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サイトの課題はユーザーインタビューで知る (1/2)

2016年04月27日 11時00分更新

文●UXデザイナー 瀧知惠美/ヤフー株式会社

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「ユーザーインタビュー」。聞いたことはあっても実施するタイミング、方法、結果の活用方法がわからない方も多いのでは? ヤフーでUXデザイナーを務める瀧知惠美氏が、事例をもとに4回にわたって解説します。(編集部)

ユーザーインタビュー(直接ユーザーと話をすること)を業務で活用する場合、わからないこと、うまくいかないことが多々あります。本連載では、ユーザーインタビューを実践するにあたって気をつけるべき細かなポイントを、実施プロセスに沿って紹介します。最初の2回は、Yahoo!ショッピングでユーザーインタビューを活用した事例となります。第1回目の今回は、ユーザーインタビュー実施の意義と準備までまとめました。

Yahoo!ショッピングPCサイト

なぜユーザーインタビューなのか

Yahoo!ショッピングの事業部は、検索、商品詳細ページなど機能ごとに組織やプロジェクトが分かれていて、改善施策も機能ごとに実施していました。

そのため、「商品詳細ページでカートボタンが押されにくい」といった課題が見つかると、PDCAを回して商品詳細ページを改善していましたが、大きな効果は得られませんでした。そこで、ユーザー導線を俯瞰して確認したところ、売上は「注文履歴から購入する商品を選ぶ人が多い」傾向が見つかり、最終的に「トップページに注文履歴を表示する」ことで売上が上がった事例があります。

このような事例をきっかけに、個別で細かなPDCAを回すより全体の最適化が必要だと認識が広がりました。

また、部分的なUI改善ではサービスの成長に限界があるのではないか、と事業部内でささやかれていたため、アプローチを変えて、ユーザーインタビューによって「ユーザーが買いものをする体験の全体の流れ」を明らかにし、それをもとにサイトを改善することになりました。

ユーザーインタビューで課題や目標を共通化する

ユーザーインタビューを実施すると、ユーザーがオンラインショッピングに求めている体験や課題をイメージしやすくなります。具体的なイメージがあるとユーザーの課題についてサービス担当者間で意思疎通がはかりやすく、サービス担当者全員で取り組むべき課題の共通認識を得られるため、目標も共通化して取り組めるようになります。

ユーザーインタビューのチーム体制

Yahoo!ショッピングでは、サービス担当者が抱えていた課題に対して、デザイナーからの提案でユーザーインタビューを実施することになりました。広くメンバーを集めた結果、プロジェクトメンバーは、デザイナー3人、企画1人、そしてユーザーインタビュー実践経験が豊富なUXデザイナー1人の計5人。メンバーにユーザーインタビュー経験者がいることで、ユーザーインタビューの進め方やつまずきやすいポイントを事前に把握できたり、スケジュールが立てやすくなったりするメリットがありました。また、プロジェクトに共感し、積極的に関わりたい思いを持つメンバーでチームを組めたことも、うまくインタビューを進められた一因になったと考えられます。

ユーザーインタビューの手順

ユーザーインタビューは下記の図の手順で進めました。

①狙う市場(Yahoo!ショッピングの中のカテゴリー)を決める

ユーザーインタビューの取り組みで初めに実施したことは、どのユーザーの体験を改善すればビジネス的に効果があるかをマーケティング担当者に相談し、狙う市場を決めることです。

狙う市場を決める指標

  • 市場規模が大きい
  • インターネット通販との親和性が高い
  • 現状の売上も高い
  • 既存の利用ユーザーが多い

狙う市場を絞らず、すべてのYahoo!ショッピングユーザーに効果があるアイデアを出したいという意見もありました。しかし、Yahoo!ショッピングでは、カテゴリーによって購買行動やニーズに違いがあるため、すべてのユーザーに効果のある施策はそう多くはありません。そこで、前述の指標を踏まえ、改善の効果が高いと仮定した「コスメ用品」カテゴリーを狙う市場と定め、改善施策を検討することに決めました。

②ターゲットユーザーとエクストリームユーザーの特徴の違いを洗い出す(仮説)

ユーザーインタビューの対象として、ターゲットユーザー(多数派)エクストリームユーザー(少数派)を選定します。

エクストリームユーザーとは、通常のユーザーとは異なる「極端な行動」をとるユーザー層を指します。彼らの極端な行動は、ターゲットユーザーのニーズを満たすアイデアのヒントになることがあります。

ターゲットユーザーとエクストリームユーザーを抽出する判断基準を明確にする前に、まずはチーム内で話し合い、ざっくりとしたユーザー層の違いを仮説として洗い出します。

「コスメ用品」のターゲットユーザーの行動には、「店舗で商品を試してから、ネットで購入する」「定期的に購入している商品がある」などの仮説が立てられました。

一方で、エクストリームユーザーの行動には、「コスメは全部インターネットで購入していて、インターネットでの購入頻度が高い」「メイク、コスメに詳しくこだわりが強い」などの仮説が立てられるなど、チーム内でそれぞれのユーザー層のイメージを共有していきました。

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