ロードマップのアップデートを1ヵ月ほど挟んだが、再び「業界に痕跡を残して消えたメーカー」シリーズを再開する。
今回紹介するのは、Conner Peripherals(と、Conner Technology Corporation)であるが、この話をするためには、まずSeagateの話をしないといけないので、まずはこちらから。
HDDの業界標準を確立し
確固たる地位を築いたSeagate
連載369回で紹介したShugart Associatesの最後で、同社の創業者であるShugart氏が同僚のFinis F. Conner氏と一緒にスピンアウトして、Seagate Technologyを設立したという話をした。
そのSeagate Technologyは、歴史的な製品である「ST-506」を1980年に発表する。連載369回の時に「Shugart氏は自身のプランを変更するつもりがなく」と書いたが、当時同氏はShugart Associatesで低価格なHDDを製造することを目論んでいた。
ただしそれには開発期間もコストもかかるということでベンチャーキャピタルと衝突、スピンアウトして今度こそはHDDを製造するメーカーを自身で作り直したのがSeagateというわけだ。
ちなみにST-506はShugartのFDD用のI/Fを流用しており、いくつか変更を加えている。このあたりを反映する形でANSIでSASI規格の標準化が完了しており、以後はSASIを利用した製品がSeagate以外からも出てくるようになった。
話を戻すと、ST-506は当時の価格で1500ドルほどであるが、初期のマイコン向けのオプション周辺機器としてかなり広く普及した。
これに続いて薄型化するとともに容量を10MBに増やした「ST-412」を1981年に投入、さらに容量を20MBに増やした「ST-225」も追加されるが、この2製品はIBM-PC/XTの標準オプションとなったことで、Seagateの売上げは飛躍的に伸び、PCにHDDが装備されるのが標準という風潮を作り出すことに成功する。
1983年にSeagateは年間20万台のHDDを出荷、売上げは1億1千万ドルに達したというから、なかなかの大当たりである。
3.5インチHDDを加えようとして
社内で猛反発にあう
さて、いよいよ話はFinis F. Conner氏に移る。当時Conner氏はSeagateの取締役会副議長という結構高い位置にいた。
彼は当時のSeagateの主流だった5.25インチHDDのラインナップに、3.5インチのHDDを加えることを主張し、実際1984年初頭のトレードショウでそうしたプランを発表したのだが、これが他の取締役の反感を買った。
当時は価格よりも容量、あるいは容量/価格比が重視されるとみなされており、3.5インチでは太刀打ちできないと判断したようだ。結局これが理由でConner氏はSeagateを同年9月に抜ける。
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