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IoT&H/W BIZ DAY by ASCII STARTUP 第17回

Cerevo岩佐×VAIO中田 IoT/ハードウェアの”生産”を語る

シャープ買収の衝撃 日本が出遅れた「作り手市場」の逆転

2016年04月13日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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発注側が強いはずだったのが逆転してきた

── VAIOのあまり表に出ない業態にEMSというものがありますよと。さらに解説をぜひ聞きたいと思っていまして、そもそもEMSって何ですかと。

中田 EMSというのはエレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス。電子機器を製造委託するサービスです。要するに相手先の会社が設計したものをひきとって、部品調達もふくめて製造を請け負うのがEMSですね。

 アップルさんだとフォックスコン(鴻海)さんにiPhoneの製造委託をしてますが、そうした業態を指します。もう1つある言葉としてはODM。Original Design Manufacturerの略で、こちらは設計もふくめて請け負う業態です。できあがった商品には相手のブランドがつくと。VAIOはさっきも紹介しましたが、設計もふくめて受託ができますのである種ODMと呼んでもいいかと。

── 超大手だとフォックスコンさん、クアンタさん、コンパルさん、それこそコンピュータの基板をつくっていた会社からスピンオフして作ったところもありますよね。国内だとEMSってどれくらいあるんですか?

岩佐 めちゃくちゃ多いですよ実は。VAIOさんとかフォックスコン(鴻海)さんは有名だから知ってる人も多いかもしれないですけど、社員10人でやってますというちっちゃいところもあって。逆に、ぼくらはいつも深セン(シンセン)って地域に行くんですけど、そのあたりに行くと街全体がEMSみたいな感じです。

── 元サンヨーさんのXactiさんも国内EMSですよね。

岩佐 EMS、ODM、OEMまで絡めると意外ともっと話は複雑だったりして……。国内EMSの話をすると、XactiさんはVAIOさんとちがって、拠点がインドネシアですよね。営業案件を主に国内からとってくるんですけど、製造拠点は海外、インドネシアとかいう人もいるんで。日本にあるEMSというと2種類あると分かりやすいかなと。日本のEMSでも工場は国内か海外かという違いがあるんです。

── Cerevoさんは今年のCESで「面白いものを出すんだよね」というのをお聞きしていて、なんだろうと思っていたら「Tipron」というロボットを出してきた。話を聞くとフォックスコンが製造に関わっていると聞いて驚きました。これまで大手EMSはすごく大きなボリュームじゃないとモノをつくってくれなかったのが、スタートアップと一緒に何かやるという事例が出てきた。これはどういうことなんだろうと。

岩佐 わかりやすくいえば、売れなくなってきたじゃないですかコンピュータって。

 結局のところ「iPhoneで1000万台」みたいに大クオンティティ(大量受注)を取れるものがどんどん昔に比べて減ってきたということですよね。

 デジカメとかはわかりやすくて。コンパクトデジカメって、キヤノンさん、ニコンさん、パナソニックさんあたりはワンモデル500~600万台だったところがいまや「100万台いったらヒットじゃん」というくらいになってきた。PCもそうですよね。大クオンティティ(大型注文)をつっこめるプレイヤーが減ってきた。

 逆に、EMSはもうかってる。鴻海がシャープに救いの手をさしのべるみたいな形になってきて、逆転してるわけですよ。EMSを使う側だった、「金やるから作ってくれよ」という発注側。何事も発注側が強いはずだったのが逆転してきた。

 でもEMSに数百万台の大クオンティティで落としてくれる連中はすごい勢いで減っていき、さらに取り合いになる。工場は増える、いっぱい売れるやつは減る。そりゃなんか考えないとダメだよねとなったとき、面白い事例が起きてきた。ぼくはいつも「GoPro、Fitbit」とよく言うんです。10年前は存在してないような企業が世界でいちばん歩数計を売っている。存在もしなかった企業が世界でいちばんたくさんビデオカメラをつくるメーカーになったと。

 ちょっと前だと「フリップ」がそうですよね。ソニーさんの北米ビデオカメラシェア1位を十数年ぶりに蹴落としたのがフリップ、ピュアデジタルテクノロジーズというシスコに買収された会社が作ったカメラだったんです。そういうのが出て、全体的に大手がそうなっている(低落している)なら、ベンチャーの連中を自分たちが支援して、手伝ってやった結果、自分たちがベンチャーからお金をもらえればいいんじゃない、というふうに変わりはじめたのが2000年代後半。その動きが一般の人にもわかりやすくなってきたのが2011~2012年くらいかな、と。

中田 われわれがPCをずっとやってきて、なぜここに来てスタートアップを支援するようになったか。やっぱりPCだけで数(出荷台数)をガンガン伸ばしていくことができなくなったというのがあります。ただ、PCを作ってきたノウハウや設備を持っていて、モノづくりをしたいと思っている人たちは技師以外にもいっぱいいると思うんですよね。そういう人に使ってもらいたい。そこから何がしかお金がもらえればいいわけで。そういったところで技術やアセットを使っていただきたいというところからはじめたのが発端になります。

── Moffさんの事例はスタートアップとしては最初の事例ですか?

中田 そうですね。スタートアップという業態と組むのは初めてです。その前に、富士ソフトさんのロボット製造受託をさせていただいたことはありまして。それがVAIOとして最初のEMSになるんですけど。

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