、呼びかけられた社員は、それまでやっていた作業を中断し、情報を検索して、回答することになる。作業を中断し、また元の作業に戻るという繰り返しは、業務の効率化を阻害するもの。ボットチャットを使用することで、こうした課題を解決することができる」(ネオス バリュークリエイション事業部長の渡辺求取締役常務執行役員)とする。
さらに、カレンダーとの連動によって、チャットボットにその日の予定を問い合わせると、カレンダーに登録されているスケジュールを確認して回答。定期的に、スケジュールのリマインドも行う。
渡辺取締役常務執行役は、「チャットボット機能は、法人利用においても、業務効率化などで、効果を発揮すると考えている。チャットサービスを、使いやすいものに進化させることができる機能」だと語る。同社では、2017年以降には、チャットボットをOffice 365やサイボウズなどでも利用できるようにする考えであり、さらには音声認識と連携することで、より簡単に利用できる環境の実現も目指していくという。