本家CESもこの3年でスタートアップエリアが急拡大しているなか、開催2年目のCES ASIA 2016では単独のスタートアップパークが設けられました。
よく見るとすでに他の展示会でデビュー済みの商品や、明らかなプロトタイプ(要するにほぼ外側のデザインのみで動いていなかったり)も少なくないながら、「市場にいかに売り込んで生き残るか」に真剣なギラギラした熱意は、ある意味で大手企業ブースよりこちらの方が強い気がします。
持ち主を追尾する"ロボット"スーツケース「COWA ROBOT」
スタートアップパークのあるホール4で異様に盛り上がっていたのがCOWA ROBOTブース。スーツケースにTSA対応のスマートロック(もちろん電動のオートロック)や、1.5m離れると警告するアラーム機能などを搭載。
目玉は「自動追尾機能」で、ハンドルの隠しスイッチをオンにすると、持ち主の45度後方を追尾して自動走行までする仕組み。説明によるとCo-EYEセンサーという独自技術で追跡する・・・とのこと。ただ、カメラ穴らしきものは見当たらないので、画像認識ではなさそうです(スタッフに聞いてみましたが詳しくは説明してもらえず)
ブースではランウェイで実働デモもしていて、ややぎこちなくはあるもののコンパニオンの女性をスーツケースが実際に追いかける動きを披露していました。
価格は650ドル。7月に出荷する予定とのこと(Web上ではJune 2016になっています)。
世界最小をうたう4Kカメラ 「Mokacam」
CES2016でも展示していた4Kカメラ。海外のクラウドファンディングサイトIndiegogoで支援募集資金調達を完了していて、5月末までは199ドルで手に入れられるキャンペーンを実施中。Indiegogoの支援ページを見ると出荷がやや遅れているようですが、製品自体は完成しているようです。
スマートティーポット 「Qi Aerista」
紅茶、緑茶、ウーロン茶以外にも多彩な茶葉のある中国ならではの発想!? 茶葉ごとの給湯温度や抽出具合をプリセットして、好きな茶葉を好みの味わいで飲めるスマートティーポット。まもなくIndiegogoで支援募集を開始する予定。中国元でRMB700〜800(日本円1万1000〜3000円程度)。
この発想にアジア圏っぽさを感じるのは、緑茶や中国茶は白湯を入れて何煎も飲む文化と、紅茶文化の違いから。一煎で済ませることが多い紅茶圏からは、「適温のお湯を最適なタイミングで補充して飲む」という発想にはならないのではないかと。お値段少し高めですが、技術的な困難は少なそうだし、需要はありそうです。
珍しい外付けE-Inkディスプレイ 「Paperlike」
昨年日本にもいくつか日本国内に輸入されているという13.3インチ、1600x1200ドットというかなり大きなE-Inkディスプレイのデモ。
E-Inkパネル採用製品としてはAmazon Kindle(Whiteなど)が有名ですが、紙のような自然な表示で目が疲れにくいということで、いまだに根強いファンがいます。価格はRMB5000(日本円8万円程度)とのこと。
E-Ink特有の画面書き換えの残像はやっぱりありますが、Wordの文字入力程度なら結構実用的なレスポンスでした。とにもかくにも、Windowsの画面がE-Inkのモノクロパネルに映って操作できるというのが新鮮。
いまいる場所の空気汚染度がわかる 身につける環境センサー「ATMO TUBE」
大気の汚染に敏感な中国では注目されるでしょうか?
キーホルダーとして身につけて持ち運ぶことで、いまいる環境の一酸化炭素濃度や揮発性有機化合物の濃度、気温、湿度をリアルタイムにモニターしてくれるセンサーガジェット。
バッテリーライフは1分ごとに計測した場合で約1ヵ月もつそう。Indiegogoで購入でき、価格は89ドル。
日本のロボットスタートアップもいた!「PLEN2」
大阪を本拠地とするオープンソースのロボットスタートアップ・PLENの姿も。組み立てワークショップを会場内でやっていて、愛らしく動き回る姿や、人間のジェスチャーを読み取って同じポーズをするデモなどで注目を集めていました。
とにかく多いVR系展示には食傷気味……
CES2016などでもそうですが、VR系展示はとにかく多い。スマートフォンの液晶と基板にレンズをセットしただけのような独自のVRデバイスを展示する小規模ブースもあれば、BtoB向けの体感筐体とセットで人寄せを兼ねた展示をするところも。
家電メーカーHiSenceのブースでは、HTC Viveのデモスペースがあり、そこにも人だかりができています(HiSenceとの関わりは観客向けの表示パネルにHiSenceのディスプレイを使っている、というのみ。そらく)。
とにかく旬だからノっとけというこの状況は、Androidスマホが普及し出した頃の風景を思い出しますね。
開催2回目にして、規模拡大で面積2倍、東京ビッグサイト4ホールぶんほどの広さになったCES ASIA 2016。来場者数の公式発表はまだですが、現地は面積2倍でも参加者は通路にあふれるほど。おそらく来場者数は昨年を上回ってくるのではないでしょうか。
2017年は日本のパナソニックやトヨタ含むグローバル企業の参加が増えるのか、スタートアップ村の位置づけはどうなるのか?期待しつつ最後のレポートとしてます。