春になると、なぜか新しいカメラやレンズが気になるようになります。毎年のことで、まるで花粉症のように襲われるこの症状。原因もまた花粉と同じで、花が咲いたり新緑の季節を迎えたりするからでしょうか。不思議なものです。
そんな筆者は先日、Mevoというビデオカメラをプレオーダーしました。
このMevoはFacebookの開発者会議、「F8 2016」の基調講演で紹介されたウェブカムです。ライブビデオ配信大手のLive Stream社が予約を受け付けていますが、自社サービスだけでなくFacebookが公開したライブ配信APIもサポートしました。自社サービスに縛らない仕様は、ウェブカムMevoの成功と、ライブ配信の需要喚起のためには良い選択だったのではないでしょうか。あとはYouTube Liveをどうするかですね。
このウェブカムは、4K画質をサポートするカメラとマイクを内蔵した、テーブルの上に置くスタイルのカメラで、1月の世界最大の家電展示会CES 2016でもベストカメラとして評価が高かった製品です。
Mevoは単体で直接LivestreamやFacebookにライブ配信できる製品です。本体にはボタン類は特に用意されていないため、iPhoneアプリからコントロールすることになるのですが、このコントロールはほれぼれするほど素晴らしいのです。
Mevoの魅力は
iPhoneアプリからライブ配信中に編集できる点
一般のテレビ番組では頻繁にカットが切り替わり、映像が退屈にならないように、あるいは演出を効果的に伝えるよう工夫されています。複数のカメラで撮影するのが当たり前で、リアルタイムに、あるいは後から編集して見せています。筆者はそういう映像を見て育ってきました。
ところが多くのネットライブ配信でありがちなのは、1台の固定カメラでずっと同じ映像の中で展開されるものです。そんな映像を「そういうものだ」として受け入れることもできるし、映像の退屈さ以上に価値があるライブ配信も多いのですが、退屈しない絵作りとライブである価値を両立できれば、素晴らしいじゃないですか。
Mevoは、その可能性を切り拓いてくれるウェブカムです。
動作イメージを見ていると、4Kイメージセンサーで映し出した映像のうち、全面、あるいは部分的にズームをして、ライブ映像を編集しながら配信できるのです。Facebook開発者イベントでは、料理チャンネルTastemadeでの活用例が紹介されていました。
たとえばキッチンに2人が並んでいる状態で料理中継を進めていく際、全景、それぞれの人の顔、それぞれの人の手元のカットをあらかじめ用意しておけば、作業が進んでいる手元、話している人などを切り替えて、退屈しない、しかも演出面でも効果的なライブ中継ができるようになります。
このようにあらかじめ、配信したい領域をプリセットしておいて、カットごとに切り替えたり、領域を拡大・縮小、あるいは移動させてカメラのズームやパンを再現したり。まるで5台のカメラで収録しているように、瞬時にカットが切り替えられる仕組みを、399ドルのカメラ1台で実現できるなら、ライブ配信は圧倒的に変わるはずです。
ちなみに、原稿執筆時は、予約セールで100ドル割引になっていました。
ケータイの4Kビデオでも、同じアイディアで編集を
Mevoは4Kのカメラを搭載していますが、ライブ配信を4Kで行なったり、それを手軽に見られる環境は、おそらくまだ整備されないでしょうし、スマートフォン主体で消費されるのであれば、4K映像でなければダメという未来は来ないでしょう。
ストリーミングビデオでなくても、通常のビデオコンテンツもまた、スマホでの視聴が多いなら、4Kである必要は当面ないはずです。となると、カメラが4Kになってもさほど意味がないのではないか、という考えも理解できます。
それでも、筆者は極力、映像素材に使うiPhoneのビデオは、4Kモードで撮影するようにしています。その理由は、後からの編集で威力を発揮するからです。ここまで読んでいただければ、何をしようとしているのかおわかりかもしれませんね。
Mevoは4Kの映像から切り出して、ライブ配信向けの映像を作り出しています。広く撮っていても、4Kであれば、映像を切り出しても1080p(フルHD)あるいは720p(HD)の解像度を確保できるため、デジタルズームのように画像を劣化させずに配信ができます。
同じように、iPhoneで撮影した4K動画も、書き出しがフルHDであれば、編集中に映像を拡大しても、フルHDの解像度を損なわずに映像が利用できます。4KはフルHDの4倍の解像度ですから、4倍ズームまでは劣化しないということです。
やはり、スマホ1台で撮影していると、どうしても映像が退屈になりがちになるため、4Kビデオの一部分を拡大する映像を挟み込んだり、拡大してその領域を上下左右に移動させることで、固定カメラなのにカメラワークをしているかのような効果を作り出すことができます。
もしお手元に、4Kビデオが撮影できるスマホがあったら、ぜひ試してみて下さい。
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