iPhone SEに教わった、小さなスマホのメリットとデメリット
筆者はさほど手が大きい方ではない。iPhone 6sを片手でフリック入力しようとすると、グリップできず不安定になる程度に余裕がない。その理由から、「どうせ両手なら」と5.5インチのiPhone 6s Plusを選択した経緯があるほどだ。
きちんと握って片手で満足に操作できる
そんな筆者からすれば、iPhone SEは、性能に妥協せず手にきちんと収まる、昨今にしては非常に貴重な存在である。
文字入力の際のフリック入力は、しっかりグリップして素早く親指を動かせるし、画面の左端からスワイプする1画面戻るジェスチャーや、画面上部の決定ボタンにも親指でリーチできる。先日ラスベガスへ出張した際も、片手で荷物を持ちながら、搭乗券をiPhoneに表示させ、バーコードを読み取らせる動作もスムーズに行なえた。
きちんと握って片手で満足に操作できるスマートフォンは、筆者にとっては2年ぶりの経験であり、依然としてその魅力が保たれていることを確認できた。
文字を読まなくなった
しかし、コンパクトさと比例する小さな画面サイズは、ネガティブにも働く。iPhone 6s Plusでやっていたことを、iPhone SEでやらなくなった。それは、文字を読むことだ。
写真やビデオは、もちろん表示域が小さくなることを我慢できる。しかし文字は格段に読みにくくなる。電子書籍を表示しても頻繁なページめくりで集中力が阻害されるし、ウェブは文字を拡大した際の一覧性が損なわれる。読書やニュースチェックをスマートフォンで行なうことを習慣にしていた人にとっては、4インチへの逆行は厳しいだろう。
また、アプリの設計も大画面での使い勝手が前提となりつつあることを感じた。特に不便なのは、メッセージ系アプリだ。
純正のメッセージアプリやLINE、Facerbookメッセンジャーでも同様だが、iPhone SEでは画面の半分がキーボードで隠れるため、自分の入力欄が2行目に入れば、スレッドのやり取りを見ながらメッセージを書くことはできない。
スマホ体験に画面サイズが含まれるのなら……
iPhone SEは、画面サイズ以外の部分で、「2015年モデルのiPhone体験」を実現する役割を十分に果たしている。性能とバッテリーライフの向上を両立させた点は、それだけでもiPhone 5sからの乗り換える動機になると考えられる。
前述のメッセージ系アプリのように、日常的に多用されるアプリですら、iPhone SEの画面サイズでは使いにくさが生じる点が気になった。ただ、これまでiPhone 5sを使用してきた人も同じ経験をしていることを考えれば、やはりiPhone 5sユーザーからすると「そういうものだ」と片付く話だ。
スマートフォンの性能を高めても、アプリの操作性や可読性を左右する画面サイズによって、スマホ体験が阻害されるのであれば、やはりiPhone SEはメインストリームではなく、あくまで戦略的に、新興市場や若年層など、価格の安さを重視する需要を逃さないための製品だ、と見るべきだ。
そのおまけとして、これまでの高性能=大画面という関係性にメスを入れ、選択肢が広がった点がiPhone SEの価値になる。大画面の優れたスマホ体験を取るか、手に収まるiPhone SEを選ぶか。実機に触って判断してみてほしい。
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