このページの本文へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第368回

業界に痕跡を残して消えたメーカー UNIXの覇者Sun Microsystems

2016年08月08日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

RISCプロセッサー「SPARC」を開発
全盛期を迎える

 SunはSun-3の後継にMC68030を使うのではなく、自社でプロセッサーを設計することを決める。これは1984年にKhosla氏が退社、代わってCEOとなったMcNealy氏が「すべてを自社でまかなう」という方針を打ち立てたことと無縁ではないだろう。

 ベースとなったのはやはりUCBで開発されていたRISC-I、あるいはBerkeley RISCとして知られていたプロセッサーである。これは1980年~1984年にARPA(途中で名前がDARPAに変わった)がスポンサードしたVLSI projectの1つである。

 指揮を取ったのはUCBのDavid Patterson教授(ヘネパタ本の共著者の片割れ)であり、実際にチップも製造された。

 性能は、4MHz駆動のRISC-Iが、5MHz駆動のVAX-11/780の倍近い性能を出したとする。RISC-Iを参考に、1985年からSunは自社でRISCプロセッサーの開発を始める。これが初代SPARCで1987年に完成。まずはSun-4として出荷される。

 Sun-4はデスクサイドタイプで、Sun-2/Sun-3同様にVMEのバックプレーンを利用する構成だったが、1989年に投入されたSPARCstation 1ではVMEを廃し(代わりにSバスという新しいI/Fを搭載した)、ピザボックススタイルで提供された。

SPARCstation 1の筐体

 SPARCstation 1は富士通もしくはLSI Logicの製造したSPARCチップ(20MHz)を搭載、性能は(正確な数字が残っていないのだが)おおよそ10 DMIPS程度と想像される。

 この頃のワークステーションのトレンドとして103(プロセッサー性能が10MIPS、メモリーが10MB、イーサネットがが10Mbpsということで、10の3乗と表現した)という言葉が一瞬流行ったことがあるが、これを最初に広く実現したのがSPARCstation 1である。

 価格も最小構成では9000ドルあまりと当時としてはかなり安価であり、性能がそれなりに高く、GUIも提供され、TCP/IPをベースにしたネットワークが利用可能ということもあり、パーソナルユースはともかく業務用途ではPCとは比べ物にならないほど充実した環境が用意され、UNIXを広く利用する流れに明確に火がついた。

1989年5月にCOMPUTER WORLD誌に掲載されたSPARCstation 1の広告。GUIは当時同社が提供していた、SunViewである(まだX11には未対応)

 ここからSunの快進撃が始まる。PizzaboxスタイルのマシンではSPARCstation 1+/2/10/5/20/4という順に製品が投入され、一方でLunchboxスタイルと呼ばれるSPARCstation IPC/IPX/classic/LX/ZXといったラインナップも提供され、この2つのシリーズが非常に広く利用された。

一番上がSPARCstation IPC、その下がCD-ROMドライブ、一番したがHDDとなっている。これらは全部SCSIで接続された

 ラインナップを簡単に増やせたのは、1989年にSunがSPARCの設計をオープン団体(SPARC International, Inc)に移管し、ここで命令セットを広く公開したため、多くの半導体メーカーがSPARCプロセッサーを争って製造したことがうまく作用した。

 例えばPizzaboxスタイルの場合、以下の表のようにその時々で優れたCPUを採用する形で簡単に製品化が可能になった。

SPARCstationが採用するプロセッサー
SPARCstation 1 富士通MB86901AないしLSI L64801(20MHz)
SPARCstation 1+ LSI L64801(25MHz)
SPARCstation 2 Cypress CY7C601(40MHz)
SPARCstation 10 TI TMX390Z50、Sun STP1020/STP1021
Ross RT620A/B/C(33~200MHz)
SPARCstation 5 富士通MB86904/MB86907、Sun STP1012(70~170MHz)
SPARCstation 20 SPARCstation 10のDual構成(50~200MHz)
SPARCstation 4 富士通MB86904、Sun STP1012(70~110MHz)

 またこの世代は多くのOEMメーカーを確保しており、例えば国内では筆者が見たことがあるだけで富士通・東芝・新日鉄・CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)のロゴが入ったSPARCstation互換機が存在した。このSPARCstation 20がリリースされた1994年あたりから、同社は絶頂期に入ったとしてもいいだろう。

 単にデスクトップ側だけではない。サーバー向けにもSPARCserverシリーズがまず投入され、これが当時はまだそれなりに存在したメインフレームを急速に代替していく。

 当時「クライアント・サーバーモデル」というトレンドがちょうど生まれたところで、このトレンドにうまくUNIXベースのアーキテクチャーが乗った形だ。

 もちろんSPARCserverはそれなりに高価であった。例えば1991年11月のSunFLASH(Sunが定期的にリリースしていたニュースフラッシュ)によれば、低価格向けのSPARCserver 630MPが4万5000ドル(2CPU、64MB メモリー、1.3GB SCSI HDD)~7万5500ドル(4CPU、128MBメモリー、1.3GB SCSI HDD、19インチモニター付き)だった。

 拡張性を高めた上位モデルのSPARCserver 670MPが6万ドル(2CPU、64MBメモリー、1.3GB SCSI HDD)~13万100ドル(4CPU、128MBメモリー、1.3GB IPIディスク、2.3GBテープドライブ)になっているが、メインフレームと比べると最大で一桁価格が下がったため、旧来のメインフレームの償却期限やリース期限にあわせてシステムを入れ替えるという引き合いはかなり多かった。

 1992年には8CPUのSPARCserver 1000や最大20CPUのSPARCcenter 2000といったハイエンド製品を投入、さらにCRAYからCray SC6400を買収し、これは次のSun Enterprise 10000として生まれ変わる。

 SC6400は連載279回で少しだけ触れたが、CRIがアプリケーションサーバーとして開発していた製品である。ベースはUltraSPARC IIを64プロセッサー、XDバスと呼ばれる専用バスで接続する構成であり、CRIはこれを1993年に発売するものの、その後SGIの買収にともないSC6400のみはSunに売却された。

 こうしたハイエンドサーバーも次第に充実してきたうえに、1998年あたりからはストレージ製品の強化にも余念がなく、データセンターやエンタープライズ向けにがっちりとシェアを確保することに成功する。

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII倶楽部

注目ニュース

  • 角川アスキー総合研究所

プレミアム実機レビュー

ピックアップ
1
Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 240W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 17 / 16 / 15 / Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (1.8m ミッドナイトブラック)
Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 240W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 17 / 16 / 15 / Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (1.8m ミッドナイトブラック)
¥1,390
2
Anker USB Type C ケーブル PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル iPhone 17 / 16 / 15 /Xperia/Galaxy/LG/iPad Pro/MacBook その他 Android 等 USB-C機器対応 テレワーク リモート 在宅勤務 0.9m ホワイト
Anker USB Type C ケーブル PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル iPhone 17 / 16 / 15 /Xperia/Galaxy/LG/iPad Pro/MacBook その他 Android 等 USB-C機器対応 テレワーク リモート 在宅勤務 0.9m ホワイト
¥660
3
Amazon Kindle Paperwhite (16GB) 7インチディスプレイ、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、ブラック
Amazon Kindle Paperwhite (16GB) 7インチディスプレイ、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、ブラック
¥18,980
4
KIOXIA(キオクシア)【日本製】USBフラッシュメモリ 32GB USB2.0 国内サポート正規品 KLU202A032GL
KIOXIA(キオクシア)【日本製】USBフラッシュメモリ 32GB USB2.0 国内サポート正規品 KLU202A032GL
¥980
5
【Amazon.co.jp限定】 ロジクール 静音 ワイヤレス トラックボール マウス M575SPd Bluetooth Logibolt 無線 windows mac iPad OS Chrome トラックボールマウス ブラック M575 M575SP 国内正規品 ※Amazon.co.jp限定 壁紙ダウンロード付き
【Amazon.co.jp限定】 ロジクール 静音 ワイヤレス トラックボール マウス M575SPd Bluetooth Logibolt 無線 windows mac iPad OS Chrome トラックボールマウス ブラック M575 M575SP 国内正規品 ※Amazon.co.jp限定 壁紙ダウンロード付き
¥5,280
6
CIO フラットスパイラルケーブル CtoC 1m (Type-C/USB-C) PD 急速充電 平型 磁石 マグネット吸着 まとまる 充電ケーブル PD 240W データ転送 480Mbps (ライトブラック, 1m)
CIO フラットスパイラルケーブル CtoC 1m (Type-C/USB-C) PD 急速充電 平型 磁石 マグネット吸着 まとまる 充電ケーブル PD 240W データ転送 480Mbps (ライトブラック, 1m)
¥1,780
7
Anker iPhone充電ケーブル PowerLine II ライトニングケーブル MFi認証 超高耐久 iPhone 14 / 14 Pro Max / 14 Plus / 13 / 13 Pro / 12 / 11 / X/XS/XR / 8 Plus 各種対応 (0.9m ホワイト)
Anker iPhone充電ケーブル PowerLine II ライトニングケーブル MFi認証 超高耐久 iPhone 14 / 14 Pro Max / 14 Plus / 13 / 13 Pro / 12 / 11 / X/XS/XR / 8 Plus 各種対応 (0.9m ホワイト)
¥990
8
【Amazon.co.jp限定】バッファロー microSD 32GB 100MB/s UHS-1 U1 microSDHC【 Nintendo Switch 対応 】V10 A1 IPX7 Full HD RMSD-032U11HA/N
【Amazon.co.jp限定】バッファロー microSD 32GB 100MB/s UHS-1 U1 microSDHC【 Nintendo Switch 対応 】V10 A1 IPX7 Full HD RMSD-032U11HA/N
¥1,880
9
エレコム 電源タップ 6個口 3m 雷ガード 個別スイッチ ほこりシャッター付 耐熱 PSE技術基準適合 ブラック T-K6A-2630BK
エレコム 電源タップ 6個口 3m 雷ガード 個別スイッチ ほこりシャッター付 耐熱 PSE技術基準適合 ブラック T-K6A-2630BK
¥1,590
10
Kindle Paperwhite シグニチャーエディション (32GB) 7インチディスプレイ、明るさ自動調整、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、メタリックブラック
Kindle Paperwhite シグニチャーエディション (32GB) 7インチディスプレイ、明るさ自動調整、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、メタリックブラック
¥23,980

Amazonのアソシエイトとして、ASCII.jpは適格販売により収入を得ています。

デジタル用語辞典

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン