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インディーゲームを知らないゲーム好きにこそ観てほしい作品!

日本のインディーゲームシーンを美しい映像と音楽で描くドキュメンタリー「Branching Paths」

2016年08月24日 22時00分更新

文● 八尋/ASCII

「Branching Paths(ブランチングパス)」

 インディーゲームと呼ばれる作品をプレーしたことがあるだろうか。インディーゲームとは、主に個人や小規模の開発チーム、同人サークルなどによって作られた作品のことをさす。日本からも数々のインディーゲームが排出され、じわじわと注目を集め始めている。

 そんな日本のインディーゲーム界を追ったドキュメンタリー作品「Branching Paths(ブランチングパス)」を、フランス人の映像ディレクターのアン・フェレロ監督が制作した。2013年の東京ゲームショウから2年間、クリエイターへのインタビューなどを通じて、日本のインディーゲーム業界の成長や変化を記録した作品となっている。


 Branching Pathsは、7月29日にPLAYISMとSteamで配信を開始する。価格は980円。配信に先駆け、メディア向けの上映会が開催され、アン監督や本作に出演したインディーゲームのクリエイターが作品をアピールした。

上映後には、アン監督のほか、本作にも登場する木村 祥朗氏と楢村 匠氏、もっぴん氏が登場した

 登場するクリエイターは約80人。「Million Onion Hotel」や「勇者ヤマダ君」を手掛けるOnion Games代表の木村 祥朗氏や、「LA-MULANA」シリーズディレクターの楢村 匠氏、「Downwell」開発者のもっぴん氏、大手ゲーム会社からインディーズゲームクリエイターに転身した稲船 敬二氏など、日本のインディーズゲーム界を支えるクリエイターたちが次々に登場する。

1番大変だったのは、20TBもの収録データの編集

アン・フェレロ監督

 アン・フェレロ監督は、フリーランスの映像ディレクターで、日本に住む前に7年間ほどフランスのテレビ会社で、日本の文化を紹介する番組などを制作し、その中で、日本のゲームが海外でどう受け入れられているかを調査したところ、塊魂のようなクレイジーなゲームがプレーしたいという意見がたくさんあったという。その後、Million Onion Hotelを制作していた木村氏と話しているときに、Million Onion Hotelを制作しようと決めたとのことだ。

「一生懸命通ってきた道を映像として残してくれた。グッとくるものがあった」と語る木村氏

「他人につけられて日記を観せられた感じ。ドキュメンタリーだからいろいろな思いがあります」とコメントした楢村氏

 2年間で収録したデータはなんと2TBほどになっており、とにかく編集が大変だったというアン監督。取材して印象的だったのは、開発者のほとんどが満足のいく作品を作るための表現方法のみならず、お金の工面など様々な問題に直面し、苦悩しているという点だという。

綺麗な色合いで切り取られる、インディーズゲームクリエイターの活躍と苦悩

 私は正直、東京ゲームショウでインディーゲームのコーナーがあるのは知っていたが、インディーゲームの祭典「BitSummit」などには足を運んだことがなく、インディーゲーム業界のことについてあまり知らない状態で鑑賞したので、とても新鮮に作品を観ることができた。

 個人的に印象的だったのは、もっぴん氏とDownwellの登場。芸術大学に通っていたもっぴん氏がPico Pico CafeでDownwellを初めて人前で紹介してからリリースに至るまでが、作中の様々な場所で登場する。Pico Pico Cafeで紹介した後の周りの反応が共に描かれるので、Downwellの登場がインディーゲーム界に与えた衝撃がひしひしと伝わってくる。青年がたった1人で作り上げたゲームが、世界で有名になっていくさまは、一見の価値ありだ。

「Downwellを初めてプレゼンテーションしたときからリリースするまでを撮っていただいた。とても恥ずかしかった」と笑いながら語るもっぴん氏

 また驚きだったのが、海外から日本にやってきて、インディーゲームを制作している人が結構いるということだ。ゲームがある程度ヒットしている傍ら、就労ビザのために一時期日本を離れたりと、日本でインディーゲームを作ることの苦悩も描かれている。

 そのほか、映像の色合いと音楽がクリエイターのインタビューと重なり合い、心地よく鑑賞しながら、インディーゲーム業界について知ることができるのは素晴らしいポイントだなと感じた。ただ、知名度がある程度ないと知り合わないのでしょうがないかもしれないが、まったく成功していないクリエイターなど失敗者があまり取り扱われていないというのは少し気になった。

 アン監督は、発表会で「日本のインディーゲームの成長をみせたかった」と語っており、その点では私もインディーゲームの盛り上がりや、クリエイターたちの活気、今後への期待を十分に感じ取ることができたのでとても素晴らしい作品だとは思うが、個人的にはドキュメンタリー作品なので、もう少し相反するインディーゲーム業界の闇の部分も切り取ってほしかった。

インディーゲームを知らない人にこそ観てほしい作品

 この作品を観て、もっとインディーゲームについて知りたい、プレーしてみたいと思った。もちろんインディーズゲームをプレーしている人たちにとっては、開発しているクリエイターたちの活動を垣間見ることができるので、たまらない作品になっているとは思う。ただBranching Pathsは、私のようにインディーズゲームについてあまり知らない人こそ観て衝撃を受けてほしいと感じた。アン監督が2年間かけて制作した、83分に及ぶインディーズゲーム業界の軌跡、気になる方はぜひ鑑賞することをオススメしたい。

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