オールフラッシュ構成も可能、中~大規模プライベートクラウド向けコンバージド基盤
EMC、Unityフラッシュストレージ搭載の「Vblock 350」発売
2016年06月22日 07時00分更新
EMCジャパンは6月21日、コンバージドインフラ新製品「VCE Vblock 350」シリーズの国内販売開始を発表した。ミッドレンジのフラッシュストレージ「Unity」を搭載しており、さまざまなワークロードが混在する中~大規模プライベートクラウド基盤のTCO(総所有コスト)削減を実現する。
Vblock 350は、シスコの「Cisco UCS」ブレードサーバーや「Cisco Nexus」スイッチ、「Cisco MDS」SANスイッチ、「EMC Unity」ストレージ、「VMware vSphere」仮想化プラットフォーム、管理ソフトウェアなどを、統合済みの状態で提供するコンバージドインフラ製品。5月に国内販売を開始したUnityを搭載した初めてのVblockとなる。
ストレージはミッドレンジ向けUnityだが、上位機種でフラッシュストレージ対応の「Vblock 540」や「Vblock 740」が備えるハイエンド向けのネットワーク、およびサーバーアーキテクチャ、コンフィグレーションをベースに開発されている。なおUnityにはオールフラッシュモデルとハイブリッド(フラッシュ/HDD混載)モデルがあるが、Vblock 350ではいずれにも対応している。
EMC Vblock 350の価格は個別見積もり。販売はすでに開始しており、EMCジャパンのディストリビューターであるネットワールドおよびネットワンパートナーズ、またVCEのソリューションプロバイダーから提供される。
なお、SDNソリューションとして「Cisco ACI」と「VMware NSX」をあらかじめ統合したVCE VxBlock 350も提供される。また、他のBlockシリーズ製品でも、Technology Extensitonsを介することでUnityを利用することが可能。
オールフラッシュのTCOがHDDを下回る2016年、ポートフォリオを強化
EMCとシスコの合弁会社として誕生したVCEは、EMCへの統合を進め、現在ではEMCのコンバージドプラットフォーム事業部門として活動している。ただし、Cisco UCSブレードサーバーは収益の20%をVCE製品で稼ぐなど、シスコとの関係も強く、シスコによる出資も継続している。
そのVCEが提供する多様なコンバージドインフラ/ハイパーコンバージドインフラ製品ポートフォリオについて、VCEテクノロジー・ソリューションズの三邉祥一氏は、伝統的な経験に基づいた手法をとる“コース料理”がVblock/VxBlock、大規模要件に対して効率的に提供する“パーティ料理”がVxRack、そして迅速かつ安価に提供する“ファストフード”がVxRailだとたとえる。
これらのポートフォリオを揃えることで、データセンターから中規模オフィス、リモートオフィスまでをカバーし、さらにダウンタイムを大幅に削減できるため、企業のIT部門が本来時間を費やすべきイノベーションや事業推進の時間が生まれると述べる。
また今回、フラッシュストレージ搭載のVblockファミリーを拡充したことについては、今年を契機として、ストレージ市場が“フラッシュ中心”へと劇的に転換する可能性が高いためだと示唆した。テクノロジーリサーチのWikibonによると、2016年には4年保有時の容量コスト(TCO)でフラッシュがHDDを下回り、今後さらにその差が開いていくという。
「これまでオールフラッシュは『高い』『まだ手を出す段階ではない』と考えていた顧客も多いが、今年はそれが変わる。VCEとしても、コンバージドインフラのポートフォリオでしっかり展開していく方針だ」(三邉氏)
またVCEテクノロジー・ソリューションズの陳錦生氏は、Vblock 350のターゲット顧客層は「コンバージドインフラ」と「Unity」のニーズが交わる非常に幅広い層であり、VMware仮想化環境のほか、Microsoft ExchangeやShrePoint、SQL Server、Oracle Database、SAP BI/BW、SAP HANAなど幅広いユースケースにおいて、安定した性能を提供できると説明した。