ベリタステクノロジーズは8月3日、中小企業(25~1000名規模)におけるデータバックアップの実態を調査したグローバルレポートと、中小企業向け統合バックアップソフトウェアの最新リリース「BackupExec 15 FP5」に関する説明会を開催した。
中小企業においても物理/仮想/クラウドの統合バックアップ環境が求められる
今回の調査は、世界906社の中小企業のIT意思決定者に対して行われたもので、うち日本企業は151社含まれる。説明会では、世界平均と日本のみのデータを比較した動向も紹介された。
まず、業務データの主な保管先としては、現状ではまだ「物理システム」(45%)が、「仮想システム」(37%)や「クラウドベース」(18%)よりも多い。これが、将来的にはクラウドへと徐々に移行していくことになる、というのが大きな流れだ。
クラウドの主な利用方法を尋ねると、現在は「電子メール/Exchange」(52%)が最も高いが、今後3年間に「バックアップ/リカバリ」が大きく伸び(3年後に78%)、最も主流の利用方法になることが予想されている。
しかしその一方で、クラウドにすべてのデータを移行できるわけではないという課題もある。企業の機密データや財務データ、従業員や顧客、患者などの個人情報については、いずれもおよそ4割の企業が「クラウドには移さない」と回答している。したがって、これらはオンプレミスの物理/仮想環境に残ることになる。
こうしたデータ/バックアップ環境の複雑化を背景として、中小企業が導入しているデータ保護ソリューションもまた複雑化しているという。今回の調査結果を見ると、世界平均では1社あたり4.1種類、日本でも平均2.4種類のデータ保護ソリューションが導入済みであり、ライセンスや保守運用に無駄なコストがかかっている。そして、必要な機能をワンストップで提供する統合ソリューションに対し、企業は「コスト削減」(44%)、「データリカバリ時間の短縮」(43%)、「管理のしやすさ」(38%)といった面で期待をかけている。
米ベリタスのアンディ・スペンサー氏は、今回の調査結果から、中小企業においても物理/仮想/クラウド環境にワンストップで対応できる統合データ保護ソリューションが必要とされており、ベリタスではBackupExecにおいてそれを実現していく方針であることを説明した。
仮想マシンのRTOを「数分」に短縮するBackup Execの最新リリース
続いてベリタス日本法人の小川達彦氏が、Backup Execの最新リリースにおける新機能を紹介した。
現在、Backup Execではアジャイル開発手法を取り入れており、四半期に一度、新機能を取り入れた「Feature Pack(FP)」をリリースしている。最新のFPは、8月2日にリリースされた「Backup Exec 15 FP5」で、新たに「仮想マシンのインスタントリカバリ」や「S3プライベートクラウドコネクタ」が追加されている。
仮想マシンのインスタントリカバリは、VMware/Hyper-V環境に対応した新機能だ。バックアップデータから本番環境へイメージを復元したのちに仮想マシンを起動するのではなく、バックアップ先にあるイメージデータをそのまま使って(読み取り専用)先に仮想マシンを起動させ、その後、本番環境でイメージが復元できたらVMotionやLive Migration機能で稼働環境を移す。これにより、これまで数時間単位だったRTO(目標復旧時間)を数分程度にまで短縮できるという。
もう1つのS3プライベートクラウドコネクタは、S3互換APIを備えたストレージへのアクセスを可能にするもの。従来はAWSの「Amazon S3」へのアクセスしかできなかったが、このコネクタにより、プライベートクラウドに導入したクラウディアンなどのS3互換ストレージも利用できるようになる。
前述のとおり、Backup Execでは四半期ごとにFeature Packをリリースし、今後も新機能を追加していく。また今秋(2016年第4四半期)には次のメジャーバージョンアップとなるBackup Exec 16もリリース予定となっている。