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サイトの課題はユーザーインタビューで知る (2/2)

2016年04月27日 11時00分更新

文●UXデザイナー 瀧知惠美/ヤフー株式会社

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③ターゲットユーザーとエクストリームユーザーを見分ける判断基準を明確にする(仮説)

②で洗い出した特徴の仮説をもう一歩具体化して、ターゲットユーザーと、エクストリームユーザーを抽出する判断基準を明確にしていきます。コスメ用品の購買行動、利用時の行動などの相違点を整理し、以下の通り特徴をまとめました

ターゲットユーザーとエクストリームユーザーの特徴(仮説)

ターゲットユーザー エクストリームユーザー
ECサイトでコスメ用品を購入する頻度 数カ月に1度程度 毎月複数購入
コスメへの興味関心度、こだわりの強さ 勧められて購入 実際使って評価する
メイク直しをする頻度 夕方 2、3時間置きに直す
コスメ用品の1カ月の購入金額 5000〜1万円 2万〜3万円以上

このようにユーザー層の違いによる行動特徴の仮説を把握することで、インタビュー対象者を抽出するアンケートの質問を考えやすくなったり、抽出基準を決めやすくなったりできるのです。

ただし、この特徴はあくまで仮説です。ターゲットユーザーの特徴をこの時点で正確に把握することは難しいので、アンケート調査やユーザーインタビュー実施後、結果からターゲットユーザーとエクストリームユーザーの特徴や抽出基準を再度見直すことが重要です。

整理したそれぞれのユーザー層の特徴を仮説だと認識した上で、次に進みましょう。

④ターゲットユーザーとエクストリームユーザーを見分けるアンケート作成

ターゲットユーザーとエクストリームユーザーの特徴(仮説)から、ユーザーインタビュー対象者を抽出する「アンケート」を作成します。

アンケート項目として考えた内容は下記の通りです。

アンケート項目
年代
コスメ用品をECサイトで購入する頻度
ECサイト以外でコスメ用品を購入する場所
ECサイトで購入するコスメ用品の金額
メイクに対するこだわり

ユーザーインタビュー対象者に調査の意図を読み取られて、本音を聞き出せなくなる懸念もあるので、アンケート項目は必要最低限に絞りました。また、回答は選択肢を選ぶだけにするなど、回収する回答数を増やすための工夫もしています。

この時のユーザーインタビューはヤフー社員を対象に実施しました。

社員を対象にするユーザーインタビューのメリット/デメリット

社員を対象にするユーザーインタビューには以下のメリット/デメリットがあります。

社員対象にインタビューを実施するメリット

  • 謝礼がなくても回答が集まりやすいのでコストがかからない(お礼の気持ちで簡単なお菓子を渡すことはある)
  • インタビュー対象者を短期間で素早く集められる
  • 再度気軽にインタビューできる
  • インタビューした同じ人に後日プロトタイプテストもできる
  • サービス担当者がインタビューに参加しやすい

社員対象にインタビューを実施するデメリット

  • インタビュー対象として理想の特徴にすべて合致しない人しかいない場合、インタビュー対象の条件に妥協が必要になる。
  • たとえば、ヤフー社員はITリテラシーが高い傾向にあるため、提供するサービスがITリテラシーの低い人を対象としている場合、妥協することになる。

今回は、ユーザーインタビュー実施の経緯と、準備を紹介しました。次回もYahoo!ショッピングの事例を通じて、実際にインタビューをする際のポイントを紹介します。

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