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大容量インクタンクモデル普及でインクの売り上げが拡大

2期連続の減益計画でも強気の姿勢を崩さないエプソンの本音とは?

2016年06月21日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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大容量インクタンク搭載インクジェットプリンター

 今後の取り組みで注目される製品のひとつが、大容量インクタンクを搭載したインクジェットプリンターの取り組みだろう。

 これまでのプリンタービジネスは、本体を安く販売して、普及戦略を先行。その上で、インクカートリッジで収益をあげるというビジネスモデルを描いてきた。だが、大容量インクタンクモデルは、当初からインクを搭載し、オフィスで利用したとしても、約2年間のインク補充が不要という製品。「インクの売り上げ、収益に依存せず、本体で収益をあげるビジネスモデル」(セイコーエプソンの碓井社長)である。

 従来は新興国向けの製品として投入してきたが、一昨年に欧州市場に積極的な展開を行ったのに続き、2015年度は北米および日本市場にも投入。新興国においても、2015年度からは競合他社が同様の製品を投入してきたものの、この分野に限定しても20機種以上もあるラインアップの強みを生かして、大幅な成長を遂げたという。2015年度は約500万台の大容量インクタンク搭載プリンターを販売。2016年度は600万台近くまで出荷を伸ばす計画だ。

2015年度は約500万台の大容量インクタンク搭載プリンターを販売。2016年度は600万台近くまで出荷を伸ばす計画だ

 そして、注目しておきたいのがこのビジネスモデルの転換が、収益面でも決してマイナスにはなっていないということだ。

 セイコーエプソンでは、2010年10月から、インドネシアで大容量インクタンクプリンターの販売を開始。地域を限定して展開してきたが、2012年度下期からは、販売地域を約90カ国に拡大。それ以来、大容量インタクタンクプリンターを主力製品の一角に位置づけてきた。

 そして、それまではインクの売上高が年々減少してきた状況が改善。大容量インタクタンクプリンターを積極展開した2012年度を底に、なんと、インクの売上高は、年々上昇し続けているのだ。

 現在、セイコーエプソンにおける大容量インクタンクモデルの販売比率は4割近くまで達しようとしている。プリンター事業全体の売上高ではマイナス成長を見込むが、プリンター本体で収益をあげるビジネスモデルの定着は、着実に進展しているといえそうだ。


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