総務省は4月22日、「HAPPYテレワーク賞」表彰式を開催した。審査の結果、5名の受賞者が選ばれ、高市早苗総務大臣から直接賞状が授与された。
HAPPYテレワーク賞は、今後の更なるテレワークの普及促進を目的として、テレワークを実施することでワークライフバランス向上に貢献するなど、効果があったテレワーク経験者のエピソードや斬新な活用アイデアを募集し、表彰するもの。審査の結果、アイデア部門:2件、エピソード部門:3件が選ばれた。
アイデア部門は、北海道の横山優美子さんと神奈川県の田中咲希子さんの2名。
横山さんは「(オフィスに通わなくても)老後でテレワーク」を提案。「寿命が延びている昨今、65才で定年は早過ぎると思っている人は多いはず。ワークシェアリングという考えを発展させた“老後テレワークシェアリング”が可能なるのでは。テレワークでできる仕事の一端をオールドパワーで担ってもらう。まだまだ働きたいと希望する人に通常のオフィス勤務とは別の方法で、社会に参加できる仕事の形があると良いと思う。老後破産が心配な人にも新たな選択肢となる可能性もある」とした。
田中さんは「病院内のテレワークスペース」を提案。「子どもが熱や病気で病児保育をお願いしなくてはいけないとき。家族が入院しているとき。親の介護で病院へ行くとき。体調が悪い家族の傍を離れるのは心肺という時でも、病院の片隅でテレワークができれば、何かあったときにすぐ病室へ行ける。入院中は常にベッドサイドにいる必要がないときも多く、病院の片隅でネットをつないでテレワークができたら便利では」とした。
エピソード部門では、3名のテレワーク利用者の体験談が選出された。
一人目は、進行性の難病を患う大阪府の上田玲奈さん。重度障がい者でもテレワークを活用することで責任のある仕事ができる喜びを実感しているとのことで、「通勤していた頃は毎日の身支度が大きな負担となり、『仕事と身体のどちらを選ぶか』という環境の中で生きてきた。しかし、テレワークでは身体への負担が少ない状況で働けるため、責任のある仕事も買って出ることが可能となり、自身の存在息切を大きく感じることができている。『障がい者=助けてもらうばかり』という私の概念は、テレワークによる仕事面のバリアフリー化で覆された」という。
二人目の小川嘉代子さん(茨城県)は「4人の子育てと仕事の両立は無理っ」のピンチを救った夫婦のテレワーク・リレーというエピソードを披露。「子どもたちは0歳、4歳、小1、小2。赤ちゃんのお世話と小1の壁、どっちかでも大変なのに、我が家はそれが4人……。子どもたちのお世話と通勤・仕事をこなす自信がないと主人に相談したら、主人も私と一緒に会社にテレワークを申請してくれた。私は月・水・金の週3日、主人が火・木の週2日をテレワーク勤務とすることで、私の職場復帰の立ち上がり時期をサポートしてくれた」という。
3人目はテレワークで「ワークライフバランス~仕事も家族も自然もご近所付き合いも」を実現している北海道の寺田郷子さん。「自然豊かな田舎町に住み、早朝はダイヤモンドと見まごう雪景色の中を東京から移住してきた老母と散歩する。9時。PCを開けば全国の尊敬する仲間がいるプロジェクトの一員。パートナーの転勤を契機に、12年半は完全在宅勤務をし、今は週2日はコワーキングスペースのオフィスブースに出勤し、3日は在宅勤務をしている。子どもと親をそばで見守りながら、仕事も自然もご近所付き合いもある」という。
こちらは個人の活動を表彰するものだが、テレワークの導入・活用を進めている企業・団体を選出する「テレワーク先駆者百選」というものもあり、今回は62団体を「テレワーク先駆者」とし、その中でも特にテレワークの頻度や対象規模、実施率などで積極的な36団体が「百選」として選ばれている。