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世界最高峰の一角を担う、ペア400万円台後半スピーカー

高いのは価格ではなく性能、B&Wが最上位機「800 D3」を発表

2016年09月09日 16時28分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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 ディーアンドエムホールディングスは9月9日、Bowers&Wilkins(B&W)社のフラッグシップスピーカー「800 D3」を国内発表した。価格(1本)は229万5000円(ローズナット)/243万円(ピアノ・ブラック)。

B&W 800 D3

 3ウェイ4ユニットのバスレフ型で、直径25mmのダイヤモンド・ドーム・トゥイーター、直径150mmのコンティニュアム・コーンFSTミッドレンジ、直径250mmのエアロフォイル・コーン・ベース×2基の構成。インピーダンスは8Ω(最低3.0Ω)、周波数レスポンスは15Hz~28kHz(±3dB)、感度90dBというスペック。

 昨年発売した「800 D3」シリーズの最上位モデル。B&Wは昨年「800 Diamond」シリーズを刷新し、「802 D3」以下6モデルをリリースしたが、ハイエンドの800 Diamondの後継製品に関しては空席となっていた。

 800 D3は、802 D3より大口径のバスドライバーを持つ。直径20cmのダブルウーファーが、直径25cmのダブルウーファーとなり、キャビネットも大型化した。本体サイズは幅413×奥行き611×高さ1217mmで、重量は96㎏。ただし、高さは802 D3と5mmほどの差で、802 D3の94.5kgと比べて1.5㎏増と最小限の増加にとどめている。

 800 D3シリーズの発表から1年が経過したこともあり、802 D3からの改良点も多くみられる。ひとつはユニットの大口径化に伴い、“エアロフォイル・ドライバー”のダストキャップを改良したこと。802 D3でも、エアロフォイル・ドライバーの振動板部分を偏厚にして(必要な個所を厚くして)、振動板の強度を高めていたが、これを大型化したセンターキャップ部分にも採用した。

左が800 D3のユニット。センターキャップ部分に注目。素材変更に加え、後ろについているボイスコイルと同じ口径にしており小さい。従来はカーボン素材を使用していたが、薄く変形しやすかった。

 素材も振動板と同じものにした。潜水艦の浮遊材にも使うシンタクティック・フォームとカーボンファイバーのサンドイッチ構造となる。より剛性が高く、変形しにくく、低歪みの再生ができるようになっている。加えて磁気回路の強化なども実施した。

 このバスドライバーの変更は、低域の量感アップととらえられがちだが、実際には中高域の再現性向上に寄与している。バスドライバーから発せられる、2次(20Hz~100H程度z)、3次(40Hz~100Hz程度)の高調波歪みが減り、ミッドレンジと干渉せず中音域がクリアーになるためだ。カタログ上の高調波歪は50Hz~20kHzで1%未満となっているが、これは「Original Nautilus」よりも低い値だ。

 ミッドレンジ及びツィーターは802 D3と同等だが、ネットワーク回路のコンデンサーなどを変更し、特に中域でよりハイレベルな再生が可能になったとする。

ネットワーク回路(左が800 D3)

 キャビネットが大型化したにもかかわらず、重量が抑えられている理由のひとつはベース部分の改善がある。クロスオーバー用の回路を台座からスピーカー本体に移動し、一方で共振に強いアルミ一枚板とした。なおスパイクの上げ下げも歯車を回すだけで簡単にできるようにしている。

ベース部(右が800 D3)は、従来は亜鉛を配合し、重量も重かったが、今回は片手で持てるほど軽量だ。

 これらの改良を通じて、創業者ジョン・バウワーズが掲げた“True Sound”の目標にかつてなく近づくという意味で、創立50周年を迎えるのにふさわしい製品だとする。ハイエンドクラスのスピーカーではハンドメイドが中心になり、そのぶん価格も跳ね上がるが、B&Wは工場で徹底的にオートメーションした製造を行うことで、価格帯を超えた性能を持つという優位点もある。開発者自身が「高いのは価格ではなく、パフォーマンス」と語っており、プロモーション動画でも「Listen and you'll see」(聴けばわかる)という言葉が多用されているのが印象的だった。

マランツの試聴室で、最新のSA-10などと組み合わせて聴くことができた。

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