⑥ユーザーインタビュー対象者を抽出
本番のユーザーインタビュー対象者を抽出します。「④ターゲットユーザーとエクストリームユーザーを見分けるアンケート作成」で作ったアンケートを使って、社内アンケートを実施しました(なぜ社内アンケートにしたのかは第1回を参照)。
得られた回答数は約250件でした。その結果から、ターゲットユーザー(多数派)と極端な行動を取るエクストリームユーザー(少数派)、いずれかの特徴を持つインタビュー対象者を抽出しました。
ユーザーインタビュー実施人数
- コスメ用品を実店舗でもECサイトでも購入している人:6人
- コスメ用品をほぼECサイトのみで購入している人:2人
(ターゲットユーザー)
(エクストリームユーザー)
ターゲットユーザーへのインタビューからは、ターゲットユーザーの課題と価値観を把握できます。極端な行動を取るエクストリームユーザーは、ターゲットユーザーが抱えている課題を工夫して解決している場合があるため、行動や考えていることから、改善策のアイデアを得られます。
インタビュー対象者は、ターゲットの特徴についてメンバー間で意識合わせができていたので、迷うことなく選定できました。
⑦ターゲットユーザーとエクストリームユーザーにユーザーインタビューを実施
いよいよユーザーインタビューの実施です。
練習同様インタビュー対象者1人当たり30分〜1時間程度で、インタビュアー役と記録役の2人1組で実施しました。
ユーザーインタビュー実施時に注意した点は以下の通りです。
インタビュー時の注意点 |
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直近の体験を一通り聞く。その後、感情が動いていそうな体験をピックアップして詳しく聞く。 |
「なぜ」を繰り返す |
「なぜ」、「どのように」を組み合わせて詳しい話を聞いていく 例:インタビュアー「メイク用品はネットで買わないのはなぜですか?」ユーザー「Webサイトで見る色と実物の色は違うから」 インタビュアー「実物の色はどのように確認していますか?」 ユーザー「実店舗で気になったものは店頭サンプルを片っ端から肌につけてみます」 |
自分の思い込みの解釈を確認するような質問をしない 例:「コスメ用品はいつもマツキヨみたいなドラッグストアで買いますよね?」のような尋ね方はしない |
体験の背景にある 「考え」や体験によって生じた「気持ち」を聞く |
質問項目の中で、感情が動いていそうな発言があれば、更に詳しく具体的な話を聞く 例:「メイク用品は使い切れないうちに新しいものを買って古いものが残ってしまうから嫌なんですよね」という発言があれば、「使い切らないうちに新しいものを買うのはなぜですか?」など行動の理由を詳しく聞く。 |
矛盾した発言を発見し、理由をさぐる 例:「メイクはそんなに好きではない」「メイク直しは1日3回する」という発言があったときに「なぜ1日3回メイク直しをするのですか?」と尋ねる。 |
インタビュー開始時に、インタビュー結果のデータ利用範囲を説明する 例:「今回のインタビュー内容はショッピングのサービス改善のために使用します。それ以外の目的での使用や、サービス関係者以外に共有することはしません」 |
相手が答えに詰まっても、自分のペースで答えられるように待つ |
1回のインタビューで用意した質問すべてしなくてもよい |
気になる発言があれば、その発言を詳しく掘り下げることを意識する |
全体で共通することは、質問をするときに相手が自然に答えやすいように、適度に相槌をうちながら話しやすい雰囲気作りを心がけたことです。
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これで、初めてのユーザーインタビューが終了しました。ユーザーインタビューの実施は、それだけでも達成感がありますが、大事なのはその後の結果分析です。結果を適切に分析できないと、サービス改善に生かすことができません。次回は、ユーザーインタビュー結果の活用方法を解説します。