アパマングループの賃貸住宅がIoT化する
賃貸で月額課金型スマートロック!さくらインターネットとシステムソフトが賃貸住宅向けホームIoTの合弁会社設立
2016年04月20日 11時00分更新
さくらインターネットは4月20日、アパマンショップを運営するアパマンホールディングスのグループ会社、システムソフトと共同出資を行い、ホームIoTに特化した合弁会社「株式会社S2i(エス・ツー・アイ)」を設立することを明らかにした。リリース文によれば2016年5月中の設立を予定している。
さくらインターネットは、今年2月に自社の閉域網を使った「さくらのIoT Platform α」を発表、4月から実証実験環境をテスター向けに提供しはじめるなど、IoTをインフラ側から支える仕組みづくりに積極的な姿勢を見せている。
今回のS2i社の取り組みでは第1弾として、さくらのIoT Platform α対応スマートロックの取り扱いをはじめるとアナウンスしている。ホームIoTと聞くと、製品開発やサービス開発を思い浮かべがちだが、リリース文では対応スマートロックについては「取り扱い」。直接開発するわけではない。
会社名 | 株式会社S2i(エス・ツー・アイ) |
本社所在地 | 東京都千代田区紀尾井町4番1号 |
代表者 | 代表取締役社長 大澤 梢 |
資本金 | 2000万円 |
出資比率 | 株式会社システムソフト 52.5% さくらインターネット株式会社 47.5% |
設立 | 2016年5月(予定) |
事業内容 | Home IoTに関連したサービス/プロダクトの企画・開発・提供 |
ポイントは、リリース文にある「アパマングループとの業務提携(予定)を通じて未入居物件に設置・稼働を目指します」という部分。ここが本丸だ。ホームIoT製品はスマートロックにしろスマートコンセントにしろ、本質的に体験型製品だ。だから、ユーザーの自宅にいかに設置してもらうか?が最大の障壁になる。
S2i社の将来的な主要業務はハードやサービス開発ではなく、アパマングループの賃貸物件に、ホームIoT機器を給湯器などを同じレベルで標準装着とするための「仕組みの整備と実施」が本業になっていくと見られる。
この仕組みは、見方を変えれば賃貸不動産の世界にホームIoTの月額課金型レ点ビジネスを立ち上げるということだ。入居者は、引っ越し時に契約書で「使う」にチェックを入れるなどの方法で、家賃に数百円追加するだけでホームIoT機器を使用可能になる(さくらインターネット フェローの小笠原氏によればスマートロック機能の場合で月額500円程度で提供したいとのこと)
ホームIoTの世界に与えるインパクトの大きさ
今回の取り組みが順調に立ち上がった場合、ホームIoTの世界に与えるインパクトは決して小さくない。現時点では、外部企業からの参加受け入れの窓口は明言されていないが、普通に考えれば有望な製品を社外からも取り入れない理由はない。
ざっと考えただけでも、ユーザー視点、メーカー視点、不動産業者視点のインパクトはそれぞれこういう形になりそうだ。
ホームIoTメーカー視点(スタートアップ含む)
・これまで存在しなかった数万台規模の月額課金型ホームIoT市場が立ち上がる
・さくらのIoT Platform α対応スマートロックをホームゲートウェイとすることで、さまざまな利用データの蓄積・分析が容易に
(リリース文のなかで通信プロトコルやAPIのパートナーへの提供を明言)
・大手企業だけではなく、スタートアップにも新しいビジネスの可能性
入居者視点
・インターネット側から施錠状態をモニター/操作できるスマートロックを初期コストなしで使える
(Dinks世帯や、都市圏の共働き子持ち世帯への防犯・在宅確認需要)
不動産業者/不動産オーナー視点
・セルフ内見できる不動産が飛躍的に増える(貸鍵業務の低減)
・今後を見据えた民泊需要への対応が容易に
ホームIoTメーカー、特にこの市場でのビジネス立ち上げを狙うスタートアップにとっては、数万台規模の具体的なターゲット市場の存在は強い追い風になる。とりわけ、本体コスト3万円(月額500円程度x48ヵ月)〜5万円程度でリクープするようなホームIoT製品は、この仕組みの中では使いやすいはずだ。
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