防犯対策として監視カメラを導入している店舗は多い。しかし、現状では万引き等の事件が起こった後の事後対策に過ぎず、防犯対策としては正直心許ない。しかし、監視カメラに顔認証の機能を付与することで、より効果のある防犯対策が実現できる。
小売店舗の利益を圧迫する悪質な万引きにどう対応する?
小売店舗の利益を大圧迫する悪質な万引きが後を絶たない。日本の万引き検挙件数は個人商店自体が減った影響もあり、ピークを迎えた2005年から比べて下がっているものの、いまだに8万6000件を超えている(2014年 警察庁発表)。しかも刑事処罰の対象外となる14歳未満は入っておらず、警察に連絡せずに示談で済ませた例も当然検挙数にカウントされない。2009年というやや古いデータながら、小売事業者の被害額は約4615億円にのぼる(警察庁の推計)。小売業のロスの約半分は万引きが占めており、世界第2位の万引き大国とも言われている。
「万引き=窃盗」に間違いないのだが、日本では万引きが心の迷いや気の弱さが引き起こす「未成年者のいたずら」と認識されることが多い。しかし、最近はプロの犯罪者や外国人による組織的な犯罪や高齢者による万引きも増えており、もはや「いたずら」で済まされるレベルではなくなっている。実際、万引き犯にターゲットにされたことで、廃業に追い込まれる個人商店も出ており、すべての小売店舗は本格的に対応を考えなければならないはずだ。
もちろん店舗側も手をこまねいているわけではない。万引きの多くは、店舗側の声がけや警備の拡充によって未然に抑止することができると言われている。そのため、本質的には店員や警備員が定期的に店を巡回することで、防げる犯罪だ。しかし、デフレ時代の昨今は店舗側にローコストオペレーションが求められることが多く、そもそも対応できる店員が少ない。防犯の切り札として導入が増えている監視カメラに関しても、現状は万引き犯を捕まえるための事後対策になることが多く、犯罪者への威嚇としての役割にとどまっている。
こうした万引き対策の1つとして、小売店舗で注目を集めるのが顔認証システムだ。
防犯対策として注目を集める「顔認証システム」とは?
顔認証とは、カメラの画像の中から顔を検出し、あらかじめ登録された顔データとマッチングするバイオメトリクス認証だ。バイオメトリクス認証は推測される可能性の高い暗証番号やパスワードなどの知識認証、盗難や紛失の危険性のある所有物認証に比べて、高いセキュリティを誇る。これに加え、顔認証は指紋や虹彩、掌形のように特別な操作が不要で、非接触で認証することができるので利便性が高い。さらに、顔自体を目視で確認できるため、心理的な抑制効果も大きい。こうした顔認証を防犯システムとして導入することで、事後対策にとどまらず、犯罪を未然に予防する効果が期待できるわけだ。
今回紹介するNECの「顔認証システム導入セット」は、顔認証を用いた防犯対策を小売店舗が手軽に導入できるよう、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したNECの「Express5800シリーズ」スリム型サーバーに顔認証用のソフトウェアをプリインストールし、導入サービスや保守サービスをパッケージ化したものだ。エントリモデルで2台、スタンダードモデルで4台までカメラが接続できる。
オプションであるPoEスイッチでサーバーにネットワークカメラを接続し、液晶ディスプレイで監視できるほか、電子錠連携用モジュール、表示灯などと連携させることもできる。顔認証システムの設置やカメラの設定、メールでの通知など初期導入作業は導入展開支援サービスとして提供する。