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貞子vs伽椰子が怖くて笑ってしまった【ネタバレなし感想】

2016年06月21日 06時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 仕事を選ばない貞子さんが週アスの表紙を飾ってくれた記念で、映画「貞子vs伽椰子」を公開初日の6月18日に見た。感想、おもしろい!観るべき!

 恐怖と笑いとかわいい女子が代わるがわる登場するジェットコースターのような映画。緊張、弛緩、かわいいの連続だ。本編が終わったあとエンドロールで流れる聖飢魔IIのテーマソングとともにスカッと爽快感が得られる作りになっている。

 怖いかどうかでいうと怖め。レベルは「倍怖」(中辛・大辛のイメージ)。「リング」「呪怨」をダイジェスト版で見たような怖さがある。ホラー好きからすると足りないかもしれないがわたしのような一般人は怖かった。

 貞子と伽椰子の過去や呪いの理由はあまり描かれない。「呪いのビデオを見ると48時間後に貞子が来て死ぬ」「呪いの家に入ったら伽椰子が来て死ぬ」とシンプルにまとめた。おかげで2作品の怖さがシンプルに抽出されていて「特集・傑作ホラー映画このシーンが怖い!」という印象があった。「俊雄こんなキャラだっけ」「2階の間取り変わってない?」「貞子のビデオ、これ……」という点は少し気になったが、番外編としてとらえればいいのだろう。怖いことは変わらない。

 恐怖シーンの間にコメディが挟まるのが救いになる。大学教授・森繁新一(甲本雅裕)、霊媒師・常盤経蔵(安藤政信)の2人が笑える台詞をはさんでくる。恐怖映画の定番・お約束をパロディにする場面もあり、霊幻道士(キョンシー)を思い出した。ただ笑いがあるおかげで安心感が生まれ、恐怖シーンはより怖くなる。

 ヒロインがかわいいのもありがたい。貞子・伽椰子と同じ、ダブルヒロインだ。貞子・伽椰子がダブルヒロインという見方もある。

 呪いのビデオを偶然手に入れる倉橋有里(山本美月)、呪いの家の隣に引っ越してきた高校生・高木鈴花(玉城ティナ)。女の子同士がくっついて泣いたり、怖いよねと肩を抱いたりする場面があり、1人で怯えるシーンに比べると救いがある。これも笑いと同じで安心感があるため恐怖シーンの怖さは際立つ。

 有里の親友である上野夏美(佐津川愛美)は基本的にネガティブな子で親近感がわく。有里が基本的にポジティブなので、とても怖いシーンでは「これはアナ雪だ……ちょっと化け物が怖いアナ雪なんだ」と自分を励ました。

 バトルシーンは予想より少ない。もう少しキャットファイトさせるのかと思っていた。しかしはじめて貞子と伽椰子が相見えるシーンは感動的だ。バトルそのものもかなり普通に戦うので楽しい。もう少し見ていたかった。なぜ2人が戦うのかという理由は少しネタっぽいが納得した。安藤政信の「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」という台詞がすべてを物語っている。韻も踏んでいる。

 ラストは衝撃で「え"え"え"え"っ」と伽椰子のような声が出た。対決映画でこんな結末を迎えた作品って他にあるだろうか。

 劇場の明かりがついたとき観客が笑顔になったのが印象的だった。怖いものが苦手なわたしは2度と観たくないが、1回は観たほうがいい。好きな人はチネチッタ川崎「絶叫上映」やMX4Dなどで再体験してみても。わたしは当日お風呂に入らず、テレビのない部屋で電気をつけっぱなしにして、スマホでAbemaTVの「家族アニメ」チャンネルを表示したまま寝た。怖がりは友達や好きな子と観ようね。


劇場映画『貞子vs伽椰子』

 日本ホラー界の頂点を決するドリームマッチが実現。普段スポーツを見ない人でもW杯やオリンピックの結果が気になるように、最強と最強同士の勝敗はファンでなくても気になるもの。日本中が注目する世紀の対決――がんばれ貞子! 負けるな貞子! アスキーは貞子を応援しています。

■作品情報

脚本・監督:白石晃士
出演:山本美月、玉城ティナ、佐津川愛美、田中美里、甲本雅裕、安藤政信
配給:KADOKAWA


■関連サイト



盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中

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