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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第377回

業界に痕跡を残して消えたメーカー リムーバブルディスクの元祖SyQuest

2016年10月10日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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 SyQuestというメーカーは、日本では案外なじみがない。これに続くIomegaが日本法人を作って、一瞬とはいえ日本でもそれなりのシェアがあったのとは対照的である。ただ、欧米では「大容量リムーバブルディスクの元祖」としてSyQuestは広く知られていた。

135MBの容量を持つリムーバブルドライブ「EZ135」

リムーバブルドライブのメーカー
SyQuest

 SyQuest Technologyは1982年、Syed Iftikar氏が創業した。Iftikar氏はMemorexにまず入社し、ここでさまざまな研究開発関連の業務を10年近く経験した後、1979年にShugart氏やConner氏らと一緒にSeagate Technologyの創業に参加する。

 当初の彼の肩書きはVice President of Mechanical Enginneringで、Seagateの初期の5.25インチHDDの開発などに携わった。

 ただIftikar氏はSeagateで、HDDのメカニズムをそのまま生かしたリムーバブルドライブのアイディアがひらめいたようで、1981年にSeagateを辞任、1982年にSyQuest("Syed's Quest"を短くしたのだそうだ)を立ち上げて自身のアイディアの製品化を目論む。

 1982年8月に、SyQuestは初の製品として、容量6.38MBのリムーバブルドライブ「SQ306」を発表し、年末から出荷を開始する。

SyQuest初の製品「SQ306」。カートリッジは中がわかりやすいように外側カバーを外してある状態で、実際はこのように中は見えない。中のディスクは直径3.9インチである

 「たったの6MBか」と言ってはいけない。当時はまだ5MBの「ST-506」が全盛期で、1981年に後継となる10MBの「ST-412」が出たばかり。MS-DOSやCP/MなどのDOSはいずれもFDDだけで立ち上げ可能だったため、6MBといえばこうしたDOSにアプリケーション、さまざまなデータなどを全部格納するのに十分すぎるほどの容量だった。

 むしろ問題はカートリッジの製造にあった。SyQuestはカートリッジ内のディスク表面にカーボン皮膜を採用しようとしたが、これは当時としては技術的難易度の高いもので、いくつかのメディアメーカーに打診をしたものの、いずれからも製造を拒否された。

 結局SyQuestは自身でカーボン皮膜ディスクの製造を行なったが、今度はディスクが硬すぎてヘッドが削れてしまう問題が出て、慌ててヘッドにセラミックコートを施すなど、水面下では苦労することも多かった。

 またSyQuestは初めてのリムーバブルディスクのメーカー、というわけでもなかった。フロッピーは別としても、連載369回で紹介したIBMのリムーバブルディスクパックを始め、Iomega、DMA Systems、Eastman Kodak、Data Technology Corporationといったメーカーがやはり同様のリムーバブルディスクをリリースしていた。

 特にDMA Systemsの「DMA 360」というドライブはSQ306とかなり近いスペックであり、1984年の米陸軍に対するストレージメディアの契約は、SyQuestを抑えてこのDMA Systemsが獲得するなど、会社としての出だしは順調ではなかった。

DMA 360の写真が見つからなかったのだが、サービスマニュアルが見つかったのでこちらを紹介しよう。カートリッジはドライブの斜め上から差し込む構造になっているのがわかる

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