ムック「週刊アスキー特別編集 2016春の超お役立特大号」は3月18日発売。ASCII.jpでは【超お役立ち】特集を展開中。こちらはスペシャルエディション、なんでもありでやっております。お役立ちの法則がみだれる!
桜が全国あちらこちらで開きはじめた。週末はお花見のピークだろう。だが、えるしっているか、お花見は寒い。
お花見を楽しむ女性のじつに2人に1人は、寒さによる体調不良を経験したことがあるという調査結果もある(調査レポート)。わたしもカイロをベタ貼り、ブランケットのミイラと化した経験がある。寒いのだ。
そこでわたしはある計画を思いついた。「こたつ花見計画」だ。
カセットボンベ発電機を使う
はじめに、あたたまるといえばこたつだ。これはまちがいない。
次に、今年のホワイトデー、わたしが編集部の酒呑み担当・ナベコさんにプレゼントした電気式の燗酒器がある(ちなみにナベコさんからは焼酎が入ったチョコレートをもらった)。こたつで桜を見ながら燗酒が飲めたら勝ち組だろう。
さらに、家と同じ生活家電・調理家電を野外で使い、あったかいお料理を食べられたら最強といえるのではないか。これトリビアになりませんか?
もちろん野外で生活家電を使うには電源が必要だ。家庭用発電機を調べたところ、見つかったのがホンダのインバーター発電機「エネポ EU9iGB」。価格は11万8800円。奮発すればボーナスで買えそうな値段ではある。
●ホンダ「エネポ EU9iGB」価格11万8800円
インバーター式/定格出力900VA/カセットボンベ燃料/連続運転時間約2.2時間/100Vコンセント2口/幅262×奥行き365×高さ524mm/重量19.5kg
http://www.honda.co.jp/generator/enepo/
さっそくホンダに「こたつに入って花見をしようと思っているんですが」と連絡してみたところ、困った顔をしながらもサンプルを貸してくれた。さすがホンダ、話がわかる。ちなみに地震発生後、非常用電源としてよく売れたのだとか。
重量約19.5kgのエネポをキャリーバッグよろしくゴロゴロ転がし、青山一丁目のショールームから運んできた。階段を上がるとき持ち上げなければならず重いが、基本的には簡単に運べて便利だった。これで電源は確保できた!
燃料がガソリンではなくカセットボンベという気軽さが決め手だ。専用カセットボンベ2本があれば、おうちの外でもコンセントが使える。定格出力0.9kW、ボンベ2本で約1.1時間、最大約2.2時間運転できる。運転時間を延長したければ追加のボンベを買っておき、交換すればよい。
ちなみに、エネポは発電・出力した電気の波形を整える「正弦波インバーター」を搭載するのも売りの1つ。安定して電気を出力してくれるため、パソコンやマイコン搭載機をつないでも回路に悪影響がなく、動作してくれるという触れ込みだ。なるほどお花見しながら仕事ができるわけだ(やめましょう)。
組み立てラクラクこたつを準備
電源があり、足りないのはこたつだ。
電話をしたのは、最近こたつで人気のある山善。「こたつに入って花見をしようと思っているんですが」と伝えると、またも電話口から困った声が聞こえてくる。それでもサンプルを貸してもらえることになった。さすが話がわかる!
お借りできたのは「ラクこた YAMAZEN RAKU-105」。価格は1万8360円。2015年の新製品で、工具を使わずに組み立てられるラクラクこたつだ。脚をはめこむだけで使えるので野外で使うときも簡単だろうと踏んだ。消費電力は300W、サイズは幅105×奥行き75×高さ38.5cm。
●山善「ラクこた YAMAZEN RAKU-105」価格1万8360円
ファンレスヒーター/消費電力300W(電源100V)/幅105×奥行き75×高さ38.5cm/重量13kg/ふとん別売
http://www.yamazen.co.jp/yamazenbook/newslist/node_12623
実際に組み立てると驚くほど簡単だった。しかも小さい。同じシリーズではRAKU-75という75cm四方の“おひとりさま”こたつも売っているらしい。季節はずれもいいところだが、欲しくなってしまった。こたつのおふとんにリモコンなどを入れておけるポケットがついていて便利だ。これは日本人が誇るべき発明だ。
さあこたつと発電機がそろった。いよいよこたつ花見を始めよう。その前に大切なこと、注意事項がたくさんある。
まず、公園は発電機の持ち込み・使用を禁じているところが多い。次に発電機は砂利や小石などのない平坦で堅い場所で使う必要がある。排気ガスによる一酸化炭素中毒のおそれがあるので、ベランダやテントなどの近くでは絶対使ってはいけない。もちろん感電のおそれがあるので、雨や水のかかる場所で使ってもいけない。そして大事なことに、発電機を使う人はお酒を飲んで酔っ払ってはいけない。
そしてこたつは、感電の危険があるため絶対に濡らさない。直射日光に当たる場所・高温多湿な場所では絶対に使わない。野外で使うときはとくに注意したい。
こうして選択肢を削っていくと、山奥で山桜を見る「キャンプ花見」くらいしか用途がなくなっていく気もするが、もうそのあたりは気にしないでおきたい。
インバーター初号機、起動
さあーーっ花見だ花見だーーー!
花見スポット(会社敷地)にブルーシートを敷いていくナベコさんと若手記者・小嶋くん。警備員がこちらを見ていたけどスマイルで対応する。
ブルーシートが敷けたらこたつの準備だ! ナベコさんに組み立て方を教えると、「お~~っ簡単ですね」と驚きながら組み立てていく。おじいちゃんおばあちゃんも一人で組み立て・片づけができそうで便利だ。本当に欲しい。
テーブルと台座のあいだにおふとんをはさんで、こたつ完成!
「おおお~っこたつだ~~~!!」
まだ電源が入っていないにもかかわらず、花見参加メンバーのテンションが上がる。酒呑み・ナベコさんは燗酒器の準備を開始。好みに応じて4段階であたためられる優れものだ。メーカーはツインバード、型番は「TW-4418B」ブラック。残念ながら生産終了品。
その隣でいよいよエネポくん起動!
発電機を動かしたことがないため戸惑いながら起動準備。まずはホンダ指定のカセットボンベ2本を装てん、スイッチを「運転」にセット。そして、ロープのようなグリップをつかんで、勢いよく引ききるッ!
ブロオオオオオオンッ!!!!
うおおおきたあああああ!! 初号機起動しましたああああ!!!!!!
思わずテンションが上がるが、ドドドドドドドドドドと予想以上に音がデカくて笑う。そして排気ガスもけっこう匂う。ガソリン型発電機と比較すれば駆動音も小さく匂いも少ないということなので、おそらくこれがマックスなのだろう。なんとなく屋台でわたあめを売っているおじさんのような気分になってくる。
音と匂いについてもう少し書くと、騒音レベルは79~84dB、普通にうるさい。声を張らずにしゃべっていると何度か「え?なんて?」と聞き返される。匂いはいかにもガスっぽい。ただ、両方ともちょっとすると慣れる。そしてちょっと離れたところに置けば気にならない。そのくらいだ。そしてテンションが上がる。
振り返ると、ナベコさん・アスキー動画班つばささんの2人がこたつに入り、宴の準備にとりかかっている。向こうにはLINEブラウンの姿もあってカオスだ。ちなみに撮影時期の関係、桜は100円ショップに咲いていたものを見る。
さあ本番、こたつ花見の始まりだー!こたつのプラグをエネポの電源につないでスイッチ「入」!!
こたつ稼働、燗酒器発動
エネポの駆動音が「ブロオオッ!!」と大きくなって、一瞬「!?」と青ざめる。どうもこれは電気を使いはじめたよという合図らしい。
「ついてます?」「わかんない」
こたつにもぐり、ヒーターの様子を確認する2人。ブラウンが様子を見守っていて、われながら昼間から何をしているのかわからなくなってくる。
「ついてます! 赤い!!!!」
こたつからおしりを出したままナベコさんが報告。のぞきこんでみると本当だ!ついてる!あったかい!すげえ!当たり前だけどすげえ!!
一同喝采を送り、小嶋くんもこたつに入って花見モード突入。背後には100円ショップの桜が満開!アスキーに春が来たよ!
こたつができたら燗酒だ。燗をつけるのはもったいない気もするけど、大量にある樽酒で燗酒の準備をつつがなく進めていく。ただしエネポの発電量の関係で燗酒器を使うときは一度こたつの電源を切る必要がある。
ちなみにエネポは別売りの並列運転コードで2台を並列でつなぎ、最大1800VAの電機を得ることもできる(ただし一口のコンセントから取れる電力は最大1500VA)。お金持ちになったら、エネポ2台でぜいたくなお花見をしてみたい。
ともかく燗酒だ。モードを「人肌燗」にして、燗酒器をオン!
待つことしばし、ゆらゆらと湯気がのぼりはじめる。手をかざし、「すごーい!あったまってきてる~!」と当たり前のことに感動する面々。電気というのはすごいものなのです。
ナベコ「ではお酌を……」
つばさ「おっとっとっと……」
ものほしそうにしていた小嶋くんにも燗酒が注がれ、めでたく乾杯。燗酒器は非常に楽しく、見た目もいい。これで参考価格5400円は安いと思う。普通に電気ヤカンの感覚で買いたい。ナベコさん、燗酒のお味はいかがですか。
ナベコ「樽の匂いが完全に移っていて、ものすごく樽くさいですね」
……それは樽酒サイドの問題なんじゃないですかね。
そんなことを言いながらもグイグイ飲んでいくみなさま。
しかし、ここで酔いつぶれてもらうわけにはいかない。まだ試したいものはある。つづいてはバルミューダがつくった究極のトースター「The Toaster」!
トースター作動、IHクッキングヒーター始動
トースターの周囲に可燃物を置かないよう、こたつから距離をとってピーナッツサンドをセット。「トースト」モードにして、3分間のあたため開始!
エネポがふたたび「ブロオオッ」と激しい駆動音をあげ、トースターが加熱をはじめる。赤くなってきたーーっ! トースターから蒸気がぶっしゃあああと出てくるところでやや不安になりつつも様子を見守る。と、次の瞬間……
ブロオオオオオオッ!!!!
ひときわ大きな音を上げたかと思うと、ブルルルル……とエネポは静かになってしまった。見ると赤いランプがついている。過負荷警告灯だ。定格以上の電力を使ってしまったため、エラーを起こしてしまったのだ。なぜだ。
バルミューダのトースターはマイコンで温度を調節している。最後にガッと温度を上げ、軽く焦げ目をつける。この「ガッ」で一気に消費電力量が上がり、エネポがダウンしたわけ。エネポにごめんと謝りながら一度運転を停止させた。
とはいえ、焦げ目こそついていないものの、クリームとろけるあっつあつピーナッツサンドが完成した。2つに割ると、さくさくだ。
ナベコ「うん、味は普通です。おいしいです」
よかった。関係ないが、おいしいを“普通”という表現はどうなのかと思う。
さてエネポの停止からしばらく時間を置いて、最後はおでんだ!おでんに燗酒、最強でしかない。なお調理家電にはナベコさんが普通に自宅で使っているアイリスオーヤマのIHクッキングヒーター「IHK-700」を借りた。
まずはエネポをブロオオオオン!と駆動。もう2回目ともなればグリップひもの引き方も慣れたものである。こうしてエンジンを駆動していると男が上がった気がする。絶対否定されるのでみんなには言わない。
エネポが安定したところでコンセントプラグを接続、やはりナベコさんが持ってきたすきやき鍋をヒーターにセット。最後はおでんだ。すきやき鍋におでん種を入れ、強火にセット。おでんが煮えるのを待つ。
ここで小嶋くんがいい気持ちになってきたのか、ブラウンにからみはじめた。そういう趣味があったの?
電気のありがたみを感じる
小嶋くんをからかっているうちにすきやき鍋のふたが曇り、煮えてきた気配が。ふたをとると、おでんつゆがふつふつ泡をあげて沸騰している!
「うまそ~~~~!!!!」
一同絶叫。まあ冷静になればあっためなおしただけなのだが。
さっそくみんなしておでんをつつきはじめる。小嶋くんが有無を言わさず牛すじ串を奪いとり、みんなから白い目で見られていた。とても憎たらしい顔で食う小嶋くん。ギャンブル好きのおっさんみたいだ。まだ29歳なのに。
一方ナベコさんは、おでんを口にくわえたままアスキー動画班にカメラを向けられて、片岡●太郎と化す。
ナベコ「あつい!昆布おいしいです!」
動画班「おいしそうに見えない……」
ナベコ「あつい!大根おいしいです!」
大根をつまんだナベコさんにカメラを向けると、いままでに見たことのない自然な笑顔が撮れた。本当においしかったんだろう。
おでんが落ち着いたところでIHクッキングヒーターの電源を切る。みんなでこたつに足をつっこみ、ぬるくなった酒を飲み、どうでもいい話に花を咲かせはじめた。撮影のためこたつに入っていないわたしはとても寒かった。
かくして「こたつ花見計画」は大盛り上がりとなった。
みんなの感想をまとめると、お外でこたつに入りながらワイワイ酒を飲むのは想像以上に楽しい。傍目には、露天風呂で一杯やっているのと近いものを感じる。
うるさい、ガスくさい、条件がたいへん厳しいなど課題は多いが、予想を上回る天国だった。こたつの原点をふりかえると「おふとん+湯たんぽ」でもいいのではないかという気もしたが、そこは気にしないでおきたい。
あと本当は「Pepperくんに場所取りをお願いする」とか「桜を見上げる自分たちの写真をドローンに撮ってもらう」とか、変なことをいろいろやろうと思っていたのだが、そのあたりはまた来年以降に回したい。
全体を通じて感じたのは、電気のありがたさだ。調理家電、生活家電の1つ1つが動くだけでワアワア言って感動できる。普段は何の感動もなく使っている電気だが、こうして外で使ってみると、本当に奇跡というか魔法のように感じる。
貴重なことに気づけたので、個人的にはとても満足度が高い。普段より意識が高い感じのお花見になったのではないかと思う。
そういえば記事のテーマは「超お役立ち」だった。役に立ったかどうかはわからないが、いま発売中のムック版週刊アスキーは「春の超お役立特大号」。本当に役立つ情報をたくさん載せているので、お花見のお供にぜひどうぞ。
盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、記者自由型。好きなものは新しいもの、美しい人。腕時計「Knot」ヒットの火つけ役。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。
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週刊アスキー特別編集 2016春の超お役立特大号 (アスキームック)KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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