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Oracle OpenWorld 2016の富士通ブースをレポート

富士通、SPARCサーバーの最新冷却技術を米国でも披露

2016年09月26日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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米オラクルがサンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld 2016」の展示会場に富士通が出展。来年にも市場投入するSPARCサーバー向けの次世代冷却技術や、開発中の液浸冷却技術などを展示し、来場者の関心を集めていた。

SPARCサーバー向けの次世代冷却技術「VLLC」を披露

 SPARCサーバー向けの次世代冷却技術である「Vapor and Liquid Loop Cooling(VLLC)」は、CPUから発生する熱を循環させ、ラジエーターを通じて冷却。冷めた液体によってCPUを冷却するというものであり、気化熱で冷却を行なうのが特徴。現行のSPARC M10で採用しているLiquid Loop Coolingに比べて約2倍の性能向上を実現。空冷方式に比べると150倍の冷却性能を持つという。

SPARCサーバー向け次世代冷却技術「Vapor and Liquid Loop Cooling(VLLC)」

 また、ボード上のCPUとメモリとの設置距離を短くすることができ、展示した製品では、プロセッサーあたり24枚のメモリを配置。高密度設計によって、小型化も実現できるという。冷却方式においては、2台のポンプを利用した冗長環境を実現。センサーにより細かい制御も行なえるという。

 さらに、次世代SPARCサーバーに搭載する次期プロセッサーの「SPARC64 XII」も初めて展示した。

次世代プロセッサーの「SPARC64 XII」

 富士通 執行役員 アドバンストシステム開発本部長の野田敬人氏は、「VLLCは、富士通の特許技術によって実現したものであり、今回の展示は、北米における次期SPARCサーバーへの関心をさらに高める狙いがある。展示を通じて、その手応えを感じている」と自信を深める。

 VLLCの技術は、2017年にも発売されるSPARC64 XIIを搭載した次世代SPARCサーバーに搭載される予定であるが、SPARCサーバー以外にも応用できる技術であることから、将来的には、IAサーバーなどへの活用も期待される。

米国で初公開した液浸冷却で消費電力や音も削減

 液浸冷却は、ストレージ、スイッチなどを含めたデータセンター用サーバー全体を、液体に埋没させて冷却するという新たな技術。今年5月に、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催した富士通フォーラム2016で初公開していたが、今回の展示では、それとは別の技術を活用。液浸冷却を米国では公開したのは初めてとなった。

液浸冷却技術を展示

 富士通フォーラム 2016では、消費電力は30%削減できるとしていたものの、今回の展示では消費電力を40%抑えることができると説明された。また、高密度化した形で構成するため、約50%の省スペース化を図ることができるほか、ファンがないことから消費電力の低減とともに、静音性も実現。液体を吸い上げるポンプを別の場所に設置できることから、サーバー本体そのものは、図書館並の静粛性を達成できるとのことだ。

 展示機では、SPARC 64X+を搭載したSPARC M10-1やPRIMERGY、ETERNUS、スイッチなどを透明の筐体に搭載。これをフッ化炭素系の液体に、全体を漬けて冷却させていた。温まった液体を上方向から抜き、これを冷却して、下方向から循環させる方式を採用。初期費用は空冷方針に比べて約2割高いというが、電気代などの運用コストを含めると十分回収が可能だという。サーバー8台を搭載した環境で液体を含めて約600kgの重量があるというが、一般的なデータセンターであれば荷重対策をせずに設置が可能だという。

PRIMERGYを液体のなかから取り出してみる
ETERNUSを取り出すと液体が流れ落ちた

 年内を目標に、富士通が持つ館林のデータセンターでの試験運用や、パートナー企業のデータセンターでの試験導入を計画しているという。

オラクルと富士通の戦略的な提携でクラウドを連携

 一方で、富士通とオラクルの戦略的提携によって提供する「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」も展示。来場者の関心を集めていた。

 FUJITSU Digital Business Platform MetaArcは、2016年7月に発表したもので、富士通の国内データセンター内に、Oracle Database Cloud Serviceや、Oracle Human Capital Management (HCM) Cloudなどの「Oracle Cloud Platform」や「Oracle Cloud Applications」の環境を設置。「Oracle Cloud」と、富士通のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」とを連携させ、高性能なクラウド環境を提供することで、富士通が日本国内の企業や、海外拠点に販売。顧客のエンタープライズシステムのクラウド移行を支援することになる。

FUJITSU Digital Business Platform MetaArcの展示

 今後、海外展開を加速する計画であり、すでに、欧州では、フィンランド、スペイン、ドイツのデータセンターに展開することを発表。アジアでもシンガポールで展開することを明らかにしている。北米市場向けには、2017年以降の展開を予定しており、今回の展示を通じて、米国内におけるMetaArcの認知度を高める狙いもあった。

 「米国に進出している日系企業に対する提案だけでなく、米国企業においても、クラウド環境に移行したい、高いセキュリティ環境で利用したい、IoTやモバイルなどのソリューションなどを組み合わせて、もっとも優れたものを利用したいといったニーズに合致した提案が可能になる。このコーナーでは、来場者への説明時間が長時間化している」(富士通デジタルビジネスプラットフォーム事業本部バイスプレジデント兼サービスデリバリー統括部長の斎藤孝氏)と、北米市場への展開にも手応えがあることを示してみせた。

 そのほか、工場などの大規模施設において、大量のセンサー情報をもとに、機械学習を活用することで、これまでに発生したことがない故障の予兆を発見する状況変化検知技術や、体操競技における採点時間の短縮および審判の負担を軽減するリアルタイム3Dレーザーセンサー分析技術も展示していた。

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