YouTube 4K(VP9)再生時のCPU使用率は?
先ほどの続きですが、第7世代Coreの動画まわりの新機能でVP9のデコードというものがありました。聞きなれないコーデックだと思いますが、Googleが開発した動画圧縮コーデックで、身近なところだとYouTubeで用いられています。H.265/HEVCの対抗馬で、4K動画時代を見据えた形式です。このVP9のデコードに対応しているということは動画再生支援が働き、YouTube 4Kを見たときでもカクつくことなく、低いCPU使用率で視聴できるって寸法なのですが……、試してみた結果はこちら。
まずは、それぞれPC本体の液晶で再生させてみましたが、確かに第7世代Core搭載PCではドロップフレームが4107フレーム中78フレームと少なく、比較的なめらかに視聴できました。しかしながら、CPU使用率は70~100%と決して低めではありません。対する第6世代Core搭載PCのCPU使用率は90~100%、ドロップフレームは4149フレーム中1011枚と多く、視聴感はカクつきが目立ってました。また、第2世代Core搭載PCのCPU使用率は80~100%、4149フレーム中1137フレームドロップと傾向は第6世代Coreプロセッサー搭載PCに近い印象。
また、HDMI出力で4K液晶をつないでドットバイドットの4K表示でも確認してみましたが、負荷はさらに増大し、第7世代Core搭載PCでCPU使用率は90~100%、ドロップフレームは4130フレーム中1137フレームに増えました。それでも、第6世代Core搭載PCの4140フレーム中1533フレームよりはまし、とは言えるんですが……、うーん、動画再生支援と言うにはかなり厳しい結果です。本来は、CPU使用率が20~30%まで落ちてドロップフレームがまったく出ない、というラインを超えてはじめて“動画再生支援”、のはず。
念のため、ウェブブラウザーを変えても検証しましたが、一番動作が安定していたChromeでのテストがこんな感じなので、グラフィックドライバーのアップデートとか、ウェブブラウザー側の最適化という意味で「まだ時期尚早だったのかなー」というのが率直な感想です。もちろん、一口にYouTubeの4K動画といっても、さまざまなものがありますから一概には言えませんが、少なくとも僕が確認した範囲ではまだ発展途上な気がします。いや、確かに第2世代Core搭載PCと比べるとかなりスムーズなんですけどね。
PCは5年もてば引退勧告、第7世代Coreプロセッサー搭載PCに乗り換えよう
まとめますと、第7世代Core搭載PCは第6世代Core搭載PCと比べれば、次世代コーデックへの対応と動作クロックの高さ、この2点がはっきりとした優位点です。しかし、パワーの差は1世代しか違わないので、買い替えが必要なレベルではありません。対して、第2世代Core搭載PCはパワーでも機能でも圧倒的な差がついておりました。また、第2世代Core搭載PCは5年前のPCということもあり、ストレージまわりもそろそろ動作が怪しい状態のモデルが多いのではないでしょうか。
思い返せば、2011年に登場した第2世代Coreは数多くのUltrabookを生み出し、H.264/MPEG4-AVC対応のクイック・シンク・ビデオ機能など、モバイルノートPC業界に旋風を巻き起こしました。というのも、それまで動画編集などはデスクトップPCの専売特許で、ノートPCでできる作業と言えば、メール閲覧にウェブブラウジングといった軽負荷な作業が関の山。しかし、動画まわりの機能を進化したCPU内蔵GPUに肩代りさせ、ノートPC向けCPUの価値をぐんと引き上げたんですね。
また、発表当時はなかなかH.264/MPEG4-AVCのクイック・シンク・ビデオ対応のソフトがなかったりと、テストに苦労した思い出があります。しかし、その後、対応ソフトが多数登場し、「一体今までのエンコードの苦労はなんだったんだ?」ってぐらい簡単にH.264/MPEG4-AVC動画を万人がサクッと扱えるようになりました。
そう思うと、今回の10bit H.265/HEVCのデコード/エンコード、VP9のデコードもやや先走り感があるものの、今後5年は使うPCにとっては必須となる機能になるやもしれません。つまり、時代が次第に第7世代Coreプロセッサーに追いつくはずです。どんなに品質の良いPCでも5年も使えば、ガタがきて、サポートが切れ、時代に取り残されます。5年付き合った相棒が完全に息を引き取る前に、最新の第7世代Core搭載PCに乗り換えて、次の5年に備えてみてはいかがでしょう?
■関連サイト
インテル
121ware.com